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第44話 ターシャとレイン、まじで最強コンボですわ

「ワォーターミストロリア!」


ザンっという音と共に放たれた水の刃は弧を描きいまだに電源コードを握りしめた男に直撃する。


「うおっ!?」


とっさの不意打ちに男が反応できるはずもなくそのまま吹き飛ばされた。


「蒼ぃ!大丈夫ぅ!?」

「大丈夫だったらこんなにならないよ…げほっげほっ」


雷と共に現れたのはレインだった。どうしてここだとわかったのか知らないが何よりも来てくれたことが嬉しい。


「カイナ、回復ヒーリングをお願いねぇ」

「ぴゃあ!」


なんとも可愛らしい鳴き声を発し、レインの紫色の髪の毛の上から飛び降り回復ヒーリング魔法を行使するカイナ。

「ありがと、これならしばらく持ちそう」


弾痕もゆっくりと塞がっていった。本当にチートだよなぁ。


「悪い。少々転移陣を描くのに戸惑ってしまった」


地面に現れたのは紫色の魔方陣からすっと現れたターシャ。

いつもの薄ピンク色のワンピースに漆で塗ったような黒い杖を持ちその反対の手には赤い背表紙の魔導書を持っている。


「なんだ…お前ら…」


ぶっ飛んだ男がターシャ達を見つめる。


「っ!フラフィクトシールド!」


その瞬間あわてて自分たちを守るようにしてシールドを展開すると男は分がわるそうに舌打ちをした。


「なにをしておる、幻覚でも見たか?」

「いや?あいつの攻撃を防いだだけ。あいつは…なんだっけ、『痛苦魔法』?を使うからさ」



様々な者と戦ってきて平和大国日本において戦い慣れしてしまい、戦闘中に相手の癖や業の発動条件、弱点などを考える余裕ができてきたのだ。

やつの魔法はまず第一に連発が利かない。一回の効果が長いからまだその効果がある状態でクールダウンを行う感じだ。

そしてもうひとつ、対象の目を見詰めること。先ほどからそれはなんとなくわかっていたので その視線を切るためにシールドを展開した。

そしてやつの魔法は不発に終わったので後数十秒は魔法を使えないはず。


「ターシャ!レイン!後しばらくあいつは魔法を使えない!」

「了解じゃ」

「はぃは~い」


「バーン・アリソマリス!」

「ディア・ロキシア!」

「ニメイル・ローレライ!」


ボクの浅はかな魔法辞典によると…


ディア・ロキシア…土属性中級魔法。魔力を巨大な岩のように固め敵にぶつける、ハイパー脳筋魔法。なお使用しているのはターシャ。


ニメイル・ローレライ…氷属性上級魔法。氷のつぶてを発生させ敵に四方八方から叩きつける超戦略的なレインらしい魔法。簡単に説明するとアイシ○ルフォール。


バーン・アリソマリス…炎属性上級魔法。一番始めに使ってかなり愛用してる魔法。火球を発生させ任意の方法で飛ばして使用する。魔法らしくて好き。


「うおぁぁぁぁ!」


氷のはった地面で高校生がこけたようなリアクションとともに男は倒れ伏した。


「これ…もうどっちが悪役だかわからなくなるんだけど?」


最後の一人を異常な戦闘能力を持った三人組がフルボッコにするって…いじめにならん?大丈夫?


でもターシャが魔法を使って戦うの…初めてだな…ならはよ来いや!


「ボスッ!」


新兵によく似た男の子分がわらわらとその元に駆け寄る。


「君たちには当分おねんねしてもらおうかぁ」


レインが男達に手を向けるとその指先から放電現象が起きその電気はしばらくして男達に届いた。


「」アバババババッバ!?」」

「ヒャッハー!」


一人おかしなリアクションをして感電している者もいるがほんの数秒で彼らは全滅した。


「あの…あなた達は…?」


男らから狙われる心配も無くなり店のおじいさんが口を開いた。


「?ただの高校生ですけど?」


特に深い意味もなく軽く受け答えたつもりなのだが…おじいさん…びっくりしてるよ…。


「このお礼は何でお返しすれば…」

「いえいえ、お礼など…」

「ではひとつ頼みがある」

「ターシャぁ!?」


普通そこは何ももらわないってのがベタっしょ?人情から外れてますよ?


「はい、可能なことなら何でもいたします」


どうやらおじいさんは本気でお礼をしたかったようだ。口先だけでなく。


「そこの耳飾りをわらわに譲ってはくれんか?もしあれならば金は出すが…」


ターシャがこちらをちらりと見やった。こいつボクのお金を使おうとしてやがるな?


「えぇとこれでしょうか?」


ターシャが指差した指輪をいそいそと運んでくるおじいさん。その手には小さな宝石が埋め込まれたイヤリングが。


「そうじゃ、いくらじゃ?」

「いえ、ここまでしていただいてお代は頂けません」

「そうか、悪いの」


ターシャは大事そうにそのイヤリングを受け取り服のポケットにしまった。


「それとわらわ達がこやつらをこうしたことは黙っていてもらえないかの?」


ターシャは倒れ伏す五人の男を指差して言った。


「ええもちろん…それより…あなたは蒼様ではないでしょうか?」

「ちょえっぴげらっふ!?えぇ!?ななななななな!何でそれをぉ?」


驚きすぎて口がバグった。

にしても何でボクのことを?まさか個人情報が漏れたか?


「美久お嬢様からそのお話は伺っております、ほとんど毎日このようにして戦っているらしいですが…」

「えぇ?美久とは何か関係が…?」

「えぇ、鏡平社長のお嬢様ですから」

「あがふっ…なるほど…」


どうりで普通の人とは違うと思っていたのだ。家に情報収集員とボディーガードがいるの…普通あり得ないし…なるほど、宝石関係の仕事でしたか『弌社長』。


「やっべ、ボクの友達マジやっべ」

「おうおう、どうした蒼よ…とうとうおかしくなったか?」



あの人なら平気で暗殺とかしてきそうだよ…ぶるぶるぶる。


「ではわらわ達はこれで失礼させていただくぞ、そこの五人組は警察とやらに任せておけばよかろう」

「しかし、彼らはあなた方がこてんぱんにしたことを覚えていますよ?」

「そのことは安心せい、ちと記憶を操作して五人組を倒したのはお主だと言うことにしておいたからの」


おじいさんは驚きのあまり目が飛び出そうになっていた。そりゃそうだわ、いきなり記憶を操作する、なんて言って通じる人はこの世に数えるくらいいるかもわからないし。


「にしても疲れた…複数人相手に戦うことも久しぶりだし…まさかガチの電気でいたぶられるとは思っていなかったよ…」


マジで恐怖だった、電気風呂がもしあんなのだったらどうなっているのだろうと考えると鳥肌が立ちそうになる。


「まあわらわ達に感謝するのだな、わらわ達が来ていなかったら現実に死んでおったぞ?」

「じゃあ何で今までピンチの時に来てくれなかったんで好かねー」


皮肉混じりに愚痴る。なんだ?その時の気分か?さあ白状しろ!


「その時の気分かの」












「あがふ…」












マジでこいつ神様なの?

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