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第35話 光属性魔法はいいとしてなぜ闇魔法は厨二病扱いされるのだろう

準備はできたもなにも、そっちが勝手に進行させてんじゃん!どうせボクに拒否権はないんでしょ!


もぅ…ロシアンルーレットやん。


「いくぞ?我に宿りし闇の魔力、しかと受けとれ!」

「急な厨二病は禁止ぃぃ!わぁぁぁ!?」


ボクがオブラートに突っ込みをいれようとしたところ、彼の体から真っ暗なオーラが溢れだしボクの体を包み込んだ。


「ちょっ!たんま!う…う゛ぁぁぁ!」


全身という全身からその闇は体に染み込み始めた。とくに、お腹の傷痕にめちゃくちゃしみた。


「闇に飲まれるな!闇と一体化するのだ!」

「わかるか!取り扱い説明書よこせ!」


一体化になるって!どうするんだよ!


「闇を恐れるな!受け入れ!共存するのだ!」

「ボクシェアハウスはする予定ありません!」


同居だけは勘弁してほしい。


「あぁぁぁぁぁ!!」


やがて、体にまとわりついていた闇が徐々に晴れ始めオブラートの顔がうっすりと見え始めた。


「…笑ってんじゃねぇぇぇ!」

「いや…闇に飲まれないように必死に耐える貴様の姿が哀れでな…っっっ…」

「ふざけんなぁぁ!おぉぉぉ!」


するとカッ!と効果音の入りそうな感じとともに闇は完全に晴れたのだった。


「ふっ!私は取り扱い説明書を絶対見ぬことで有名な者だ!かかってこい……………は?」

「どした?」


伝説の厨二病すらもすっとんきょうな顔をしてこちらを見据えている。


「厨二病…移ったかも知れない。………………やだぁぁぁ!厨二病やだぁぁぁ!私は健全な高校生です!」

「貴様!今から世界中の厨二病に謝罪してこい!」


厨二病に説教される。


「…落ち着け私、なんかいろいろ変わっててテンパるのはわかるが、落ち着け…。まず、闇を取り入れて変わったのが厨二病症候群にかかったこと…」

「口調変わってんぞ」

「はっ!本当だ…一人称が私になってる…」


いや、別に今までわざとボクを使ってた訳じゃないよ?昔からだからね?


「で…さっきからちらちら視界に入ってんだけど…」

私は自分のストレートロングの髪の毛を掴んで視線に置いた。


「黒いんですが?」


闇の影響だろうか?今まで赤かった髪の毛が突然黒に変色した。


「闇の影響であろうな、これで今日から貴様も漆黒のつば」

「ちょっと黒髪に憧れてたから…嬉しいかも」


オブラートのレイヴンウィング発言はさらっと流しておいて、ちょっと黒髪に感動する。前から憧れてたんだよね。



これで私の髪の毛の色のバリエーションが増えた。

青、赤、黄緑、黒っと。黄色がなくてよかった。黄色があったら信号機だもん。


「あ、魔法はどうだろ」


小さな魔方陣を空中に描き、魔導書と杖を取り出す。魔方陣はいやに黒いし、魔導書も墨汁を被った辞書みたいだし、杖も漆を塗った杖みたいになってた。


「見づら!?」


いざ魔導書を開いてみると、従来の白い紙に黒いインクで書かれていた物が変わりどす黒い紙に白いインク?のようなもので書かれた物になっていた。

私、白色が見づらいんだ。色覚検診で中学の時引っ掛かったし…。


「闇魔法は強力だ、しかしそれに相応してその魔力の消費量はまじやばい」

「急な高校生発言やめない?」

「くれぐれも魔力の消費には気をつけるんだぞ?」

「う、うん」

「ではな、これで我に用はない」


そう言ってオブラートは踵を返して教室に向かっていった。




―同時刻…



「全員!発砲を許可する!撃てぇ!」

「「了解!」」


スナイパーライフルや拳銃、小銃を構えた特殊部隊員が特殊部隊員隊長の命令とともに一斉に引き金を引き辺りに乾いた銃声が響く。

銃口から飛び出した弾丸が狙う先は…空に漂う一人の少女だった。


「そんな遅い攻撃じゃ、当たらないね~」


そう言うと少女は手に持った二本の鎖をうねらせ、近くの高層ビルに叩きつけた。

鎖の当たった場所から徐々に亀裂が入り、攻撃をしていた特殊部隊の方へと傾く。


「退避ぃぃぃぃぃ!」


隊長が喉をちぎる勢いで叫んだ。

その時、ビルに入った亀裂はついに端から端まで到達しがらがらと崩壊を始めた。


「「わぁぁぁぁ!」」

「おかぁちゃ~ん!!」



かつて、立てこもりの殺人犯などを相手に一瞬とも焦りを覚えなかった特殊部隊らが絶叫を上げ武器を放り投げて走りだす。しかし、ビルはもう彼らの頭上。誰もが助かるまいと思った。


「…え?」


目を瞑り、死への覚悟を決めた彼らはビルがいつまでたっても自分たちを潰さないことに違和感を覚え、はっと上を見上げた。


「…」


そこにいる誰もが言葉を失った。

彼らを絶望に追いやったビルを鎖使いの少女とは別の黒髪の少女が指一本で支えているのだ。


「あ…夢だな」

絶対に起こり得ないものを見て、白目を向いて数人が現実逃避したのだった。






「危ない危ない…あと数秒遅かったらこのおじさんたち、死んでたね」


ぐぐぐっ!と力を入れてビルをもとの角度に戻す。


「はてさて椎名さん?私の魔力、帰して頂きたいのですが?」


鎖使いの少女、椎名 歩の近くに地を蹴って近より催促する。


「…闇属性魔力か、まだそんなもの隠していたのか?」

「隠していたのか訳ではないのだが?」


なんか自分のしゃべり方がいつもと違うことにいらいらする。ストレスがたまる。


「っ!」

「うっ!?」


ストレス発散がてら、杖を椎名の頭に叩きつけると凄まじい勢いで彼女は落下し体を地面にめり込ませた。


「…闇の魔力…こわ」


オブラートには喧嘩を売らない方が良さそうだと、心底実感いたしました。

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