第57話 次から次へと来やがって!
「相手の名前は?」
「存じませぬ、ただわかることは我らのような戦闘種族を倒すくらい赤子の手を捻るようにやってのける奴らですな」
我らのような戦闘種族って…あんたがた戦闘機全部こちらに押し付けてきたじゃん!
それじゃあわからないよ!
「数は?」
「我ら達の半分に満ちませぬ」
…これ、敵が強いのか。こいつらが弱いのかわからないんですが…。
「…っ!来ましたぞ!」
その声を聞き空を仰ぐとさきほど輝いていた光は徐々に高度を下げてきていた。
「戦闘をする気は…ないのか?」
もし、ボクらに害意があるのであれば戦闘機をぶっこしたようにあのレーザーをぶっぱしてくるだろう。なのにしてこないということは…?
「…交渉をすると…?」
「そうかもしれない。ボクとしてもそれだけ強いのであればなるべく戦いたくはないしね」
ついに光はボクらのすぐそばに降り立ち、停止した。そのあまりのまばゆさに思わず目をそむけてしまいそうになる。
「くっ?」
しかし、その強烈な光はだんだん輝きを失い始めやがて五つの影が現れた。
「夏波 蒼といったか。手間はとらせない。少しばかり話す時間をもらえないだろうか?」
「…?」
影の中から声が聞こえた。それもまたボクの名前を発している。何?ボクそんなに有名人なの?
「話?」
「情報によると、そいつらと同盟を結んだらしいな。だが、そんな物さっさと破ってこちら側につかないか?お前にとっても不利益なことではない」
「む…」
確かに、言われてみれば強い方と組んだ方が都合はいい。それにこいつらが本当にアビスコール達を全滅に追いやろうとしたのか、証拠もないのだ。
「…ただし」
「条件があると?」
でたでた、悪役のセオリー。先に条件を言わない。やっぱりこいつら悪役でいいんじゃないの?
「月に五人ほど、人間を寄越せ」
「…は?」
ん?…月に五人も?っていうか、なに?え?たかがそれだけのために人を?
「…納得が行かないようだな。しかしお前に不利な条件ではないだろう?これだけたくさんいる人間の中から五人などたいした物でもあるまい」
「…ふぅん、じゃあこの話。無かったことにさせてもらうよ」
「何!?」
「確かにボク自身には不利益は生じない。だけどね、たたが五人?なにそれ、五人でもみんなそれは命であることには変わらないよ。そういう風に命を軽視するような奴らとは手を組みたくない!」
あれ?ボクかっこいいんじゃね?いけてない?
「そうか、なら交渉は決裂だな」
その影から背筋が氷るような殺気が一気に溢れ出す。慌てて防御体勢をとろうとするも突如発生した上からの衝撃には耐えられなかった。
「ああああっ!?」
魔力での制御が利かなくなり、そのまま自由落下を開始する。
「がふっぁっ!?」
そして、本日損害を受けまくった学校の校舎に再び風穴を空けてしまう。
「えぇっ!?また蒼ぃぃ!?」
さらにまたもやボクのクラスの位置で止まってしまった。幸いと言うべきか不幸と言うべきか。
「あ~!ちょっとごめん、返事してる余裕はないわ!」
クラスメイトが目を点にして見つめてくるがそんなことを気にしている暇はない。
「後で説明するかっぶぁっ!?」
巨大な穴から空に飛び出そうとした時、再び尋常ではないくらいの圧力が全身にかかる。
「こざかしい!お前なんかよりも遥かに勝っている我らとの契約を破棄するなど!」
「知るか知るか!人の命を粗末にするやつなんかと手を取り合えるわけないだろ!!」
影の一つがボクのことを地面に押さえつけながら殴りかかってくる。それを首だけの動きでかわすとボクの頭があった場所にクレーターが出来上がる。
「らあっ!」
足でそれを蹴りあげ、少し距離をあける。その隙に立ち上がり杖と魔導書を手に取る。
「バーンアリソマリス!!」
火球を発生させ杖でぶっ叩く。縦の回転を与えられたそれは猛烈な勢いで影にへと向かっていく。
「そんな攻撃!ふん!こざかしい!」
影の腕が持ち上がり、迫り来る火球に手をかざす。するとそれはまるで意識があるようにしてこちらに進行方向を変え向かってきた。
「なっ!?」
とっさに義手でガード。火球はそれに当たって爆発を起こすも頑丈な義手のおかげで防ぎきることができた。
「おらぁっ!」
そして繰り出される拳。すぐさま魔導書を盾がわりにして衝撃を和らげるも、吹き飛ばされる。
「『転移』!」
床に激突する寸前に『転移』を発動。己の体を影の背後に移動させる。
「雷翔!」
さらに電撃をまとわせた衝撃波で吹き飛ばす。
「ドレルシア・サイキックス!」
そして重力中級魔法を行使。影を地面に叩きつけ押し付ける。
「みんな!今の内に逃げて!」
「おい!聞いたか!逃げるぞ!」
ボクの正体(性別)をしる数少ない人物の一人。自称イケメンの田川が先導してくれているおかげで避難はスムーズに進んでいる。
「おい、夏波!何をしてる!」
だが邪魔が入る。ボクの担任の教師がこちらに歩みより杖を弾き飛ばしてしまう。
「っな!」
「もらった!」
その刹那、影はボクらとの距離を一気に縮めてきた。
「フラフィクト・シールド!」
一応、先生は生身なのでボクが身を盾にするようにしてからフラフィクト・シールドを行使。しかし、影の攻撃は重くたかが一発でそれは破壊されてしまう。
「っああ!もう!ミカナ・ライル!」
とっさに吹き飛ばされた杖を剣に変形させて手元に引き寄せ、それを掴んで影の攻撃を捌く。ちなみに先生は脱出するクラスメイトの方向に放り投げておいた。
「改・速度上昇。改・攻撃力上昇!」
「っわ!?」
影が何かを呟くとその動きの速さがさらに上昇する。
再び繰り出される拳を義手で受け止めるも、その特殊な義手でさえもまるで豆腐のようにくだけ散ってしまう。義手を破壊し、迫り来る拳。
あ、アカンやつや。これ。




