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第41話 親はラノベ展開がお好き

「で?どうする気なの?いっそのこと性別女に変更するつもり?」

「…今のとこそれしかない…」

「まて」


突如、ずしりと重々しい声で割り込んできた父親こと博也。


「このままでいい、」

「は?」

「あなたなにいって…」


異論を唱えようとした母親こと裕美は何かに気がついたように頭上に『!』を浮かべる。


「女の子が男の子として暮らす!ばれぬように!…もし万が一ばれてしまった時…その時の蒼の赤っ面を想像してみろ!あひょひょひょひょ!」

「もしもし警察ですか?我が家に変態が現れたので至急来てください。住所は…」

「ちょっと待てぇぇぇ!」








「で、結局そのまま過ごすことになったわけかぁ」

「…あんなのが親なんて…考えたくないよ…」


そろそろ本気で警察に電話してやろうと思っていたのだが…電話を奪われてしまったし…はぁ…。


「ターシャ?生きてる?」

「…っ?なんじゃ?生きておるが…」


人のベッドの上で女の子座りをし腕を組んでじっと何かを考えているターシャ、なんだか彼女らしくない。


「そろそろ告げるころかと思っておったが…まぁまだいいじゃろう。それよりもお主のその姿について説明せねばな」

「?告げる?」

「お主、魔族と言うのは知っておるか?」

「ま、まぞく?いつも裸の人?」

「それは裸族じゃ、よいか?おそらくお主も聞いたことがあるのではないか?妖怪だとか幽霊だとか吸血鬼やら狼人間だとか」

「あるある」

「お主の姿はその魔族の一種なのじゃよ」





ん…?待て待て待て待て、魔族の一種っつった?のんのん、私人間ネ!


「一概に皆人の子は吸血鬼や狼人間などを別の種族と考えがちじゃがそれは違う、日本人とアメリカ人の顔つき、髪の色が違ったりするのと同じなのじゃ、住みゆる環境によって姿形はかわるのじゃ」

「ふ~ん」

「まあ…この先のことをお主に告げるのは置いておくかの」


すっ、と視線を反らし人のベッドに寝転がりすやすやと寝息をかきはじめるターシャ、ふとカイナと戯れているレインに目をやるとその目はどこか虚ろだった。








長かったのぉ、まさかその姿を取り戻すとは…もう人の子の姿が固定してしまったかと思っておったが…これで妾もあのお方に胸を張って報告できる。


こやつが過去と事実と正体に気がつくまで、そっと見守ってやらねばなぁ。






蒼よ。










「朝起きたら元に戻ってたり…しないかぁ」


普段は十時間で戻るのに…と心底深い溜め息をついた。


「まぁせいぜい頑張りなよぉ、バレたらバレたで考えればいいんだよぉ」

「適当だねぇ…はぁ…」


急いで朝ごはんを頬張り着替える。長い髪の毛を後ろでポニーテールにまとめる。


「ツインにでもしてみ」

「嫌です」


後ろからそ~っと近寄る母が物を言い切る前に遮る。男として生活するボクがなんでツインにせねばならんの?絶対狙ってるって思われるでしょ?馬鹿なの?


「じゃ、行ってきます」

「はいはい、何か困ったら電話しなさいね?女としての大先輩のアドバイス、伝えてあげるわ♪」

「天変地異でも起きない限り、絶対に電話しないから大丈夫です、えぇ」


このまま母と話していると昼が来そうだ。早くいこう。


踵を返してドアを開けるとそこにはインターフォンに手を伸ばした沙与がいた。


「あ、蒼おはよー。いや蒼ちゃんの方がいい?」



うぜぇ。










「周りからの視線が辛い…」

「そう?まぁいいじゃないいいじゃない」


ただでさえ顔立ちの整った沙与の前でポニテで女顔のズボンはいたやつがいたら…目立つ目立つ目立つ!皆がじろじろ見てくる…うぅ…。


「そこら辺のおじさんには注意してよ?女に飢えてるヤヴァイ人だったら容赦なく襲ってくるから」

「はぃ…めっちゃ気を付けます…」


そんなことされたら…もう二度と男に戻れなくなる気がする…。


「おいおい、あんな子うちの学校にいたか?」

「いや、でもこの俺があんなかわいい子を見逃すはずない…。転校生かもしれん。でも男子用の制服きてるのは…あぁ。お兄さんからのお下がりじゃね?」


「「な~る」」




「な~る!じゃねぇぇ!」


近くを歩いていた同じ学校の生徒が勝手に妄想を始め周囲もろとも納得させていた。彼らに聞こえぬよう全力で突っ込ませて頂いた。




「さて…ここからはステレスで行かないと…」

「蒼がおかしくなった…」


学校につき、校舎に入ったボクはなるべく人目を避けねばならない。そうなると段ボール大好き系潜入者ゲーで培った潜入力とC.Q.Cの力を最大限に生かさねば!


まずは靴を脱ぎ、上履きに履き替える。階段を駆け足で上り廊下に誰もいないことを確認し教室のドアの前に立つ。後はなにもなかったかのようにこっそり入れば…潜入完了ミッションコンプリートだ…


「おはよ~」


そんなボクの潜入ステレスを台無しにしてやると言わんばかりに沙与はドアを勢いよく開けた。


沙与の後ろにいるボクの姿を見た人の頭上には赤く表記された『!』が。


「え?だれ?その子」

「女子がなんでズボン?」


こいつらぁぁ!昨日大活躍した蒼さんだぞ!?忘れてんじゃねぇぇぇ!


「いやいやいやいや、ボクです!出席番号八番夏波 蒼です~!」

「名前は聞いたことある気がするけど…えぇ…?…あ!もしかして蒼、女装が趣味なの?」

「雷翔」

「アバババババっバァ!?」


その発言には聞き捨てならない。という訳で威力を絞った電撃魔法を食らわせておこう。


「いろいろあったの!」

「紅華ちゃんは街を救ってるし蒼は女っぽくなりし、大変だねぇ」


あ、それ両方ボクやってます、街救ってるし女になったし。


「田川~…」


席について読書に耽っている田川を睨み付ける。お前はボクの正体しってんだろ?たすけろや…、


「お、蒼!可愛くなったな」









とりま…朽ち果てろ。

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