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第20話 さ~て!いっちょやりますかぁ!

「っち。そっちこそ、そんな紛い物の剣にこっちがやられると思うか!?ヴィオーサ!」

「ギャン!」


少したじたじしたレインが首をふるふると横に振ってこちらを睨み付けた。


そしてヴィオーサがその巨大な口から火を放出する。まるで巨大な火炎放射機だ。


「青い体して火出すって…、なんか不思議やね」


一気に迫り来る炎に向けてミカナ・ライルを向け、それに魔力を注ぎ込む。


すると、火は剣によって2つに切り裂かれボクの後ろを通りすぎていった。


「っ!!」


ヴィオーサの火炎放射が終わるとボクは地面を蹴って、それとの距離を詰める。


「ばかなぁ!ヴィオーサ!やれぇ!やれぇ!」


再びレインが指示を出し、ヴィオーサは前足をこちらに振り落とした。


「っと」


でも、さっきのボクとは訳が違う。

剣でその重い足を受け止めて、弾き返す。


「ぎゃ…」


そのバランスを崩した一瞬のうちに更に距離を詰め、剣で宙に魔方陣を描く。


「しまっ…」


レインの後悔の声が聞こえる。


「ミカナ・ライル」









バシュ…










空気中に鮮血が舞ったのを、皆固唾を飲んで見守っていた…










「はぁ…はぁ…はぁ…」


ミカナ・ライルに切り裂かれたビヴォーサ・カイナリヴァは大きな魔方陣に飲み込まれていった。


「あぅ…」


どさっと、ヴィオーサの背中に乗っていたレインが地面に叩きつけられた。


「さぁ…私の敗けだぁ。さっさと殺せぇ。私にはぁ、一人で戦う術なんてぇ、ないんだぁ…」


彼女の目にはうっすらと涙が宿っていた。


『さぁ蒼、さっさと封印するのじゃ。それで全てが終わる』

「…」

「早く殺れぇ!」








「できない…」

「!?」

「なんで…レインがまた封印を解いてここに来たのか。考えてみたんだよ。同じ立場になって。…寂しかったんでしょ?」

「っ…」


レインは顔を背けた。


「だからターシャを殺そうとした。自分の相棒、ビヴォーサ・カイナリヴァを過去に傷付けたから。友達を傷つけられたから…」

「そ、そんなわけ!」

「だって、いつもビヴォーサ・カイナリヴァのことを思ってたでしょ。だから…」


ボクは踵を返し、いまだに宙に浮かぶ大きな魔方陣に手を触れた。


「ぎゃ?」


するとそこから、青色の巨体をもったビヴォーサ・カイナリヴァがゆっくりと姿を表した。


「レイン達は、悪くはないよ。ただ、友達思いなだけさ」


友達を思う気持ちを、たとえ自分の名誉や地位、命を犠牲にしたとしても変えない。

それは並大抵の者にできることではない。


「ボクは君にとどめをささない。かわりに約束してほしい。この街に復習目的で現れないでくれ」


うつむいていたレインはしばらくして顔を上げた。


「うん。ありがとぉ」


その頬にうっすらと涙が伝っていた。




そして応援に来た人達も少しずつ解散していった。







「麗奈ぁ?生きてるか~?」


ずっと気絶していた麗奈のもとに駆け寄ると彼女はうっすらと目を開けた。


「…うるさい。…最近寝不足なんだから。…少し寝かせて」

「そういうもんなの?気絶って睡眠の一種だっけ?」


ま、いっか。麗奈なら大丈夫でしょ。


「じゃ…、」

「え?」


ボクがミカナ・ライルを天にかざすと、それはもとのような光になってはじけ、魔導書の中に吸い込まれるようにして収まった。


気になって開けてみると、ほのかに輝くページに「ミカナ・ライル」の文字があった。


「なるほど…便利だね」



そうしてボクはよろよろと、家に向かった。








「ただ…いま…」

「おかえり~、今日もいろいろあったんだって?」

「…誰情報?」

さんざん人が死にかけたってに、一回も顔出さなかったあの駄神だったらそいつを殺す!!



「え?あ、ターシャちゃんじゃないわよ?なんだかふてくされちゃったみたいで今日は寝てたみたいよ?」

「よし、殺してこよ」

「で、この子が来たのよ。蒼の愛人って聞いたけど?」


「愛人?そんな事言ったのはだ…おめぇかぁぁぁ!」


突如、母の背後からぴょこんと顔を出した。一度見たら忘れられない特徴的な顔つき。


「レインん!!!」

「どもぉ~、お邪魔してるよぉ~」


レインは右手をひらひらと振った。こういう風に、洋服を着ていれば普通にかわいいのに…


ボクは変態じゃないぞ?


しかもその頭の上には小さくなったビヴォーサ・カイナリヴァがいた。


小さくなれるんかい!


「ってか…なんで愛人?同性愛?」

「のんのんのん」


彼女はちっちっちっと指を横に振った。


「私にはわかるんだょぉ。陰と陽の差ぐらい」

「陰陽?あの白と黒の勾玉を合体させたやつみたいな?」

「いやぁ?魔力とか霊力の種類だよぉ。男は陽、女は陰。それを知って私は君に惚れたっ」

「唐突やなっ!?」


まてまてまて、会って間もない奴にいきなり告白かよ!


「まぁそれは置いておいて…」

「置いておいてぇ!?」


その瞬間、レインが涙目になっていたがほおっておこう。


「この傷、なんとかならない?」


傷とはビヴォーサ・カイナリヴァに切り裂かれた腹のものである。

麗奈には塞いで貰ったが一度開いているし、なによりヒリヒリと痛い。


「え?いいよぉ。そのくらい簡単だよぉ。カイナ、お願い」

「ぎゃっ!」


ビヴォーサが「まかしときやっ」て感じで返事をする。


「カイナって、それ?」

「うん、さっきはビヴォーサって読んでたからでしょぉ?なんでかってぇ?気まぐれだよ、気まぐれぇ」


ビヴォ…カイナはぴょんとレインの頭から飛び降りると、よたよたとこちらに近寄り、その大きな口(体に対して)を向けた。


すると、その口から緑色のオーラが溢れ出した。(悪臭ではございません)


「?これは…」


ほのかな暖かみを帯びたそれは(もう一度言いますが悪臭ではございません)傷に吸い込まれていった。


「カイナの能力の一つだよぉ。治癒能力。傷付いた物を修復する事ができる頼もしい能力だねぇ」


レインのいう通り、いつの間にかしっかりと傷口は塞がっていて痛みも引いていた。


「おぉ…すごい」


何度触ってみても、まるで傷口がなかったかのようにしっかりとくっついていた。


「よっし、じゃぁ二人とも?たくさん汚れてるんだしお風呂に入ってきなさいぃぃ!むふふぅ」


あなたはなぜ、ボクを一人でお風呂に入らせてくれないんだ…









一応、一章的なのは完です

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