第13話 部活体験やだぁぁ!!
「…」
今、ボクがどうなっているか。見なくてもわかる。
魂抜けたわ。これ。
「なんかお化けみたいなの浮いてる~」
「それは魂じゃの。人の子の魂は絶品と聞くが…?」
ターシャが舌なめずりをする。口元には滝のように溢れる彼女のよだれが。
「なに食おうとしてんだてめぇ!あんた神でしょ!?なに下界の人間を殺そうとしてるんだよ!」
魂がストンと戻ってきた。
そもそも神が口からよだれを垂らすなど、しても許されるのだろうか?
「安心せい。魂がなくても人の子は本能で動き続ける。食べたり、歩いたり、寝たりとかじゃな」
「安心できるかぁぁぁ!!」
「いや…まさかそんなはずは…」
こいつが?いや、そんな訳あるまい。
もし、かりにそうだとするのならばこいつが残忍な心を捨てたとでも言うのか?
それとも、隠して機会をうかがっているのか?
どちらにせよ、まだまだ警戒はしておかなくては。
こいつだけは『復讐』の対象になることを避けなければならないな…
――翌朝…
「部活ぅ?」
「そう、今日あたりに見学にいかない?」
登校中、蒼の姿のボクになんの前降りもなく沙与にそう言われた。
「やだ!絶対にやだ!」
「そんなのだから中学の時のあだ名が『ニート』だったのゆ!」
「うるさい!」
「部活か…我も入るとするかな?」
昨日、うちに止まっていったオブラートがちゃっかりと沙与に味方している。
恩を仇で返しやがって!
「だってさ…ボク…」
「?」
「二人いるようなもんだよ!?紅華の時どうすんだよ!!」
「だったら同じ部下に入れば良いじゃない」
「ぐっぅぅぅっう!」
完全に論破された。
今時の中学生はこんな時、「はいっ論破っ」とか煽ってきそうだなぁ。ははは…。
「どうしても行かないと…だめ?」
「「ダメ!」」
「はぃ…」
――放課後…
「じゃ~、文芸部」
「無理です」
読むのは良いけど書くのはのののん!!
「じゃ~、軽音部」
「無理ですっ」
聞くのは良いけど引くのはのののん!
「じゃ~、陸上部」
「嫌です」
足が遅くてそもそも無理ですのののん!
「なんならいいのよ!」
「全部やなの!」
部活とか無理ですのののん!
某軽音部アニメのマネをするなと?
だが断る。
「あれ?そういえば蒼って小さい頃テニスやってなかった?」
「知らん。記憶にない!」
「じゃあテニス部で」
「やだぁぁぁ!」
「今日は体験に三人来てくれた!皆、気合い入れてけよ!」
「「「おう!」」」
丸刈りの部長?らしき人が掛け声をかける。
テニスって丸刈りになる必要ない気がするんだけどなぁ…。
「ちなみに我が学校のテニス部は男女混合で行う!」
「な、何でですか?」
テニス部は基本、『男子テニス部』と『女子テニス部』に別れることが多い。ってかそれがほとんど。
なぜなら女子と男子には体格の不利有利が激しいからである。
「それはな…女テニと男テニ、合わせて四人だからだ!」
「よ…人?」
「そうだ!だから君たち三人が入ってくれた事はとても喜ばしいことだ!ありがとぅぅぅ!」
「いや…まだこれ体験です…」
「ありがとぅぅぅ!」
これ…絶対に入らないといけない雰囲気なんですけど~?
部長?らしき人、泣いてるし!
「じゃぁ、それぞれ自己紹介してもらおうか。まず君から」
「!?」
そして、なぜか最初に指を指されたボク。コミュ症のボクを殺す気か!?
「えっと…名前は…夏波 蒼です…テニスは昔やってたらしいです。よ、よろしくお願いします…?」
『おうおう…自分のことすら満足に伝えることができないとは…お主は「こりしょう」と言うやつか?』
(ちゃうわ!コミュ症だわ!)
なんだよこり症って!ボクはそんなにこだわるものないし!なんか悲しっ!
「夏波さんか…よろしく」
「夏波…さん…?」
なんか嫌な予感がする。
また勘違いされてないか?これ。
「じゃあ次お願い」
次に指されたのは沙与だった。
「はい。私は長原 沙与です。蒼とは幼なじみで、テニスも一緒にやっていました。よろしくお願いします!」
『ほれ見んか。お主との差は歴然じゃったぞ』
(やかまし)
「じゃあ最後。お願い」
「はい…、私は…長谷 麗奈《はせ れいな》です。中学の時もテニスをやっていました。よろしくお願いします」
(ほれ~!コミュ症はまだいた!)
『何で争っとるのじゃお主は』
ターシャのため息が聞こえた。
「よし、それじゃあ早速練習してみよう!」
「「「はい」」」
「っ!!」
テニスコートにテニスボールのバウンドする音が響く。
「っく!!」
テニスコートにラケットがボールを叩く音が響く。
「まだまだ!!」
「やりますね…」
テニス経験者はやはり強い。今、ボクは『長谷 麗奈』と模擬試合をしているのだが、白熱してしまい今のゲームカウントは4―4。
どちらかがあと2ゲームを連続で取れば勝ちとなる。
もちろんボクが中学でテニスをやっていた人に勝てるわけもない。
だから卑怯な気もするが、微弱ながらも体に魔力《マナ》を流して身体能力を向上させている。
何回か女体化して魔法を使っていたら、この姿の時でも多少なら魔力《マナ》を操れるようになった。
「らっ!」
「っ!」
相手を左右に振って、隙があったらそこに打つ。テニスの基本だ。
麗奈はそのボールを諦めずに取りに行こうとする。そして、その時彼女の口がゆっくりと動いた。
「あなたがそうするなら…私も使うわ…」
「?」
刹那、魔力《マナ》とは違う別の力が彼女から満ち溢れた。
「な!?」
その量はボクの魔力《マナ》など遠く及ばず、とてつもない威圧感に押し潰されそうになった。
「ターシャ!?」
『うむ、彼女…霊力の使い手か…』
「霊力!?」
『霊力は人が潜在的に持っている力の一つじゃ。最近の人の子は霊力の量が減りつつあるのじゃが…彼女は異常な量を持っておる。なめてかかるでないぞ』
「わかってるよ」
ボクも負けじと魔力《マナ》を全身に流す。
「「試合は…これからだ」」
「あの二人…本気ですよね?」
「…」
「先輩?」
「あれ…俺達よりもずば抜けてうまいわ」
「それな」
「どうなるか」
「気になるわね」
先輩達四人はこの試合をまじまじと見つめていた。
ちなみに阿灸はテニス部ですf(^^;
あと、前回のアンケートでせんとーとにちじょーの票数が同じだったので2つを混ぜてみました(--;)




