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第40話 親ぁぁぁ!

「は?」

「え?」

「ん?」

「ワッタァ…」


誰もがその状況を理解できなかった。

ボクでさえも。

ゴールまであと半分で勝ちを確信していた白組は開いた口が塞がっていない。


「そんな…バカな…」


普通、約50メートルもの差を残りの50メートルの間で縮めるなど到底不可能だ。できたとしても前を走るものが異常に足が遅くなくてはならない。


「勝った…のか?」


赤組の一人がぽつりと呟く。


「俺たち…勝ったんだ…」


それに続くようにして誰かがこぼした。


「勝ったぞぉぉぉ!色別対抗リレー!赤組がとったぞぉ!」

「「「よっしゃああああああああああああ!」」」



生徒の歓喜の声が轟いた。






「えっと…」


リレーが終わり、校庭の端にある自席に戻った時だった。


「お前…誰?ここ男子列だけど…」


隣の席のやつに忘れ去られていた。悲しみ。


「男子列ならあってるあってる」

「うぇ゛っ!?」


なぜだかアマガエルのような声をだし驚愕される。


「…女子じゃねーの?」

「隣のやつの名前くらい覚えられねぇのか!」

「だってそこの席…蒼の…」


こいつ、ひいらぎ すすむはボクの顔を目を疑うようにして見直した。


「あ…蒼?」

「殴っていい?ネェナグッテイイ?」

「ひぃぃ!ご勘弁を!」


紫色のオーラを放ちながら構えられた手刀を目にして進は後ろにひっくり返った。


「あれ?さっき走ってたのって蒼?」

「まじか、蒼かよ」

「あれ?髪のびた?」

「なんか可愛くなった?」


少しくらいお褒めのお言葉をくれたっていいじゃねえんか?あ゛ぁ゛?


いや、普通にさ。ありがとう!とかサンキュー!とか、お前英雄だ!とかさ…悪くてもナイス!くらい言ってもいいんだよ?ねぇ…悲しくなってきちゃうよ?


「…」


幸いこいつらが馬鹿でよかった。普通なら姿形がほんの数十分会わぬうちに変わったなどと言うことに不信感を抱きパニクるだろうに…。


「まぁ…これで赤組の優勝は確定だな!」


誰かが叫ぶと赤組一同、沸き上がった。






「…それでは総合優勝を発表します…」


マイクを持ち、なぜか親にお小遣いの金額を誤魔化された時のような顔をして朝礼台に上がる体育祭実行委員会(得点係)。


「…今回の優勝は…」


ごくり…皆が息を飲んだ。


「職員です…」

「「「「は?」」」」


全校生徒の頭の上に『?』が浮かぶ。


『えー…、皆さん、突然ちょっとなにいってるかわかんない状況でしょうが説明しましょう。あなた方選手以外にも頑張った人はいるのです。先生方なんて、体育祭の日取りを決めプログラムを組み、数ヶ月も前から筋肉痛にならぬように体を鍛え…』


「ちょっと待て、一つただの運動不足発言があったような?」


『とにかく!一番頑張った先生方が賞をもらえないのはおかしい!…と言うわけで優勝は先生方でいただきま~す!』

「「…どうやって殺してやろうか…」」


校庭中に殺気が漂い始める。


「蒼…蒼…」

「ん?」


そんな中つんつんと人の背中を続く田川。


「あいつのこと、なんとかできないの?」

「なんとかって?」

「いや…その遠距離攻撃的な?」

「あ~、いいよ。『波翔』」


人差し指を台上の先生に向け、『波翔』を使う。


『えっ!?わっ!ぎゃあぁぁ!』


波翔を食らった先生は勢いあまって後ろから地面に倒れ込む。まぁほんの数人はボクの仕業だとわかっているものの、ほとんどの人には先生がドジってひっくりがえったようにしか見えず、辺りに笑いの渦が巻き起こった。





「ふーん、それで普段の蒼も女の子になっちゃったと」


体育祭も無事に終わり、帰宅後はちゃめちゃな1日のことを両親に話した。なぜか二人ともいやににやついている。


「Very good」

「は?」

「いや、だからべり~ぐっどって言ったのよ。これからは正真正銘、私の子供が娘になるのね!」

「な!俺の言った通りだろ!女の子にも通じるような名前にしようって」

「えっと…とりま爆裂してもらっていいですか?」


机の上に置いてある魔導書を開き爆裂魔法の準備をする。


「「す、すっませんしたぁぁ!」」


それを見て顔を青に染めた両親は椅子を盾にしながら土下座のような体制をとった。


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