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第39話 体が…戻らない…

「おうおう、どうしたのじゃ。その姿は…」

「それって…」


ちゃっかり学校に足を運んでいたターシャとレインに来て貰いこの体の変化について聞いた。


「やっぱり椎名に刺された注射が…」

「それは違うのぉ、確かに姿形を任意に帰ることのできる薬は存在するが、お主の場合魂までもが今までのものから変形している。魂に干渉できる薬はこの世に存在せぬ、いかに科学とやらが進歩していたとしてもな」

「…ようするにこんな姿になったのには他の原因があると?」


「今のところそうとしか考えられん、まあ…わらわが思うには…薬の副作用ではないかと思う」

「副作用?」


副作用って薬の本来の効果を発揮するところ以外で体に症状が現れるあれ?


「もし打たれたのが強烈な毒薬だったとしたら、もちろんお主の体はその毒薬に反抗する。たまたま体の中に免疫があったのかもしれんの。まあ単なるこじつけじゃが」

「それがだとぉだとおもうよぉ?」


なにその奇跡みたいな話は、都合がよすぎじゃありませんかね?


「で、ちょっといいか?」


いきなり話にわって入る自称イケメンの田川。


「一つ、質問をさせてくれ」

「え?」


その場にいる全員が田川に目をやった。


「お前は夏波 蒼か?」

「っ!?」


思わず目を見開いた。この中で、ボクの正体を知っているのは沙与、ターシャ、レイン、ボクの四人だ。もちろん誰かが他の人に漏らしたというわけでもないだろう。


「ちょ…ちょっとなにいってるか…」

「わかんないのぉ」

「とぼけんなよ、俺の観察眼をなめんな。蒼が来ないときに紅華が来て紅華が来ないときに蒼が来るなんてなんかおかしいと思ってたんだ」

「…」


顔が熱くなってきた。恥ずかしくて死にそう。女体化するのを隠すために名前も偽って別人として生きていたのに…こうもあっさりと見破られるとは。

慌てて毛布で顔を隠す。


「ま、今のところ気がついていたのは俺だけみたいだ…」

「私も知ってた」

「はっ?」


今度は美久に視線が集まる。まさか一人だけではなく、二人にもばれていたなんて。


「最初は魔法少女ティナに憧れていたのよ、それでうちの情報収集員に頼んで色々と調べてもらったのよ。住所、誕生日、身内、スリーサイズ…」

「こわっ!知り合いこっわ!ってか情報収集員って何!?なんかダンボール大好きで『またせたな!』とか言ってる人的な?家のダンボール全部撤去しとこ」

「う~ん、『またせたな!』じゃなくて『最高だ!』とは言ってたけど」

「一体何食べたんだ…ツチノコか?」





そんなわけでしばらくダンボール大好きステレスミッションのことについて談義し、解決策を練るための話し合いが行われた。


「髪は切らずに残しておきましょう」



と美久。


「羽根を前に持ってきて胸を隠す感じで行きましょう」


と沙与。


「おぉ~、わからんわからん。女顔の女になった」


と田川。


「まじでこれでやるの?」


とボク。

手渡された手鏡で自分の体を観察してみると、髪の毛はポニーテールに結ばれていた。

…きわどくない?かなりヤバい気がするけど…ばれるよ…絶対…。





『続きまして…色別対抗リレーです』


校庭にアナウンスがかかる。皆、特に三年生は大盛り上がりだ。


「死ぬ…心が折れる…」


闇属性魔力は自然と消費されなくなったようだが…別の意味で闇に堕ちそうである。

なにより視線がつらいつらいつらい!高校男子でポニーテールってのも引っ掛かるし、顔は女だし。


あ!だれだ今『こいつ女じゃね?』っつった奴は!潰して八ツ橋にしてやろうか?あぁ?


『それでは選手の皆様、スタート位置にお並びください!』


嫌に熱の入ったアナウンスを聞き、ゆっくりと駆け足でスタート位置まで進む。今回の色別対抗リレーはその名の通りリレーのため途中で2つに別れる。その後、それぞれのスタート地点に着き全員が揃うと一斉に座る。


ちなみにボクは最後尾である、なぜか。どうやら三年生は三年生であるというプライドを捨て、一番タイムのよかった者をアンカーにしたらしい。


「位置について!」


先頭走者がクラウチングスタートの形をとる。


「よぉ~い」


校庭に沈黙が走る。今年の優勝を飾るのはどこか。それを決める戦い。すでに得点板は隠されどの色が何位であるかもさだかではない。


パァン!


空砲の音が響き一秒のずれなく先頭走者らはスタートする。


「「よっしゃ!赤一位だぞ!赤一位!」」


先頭走者もなかなかの強者らしく他の色とかなりの間隔を広げていた。


「「あ~!バトン落としやがったあのバカ!」」


校庭にやじが飛び交う、どうやらバトンミスをしたらしい。せっかくついた差も縮められ二位に。


「「転びやがったあの蛸!」」


どうやらこけたらしい、さらに差は縮まり三位に。


「「靴脱げやがったあの◆◇◇!(汚いやじが飛び交っております。ご自由にお考えください)」」


どうやら靴が脱げたらしい、体育祭あるあるだ。そして四位に。三人の走者でこれほどまでハイからローに落ちるのはまれなのではないだろうか?


「おぉ今回は大丈夫だっ」


只今爆走中は三年生先輩、ミスしまくった二年生の先輩とは違う。

しかももはや裸足で走ってるし!


「期待の新人!田川いっきま~す!」


そう『自分』で叫びバトンを受けた自称イケメンな田川君。こういう調子に乗ってるやつほどこけるというテンプレをもののみごとに避け走りきる。


「頼む!アンカァ!」

「いちいち騒がしいわ!」


バトンを受け前を見やるとそこに走るは白組アンカーの麗奈が。ゴールテープまであと半分を切っている。


「間に合えぇ!」


足に渾身の魔力を注ぎ、地を蹴る。このバトンは足を引っ張った二年生。最後の体育祭を臨んでいる三年生、そしてクラスメイトの意志が注がれているのだ!




刹那…





ゴールテープが切れたことを合図する二発の空砲の音が虚空に木霊した。

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