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第49話 覚醒してきやす!

「しっかりせい!しっかりせい!」


蒼は普通の傷であればほんの数秒でふさぐことができる。

それに今はカイナまでもが回復魔法をかけていると言うのに…その傷は塞がれない。

それもそのはず、左腕は引きちぎれ体には切り裂かれたような深い傷が走っており、血が滝のように溢れていた。

たとえ蒼が人間とはかけ離れた生命力を持とうとこのままでは持って後数分だ。しかも、その時間内に行う手段もない。


「…」

「蒼!蒼!」


ついに蒼が意識を手放した。今までも歯を食い縛り、必死に出血を防いでいたようだが…このままでは……


どうする?


「ぴゃあああ!」


カイナが震える声を発しながら回復をかける。カイナが傷をおっていないことから、蒼はその身を盾にして守ったのだろう。


「蒼ぃ!」


レインは紅石の魔からの攻撃を防いでいる。こちらももう長くは持たなそうだ。


「またか…またわらわは…大切な命を…失ってしまうのか?」








「蒼…聞こえますか…?蒼?」


…えっと…誰?


突然、自分を呼ぶ声が聞こえた。しかし、それは聞いたことのない女性の声。


「自己紹介をするのは…また今度にしましょう…、そんなことしていたら…あなたは死んでしまいます…」


あ…そっか…


そうだ…、ボクは爆弾の直撃を頂いたんだっけ…。


「時間を急ぐので説明は省きます。ですので、これから先何があっても驚かないでください。あなたを今から『覚醒』させます」


覚醒…?


「ええ、あなたの内に秘めたりし力を解放なさい。そしてあの魔物を倒すのです」


…?内に秘めた力…?







「魔人族に栄光あれ」



それと同時に体に浮遊感を覚え、体が徐々に暖まっているこても感じた。





「リアネクト…」






頭の中にポツンと現れた単語を口にした…。










「っ!らあああぁっ!」

「蒼!?」


今まで満身創痍そのものだった蒼が突如目を開き、ミカナ・ライルを手に地を蹴った。

地面をえぐる勢いで飛び立った蒼は紅石の魔へと一撃を加える。


「あれは…」


魔剣…ミカナ・ライルに魔力を纏わせたミカナ・フェリエル。並みの者が扱える物ではなく、魔王にでもなるような者にしか使えない代物だ。


「…ついに…覚醒しよったか…」


自然と目の縁に涙が溜った。









『覚醒』…それは生き物の中に眠る本来の力や能力を目覚めさせることを言う。

基本的には進化の過程で失った姿や能力などのことを指すが、たまにその者しか持たない特別な能力が覚醒することがあるのだ。


蒼の場合は…後者だ。







蒼の動きはこれまでとは全く比べ物にならないくらい洗練されていた。少ない動きで敵の攻撃をかわし、隙があらば攻撃する。一見、簡単そうにも見えるだろうが普通ならこの弾幕をかわすことだってかなり厳しいことなのだ。


「『魔圧』」


最上級重力魔法…魔圧。特定の場所を選び、そこに多大な圧力をかける。人間であれば一瞬でぺっちゃんこだ。


ぼごっ!という生々しい音と共に紅石の魔、本体に大きな穴が空く。

それに対し、まるで怒り狂ったように紅石の魔は攻撃を強める。


「数撃ちゃ当たるってわけでもないんだよ!」


しかし、蒼はそんな弾幕を苦とせずにくぐり抜け穴の空いた場所までたどり着いた。


「封印は…だるい」


確か魔導書には封印魔法が記されていた。しかし、まだ使った試しは無いし何せ練習に封印する物がない。


「こわすか…」


封印できないのであれば…こんな化け物を後世まで残す必要などない。となれば、壊すだけだ。


「ドレイニクト・スピア!」


魔剣を巨大な、魔力のみで構成された槍に変形させる。

思いっきり勢いをつけ、投げつける。


案の定、槍は紅石の魔のレーザーにより分解されてしまう。しかしその隙に別の魔法を行使する。



「魔法陣展開式魔法、『時断』」



『時断』。物は時間がたてば変化が生じる。もちろん動いたり、雨に溶かされたり。これはそんな時間による物の変化を操る魔法だ。

しかしただ操ったところで何の意味もない。この魔法のミソは対象が移動をしていることなのだ。

もし仮に対象の上半分の時間を早めたとしよう。もちろん、対象がその場所にづっとあり続けることはないから、上半分は動く。しかし、下半分は動かないのだ。

ここで空間のずれが生じる。空間にずれが生じると、もちろんその対象は破壊される。


紅石の魔はゆっくりだが、たしかに動いていることは確認できた。なので、この魔法は有効である。


紅石の魔の左半分に『時断』をかける。

するとその周囲の空間がグニャリと曲がり、左半分が前につき出された。もちろん、右半分は動いていないためあたかも切断されたかのように見える。


「ががガガが…」


まるで、工事現場のような音を出しながら紅石の魔は倒れた。不思議なことに周囲の建築物を踏み潰す寸前でその体はまるで灰のようになって空を舞った。



「やった…のか?」

「本当ぉ!?倒したのぉ!?」


地上ではターシャとレインがこちらに向かって手を振っていた。


「うん!ばっちりね!」


今回の一番の強敵は紅石の魔ではなく、爆弾だった気がする。

そういえば…腕がいたい。




「よくやったの、さあ家に「オブラートは?」」


ターシャが何か言おうとしていたのを遮ってしまった。最初に致命傷を負ったオブラートはどこに行ったのだろう。


「あぁ…、一応カイナが治療したんだけどねぇ…、そのぉ…意識が戻らなくてぇ」

「…オブラートはどこに?」


レインが静かに指さした場所に慌てて駆け寄る。


「オブラート…?オブラート?オブラート!!」

「…回復魔法でも…意識は戻らなかったんだぁ…、残念だけど…」

「くっ…」


一体…なぜ?回復魔法で傷は治っているのに…。


「……?待てよ…?」


一瞬、脳裏になにかが閃いた。それを探るために魔導書を流し読みする。


「あった…『技能スキル』…」


魔導書の最後の方の十ページほどにかけて、技能スキルについて記されていた。


技能スキルは魔法とは違うらしい。

技能スキルは自身がどれだけの経験をするか。いわゆる経験値の量で取得できるらしい。つまり戦えば戦うほど戦闘向きの技能スキルを取得できるし、回復すればするほど回復向きの技能スキルを取得できる。


そして生き物には『天性』スキルと言うものがある。その種族が生まれながらにして持っている特別なスキルだ。


つまりボクは…






「魔人族天性スキル『血合』」

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