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第55話 話があうやつ

この魔物たちの用件はとても簡単なことだった。

自分達の故郷が別の魔族に襲撃されここまで逃げてきた。だからまた追い討ちをかけられる前に強き者と同盟を組んでおきたい。ということらしい。


国と国同士の同盟だったらボクの手にはおえないが…まあ今回は魔物と魔人の協定みたいなもんだ。快く結ばさせていただこう。


「そんなことなら喜んで力を貸すよ。敵が攻めてきたら一緒に戦おう…、ってことはつまり…ボクがピンチの時は来てくれるってことだよね?」

「無論、その通りだ。都合よく自分達だけ助かろうとは思っていない。こちらも戦力を貸し与えよう」

「…う、うん…」


おいおい、なんか戦争じみてきたぞ?大丈夫か?



「っ!!」


まぁ、危険な者達ではないことにひとまず胸を撫で下ろしていると。空にピカリと何かが光った。



―あぁ…、まずい…非常に…まずい…


「全員!シールドを展開しろぉぉぉ!!」

「「「えぇっ!?」」」

「蒼殿!?一体何を!?」

「いいから早く!!」


ボクは見てしまった。こちらに向かって物凄いスピードで飛んでくる、機械の鳥。戦闘機の群れを。


「フラフィクト・シールド!」


魔物の代表者さんと自分を一緒に囲うようにしてシールドを展開する。他の場所でもぽつぽつとシールドが張られているのを見て、ほっと気を緩める。

しかし、その瞬間。嫌な記憶が能力によぎった。



そう、ボクが初めて爆撃を受け死にかけた時の。

魔法による障壁は魔法に対して強い傾向がある。しかし、現代の科学兵器その他にはほとんど無力であるのだ。それは初めの爆撃でよく身に染みている。


「このままじゃ…」


確実に殺される。



そういえば思い当たる節がある。ボクが紅石の魔と戦うまで、なんの対策も取られていなかったのに、ボクがそれと接近したとたんに爆撃を行った。

椎名と戦った時も真っ先にボクが狙われた。

そして今も。ボクが魔族らと接触を始めた矢先に攻撃を開始しようとしている。




目的は…ボクを…殺す…ことかっ!?



激しい怒りが襲ってきた。ボクは一体何のために戦っていたのだ?

みんなの命を易々と奪われないため。罪の無い人を守るため。



「ははっ…」


思わず笑いが込み上げてきた。これが俗に言う『恩を仇で返す』ってやつか。


「蒼殿?」

「…闇を主体に…光を内に…」



主体となる魔法を切り替える。通常は光に分類される魔力を使用するがここはオブラートから託された…いや、返却された闇魔力を主体にする。

そのとたんに今まで青かった髪の毛が黒に染まっていく。



「おぉ…な、なんと幻妖な…」


私の髪の毛が変化したことにか、それとも内から溢れる魔力の変化に対してか。あるいはその両方かに彼は唖然としていた。


「守りは任せます。私はあれの相手をしてきますので」

「し、承知した…」


フラフィクト・シールドを中から外に抜けると、戦闘機はかなりの距離までに接近してきていた。


「闇眼【ダーク・アイ】…、数は七機。武装はミサイルが各二本ずつ。あれは…追尾ミサイルか。それも二本ずつ。そしてガトリングを装備…ですか…」


闇眼【ダーク・アイ】で時間の流れを遅くさせ、相手の武装を知る。

なんて対魔法構成なのだろうか。完全にこちらを殲滅する気じゃないですかやだぁ。







『各自、攻撃体勢に移れ。目標はあの魔女。もし邪魔が入るようであれば他の者も殺して構わない』

『『了解!!』』

『さあ行け、危険対象を…



駆逐しろ』







「闇底【ダーク・ホール】」


遂に一斉攻撃が行われた。幸いなことに目標ターゲットはまだ私一人のようだ。ならば、それが魔族たちに移る前にこいつらを無力化せねばならない。


幾つもの銃口から放たれた無数の弾丸の嵐を闇底【ダーク・ホール】で吸収し保管する。対椎名戦の時に多いに役に立った魔法の一つだ。


戦闘機は私の隣を通り抜けると旋回して再び攻撃を仕掛けてきた。それもすぐに闇底【ダーク・ホール】で吸収し体勢を整える。

ガトリングの銃身がそろそろ熱くなってくるはずだ。そこには必ず『冷却』を行わなければならない。そこが狙い目だな。







『不思議だ!この緊張感!冷却時間クールタイムがこんなにも伊吹をっ!俺の冷却時間クールタイムは…革命レボリューションだっ!!』

「オセ○ットネタを入れるなですよ!!」

『なっ!!』


いざ一つの戦闘機に飛び乗ってみたらまさか戦闘の最中にオセロ○トネタをぶっ込んでるやつがいるなんてな。その内、『いい冷却だ』なんて言い出しそうだな。


「こんな戦闘機の塗装は何の戦場的優位タクティカルアドバンテージも生まない」

『なっ!』

「だが早打ちは見事だった」

『おわっ!』

「いいセンスだ!」

『にゅわっ!!』


なんだこのパイロット、私と趣味が合うじゃないか。ってかフロントガラス越しなのによく聞こえんな。


『衝撃を肘を曲げて吸収する癖がある。どちらかと言うとリボルバー向きだ』

「あっ」


くそぅ、先を越された!ならば私も!


「初弾を手動で排出していたな。慣れない内にそういうことはするもんじゃない。


だから弾詰まり(ジャム)など起こすんだ」

『…君とは気が合いそうだ』

「…奇遇だね、私もです」

『Ⅴネタは知ってる人多いけどな、Ⅲネタを知ってる人はあんまり見ない』

「それを言ったらⅣこそ知ってる人少ないんじゃないですか?『美味しい○ーハン曲』とか」

『うわっ!なつかしっ!じゃあアッ○ーナとか』

「…君も…オタクかい?」

『ぷぷっ…』

『「あっはっはっはっ!やっぱり知ってる人とは話が合うなぁ」』







「蒼殿、何をやっているのですか…?」



『おい!大丈夫か!四号機!応答してくれ!四号機!四号機ぃぃ!』

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