第12話 追加で廚二病はいりま~す!!
「そう、ここ」
なんだかんだ言って、学校から家までオブラートに送ってもらってしまった。
まぁでもボク自身、しっかりとまだ歩けるような状況ではないため当たり前っちゃぁ当たり前なのだが。
「ただいま…」
オブラートに支えてもらいながらもなんとかドアを開ける。
「あら、お帰りなさい。あ、また女の子になってるのね。ちゃっかり『JKらいふ』を満喫してるじゃない~」
「ボクはなりたくてなってんじゃないの!!」
この親の話を聞いていると今までの疲れがさらに増す。
あんたはボクを疲労死させるつもりか!!!!
「ん?その子は?お友達?」
「え?あ~、うん。まぁ…」
とりあえず曖昧に返しておく。ここで実際に闇の魔法が使える廚二病。と言っても信じないだろうし。
「いかにも。我は闇を司るもの。蒼と同じ、魔法使いだ」
自分で言いやがったよこいつ!ボクが気をきかせて黙っていたのに!!
そんなこと言ったってさすがに信じるわけが…。
「あら~?魔法使いさん!?蒼の他にも魔法使いさんがいただなんて~!私感激しちゃうわ~」
なんなんだこの母親は。馬鹿なのかそういう性格なのか。
全く持ってわからない。
「それにしても二人とも制服がぼろぼろじゃない。なにがあったの?」
オブラートはブレザーの前のボタンを止めずにネクタイもかなり緩めて、かなり自由度高く制服を着こなしている。
一方のボクはターシャが勝手につけていた新機能。『女体化すると制服が女子用の物にな~る』のおかげで、ブレザーに赤いリボン。スカートを着ている。
正直言って、着たくない。
まぁそれはおいておくとして、ボクらの制服はところどころが汚れたり、ほつれたり、破れたりしていた。
「ターシャから聞いてないの?」
「それがねぇ…。テレビに釘付けになっちゃってて…。バラエティーを昼からずっ~と見てるわ」
それを聴いてこめかみに青筋が立ったのがはっきりとわかった。
「人が死にそうな時にバラエティーなんか見よって…!!母さん!今日のターシャの夕飯はおからオンリーで!」
「お…おから?」
オブラートが困惑したような素振りを見せる。
おから(無調整)は絶大な威力を持っている。
おからをなにかに混ぜたりする分にはとても美味しい。
しか~し!おからだけで食べると口の中は砂漠と化し、パッサパッサになる。
でも、お腹が空くので食べなければいけない。と言うまさに悪夢のような仕打ちなのだ!
「さぁ~!中に入ってちょうだい!闇を司るお友達さん!」
「…」
うちの母親のテンションに若干引いていたオブラートであった。
――――――――――――――
「ふぅー………」
やっぱりお風呂はいいよね。1日でたまった疲れが一気にほどける気がする。
「なんか…二日間のことだったけど…」
ボクがターシャと知り合って、魔法を使えるようになってからの二日間。
なんだかとても長くも感じたし、短くも感じた。なんとも微妙な気分だ。
「オブラート…か…っ」
なぜ彼はオブラートと名乗っているのだろうか。
是非とも本名を聞いてみたいなぁ。
「夢みたいだし…」
そもそも魔法なんて正直信じてなかった。本とかアニメだけのものだと思ってた。
「世界って不思議だなぁ…」
顔を半分お湯に沈めた。
だが、そんなのんびり考え事をしていた次の瞬間。
――ダァンッッ!
と、お風呂のドアが開け放たれた。
「!!!?!!!!?」
不意討ちレベル、1000の驚きがボクを襲ってひっくり返った。
しかもそこには…
「おおお!オブラート!!??」
腰にしっかりとタオルを巻いたオブラートがいた。
この瞬間、
オブラート=廚二病
の公式はなくなり
オブラート=変態
の公式が出来上がった。
「呼ばれたような気がしてな。それと蒼の母方に入浴でもしてきたら~?と言われたのでな」
「呼んでないわっ!!そして少しは躊躇しろや!!!この変態ぃ!!!中身は男でも今のボクは女なんだぞ!!!」
たまたま近くにあった桶を掴んで放り投げる。
パコーン!!と音を出しながら、それ見事にオブラートの額にヒット。
「ごふっ!?」
彼は大きくのけぞった。
「あのねぇ…」
夜ご飯の唐揚げを頬張りながらオブラートを睨み付ける。
「ボクだったからまだよかったんだよ!?もし温泉とかでやったら捕まるからな!!」
となりでは無加工のおからをしぶしぶ口に運ぶターシャがいた。
「母さんも!!なに男を女のいる浴槽に誘ってんの!!馬鹿か!!」
「だってぇ…、私はあなたたちがイチャイチャしてるのが見たかったのよ…。親としての心配よ!!悪い!?」
「悪いわ!要らん心配すんな!」
でも、冷静になって考えてみる。
ボクって将来…
結婚できなくね?
そろそろ戦闘し~んだそっかな…。
よければ皆様のご希望を教えてください。
この小説は読者の皆様と一緒に作っていこうと思っていますっ!




