表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

冒険者になる

朝起きて、昨日決めた王国の方に向かうことにする。

歩いてだといつ着くかわからないので、軽く走って向かっていく。身体強化をしてるからかかるく40kmぐらい出てる気がする。


速度を上げつつ走り、あんまり疲れないのをいいことに走り続けてしまった。割と靴のダメージが心配になってきた。


昼近くまで走ってようやく遠目に壁に囲まれた街らしきものが見えてきた。

普通に考えて初めて来るのに死の森側から入るのは怪しいから反対側に回り込むか。


反対側には門に続く街道が東に続いている。目立たない所で街道に出て改めて街に向けて歩いていく。


門に近づいて行くと門番らしき人物が話しかけてくる。


「初めて見る顔だな。旅人か?」


「はい。冒険者になりに。」


「そうかい。カードはあるかい?」


「いえ、田舎から出て来たばかりなので。」


「そうか、なら名前を聞かせてくれるか?」


「セツナです。」


「セツナか。手配はされてないみたいだな。」

門番は手元にある冊子を捲りながら確認している。手配書的なものだろう。


「どこのギルドにも所属してないと街に入るのに大銀貨1枚預かることになるが、あるか?なければどこかのギルドに連れて行かなければいけないのだが。」


「大丈夫です、大銀貨1枚ですね。」

そう言ってストレージから大銀貨を1枚出し、門番に渡す。


この大銀貨は、最初のリュックに入っていた硬貨で、リュックには銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨が10枚ずつ入っていた。

硬貨は銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、大白金貨とある。

銅貨10枚で大銅貨、大銅貨10枚で銀貨と10枚ずつで次の硬貨になる。


「確かに。これが仮の身分証だ。ギルドに登録したら返しに来てくれれば大銀貨を返すよ。」


「ありがとうございます。」

礼を言って仮の身分証を受け取る。


「冒険者ギルドに行くなら、大通りを進んでデカい十字路をまっすぐ行ってすぐに見えるからよ。」


「はい。登録出来たらまた寄らせてもらいます。」


「まあ冒険者になって依頼に行く時にでも寄ってくれ。ようこそ、フィラーの街へ。俺は門番のザールだ。」



大通りを進んで行くと昼時だからか、屋台の売り込みにも力が入ってるようだ。

肉の焼けるいい匂いに近寄ってみると、店主が売り込みにくる。


「いらっしゃい兄ちゃん、どうだいホーンラビットの串焼きは?1本大銅貨1枚だよ。」


「じゃあ1本もらおうかな。」

代金を払い、受け取った串焼きをさっそく食べてみる。

「美味いな。」


「ありがとよ。だいたいこの辺で出してからまた来てくれや。」


串焼きを食べ、近くにあった何かの果実水を買い飲みながら大通りを進んで行く。

門番の言っていた十字路は今まで以上に屋台や露天の活気があったが、スルーして進んで行く。


剣と盾のそれらしい建物を見つけ入ると、正面には役所の受付のようなもの、右手に酒場が併設されたこれぞ冒険者ギルドのような場所だった。

昼を過ぎているからかギルド内には人は少なかった。少ないながらも入った瞬間に視線を感じるがスルーし受付に進んで行く。


「ようこそ、フィラーの冒険者ギルドに。登録ですか?依頼ですか?」


「冒険者登録に来ました。」


「はい。それでは、身分証ありますか?」

門番からもらった仮の身分証を渡す。


「セツナ様ですね。ではこちらの用紙に記入をお願いします。代筆はひつようですか?」


「いえ、大丈夫です。」

受付に礼を言って記入を始める。


名前 セツナ

年齢 18

職業 剣士

魔法 火、水、風

パーティ 希望しない


こんなものかな。

書き終えた用紙を受付の人に渡す。


「はい。ありがとうございます。それではこちらに手を置いて頂けますか?」

そういって水晶のようなものを取り出してくる。

その水晶に手を乗せると何かを吸い取られたような感じがする。


「これは?」


「こちらの水晶で魔力をギルドカードに登録して本人しか使えないようにしています。それではカードが出来るまでに冒険者の説明をさせて頂きます。」


冒険者はランクとしてFから始まりE、D、C、B、A、Sと上がって行く。

依頼内容に大幅なミスがない限り基本的には自己責任。特殊な場合を除き、受けられるのは自分のランク以下の依頼しか受けられない。

特殊な場合とは、緊急性の高い場合や依頼者からの指名や、ギルドからの紹介等がある。


依頼料に税金が含まれており、依頼をすることによって税金を払っている為、怪我等何らかの理由で長期にわたって依頼が受けられない場合、申請が必要である。

申請をせず依頼を一定期間行わなかった場合、税金の取り立てや冒険者ランクの低下、剥奪、最悪の場合奴隷落ちもある。


「今までのところで何かご質問はありますか?」


「いえ、大丈夫です。何かわからないことが出来ましたらまた質問してもいいですか?」


「はい。混雑している朝や夕方でなければ可能です。朝や夕方でも、ちょっとしたことでしたら大丈夫です。」


「それでは、こちらがギルドカードになります。新規は無料ですが、再発行には大銀貨1枚が必要になりますので無くさないようにして下さいね。まずはギルドカードに魔力を流して頂けますか?」

言われた通りに魔力を流してみると、先ほど記入した内容がカード表示される。


「表示される内容は、任意で変更可能ですので、基本的には名前のみで大丈夫だと思います。」

名前以外を非表示にするように考えながら魔力を流すと名前以外が消えて名前のみが表示された。


「それでは、説明は以上になりますが、依頼を受けられますか?」


「いえ、今日はやめておきます。ところでオススメの宿屋と武器屋はありますか?」


「そうですね。宿屋は4軒隣の暁の宿がオススメですね。武器屋は南地区のガンツさんのお店がオススメです。」


「ありがとうございます。さっそく行ってみますね。ところであなたの名前を聞いても、いいですか?」


「はい。申し遅れました。私は受付のエリーと申します。」


「エリーさんですね。今後ともよろしくお願いします。」


「はい。セツナさんも頑張って下さい。」


「それでは、また明日来ますね。」

エリーに別れの挨拶を済ませ、まずは宿屋に行ってみる。

4軒隣だからすぐに見つかり入ってみる。


「いらっしゃい。泊まりかい?食事かい?」

入ってすぐに女将と思われる女性が声をかけてきた。


「冒険者ギルドの紹介で来ましたセツナです。部屋は空いてますか?」


「空いてるよ。一泊銀貨1枚、食事は1食大銅貨2枚だよ。」


「では7日間朝夕2食付きでお願いします。」


「はいよ。7日間2食付きで銀貨9枚と大銅貨8枚だよ。」

大銀貨1枚を渡し、おつりの大銅貨を受け取る。


「これが部屋の鍵だよ。部屋は上に上がって奥から2番目の部屋だよ。水は裏の井戸を使ってくれ。お湯は桶1杯1日1回サービスだよ。」


「ありがとうございます。ええっと、、」


「ああすまないね。あたしは女将のヘレンだよ。食事は旦那のケビンが作るよ。夕食はたべるかい?」


「はい。よろしくお願いします。」


2階に上がって言われた部屋に入ると、小さなテーブルとイスとベッドが置いてある。

少し休憩した後に武器屋に行くことにする。


大通りを南に曲がり、露天で串焼きや果実水を買いストレージにしまいつつ、ガンツさんの武器屋のことを尋ねつつ店を探す。

剣とトンカチの武器屋らしい看板のお店だ。


店に入ると武器が置かれた棚とカウンターらしきものがあるが、店員はいない。

カンカンと奥から音はするので誰かはいるのだろう。

少し店内を見て待ってみることにする。

剣や槍、斧、ハンマー基本的な武器は置かれてる感じはあるが、これといって業物は見当たらない。まあ値打ちのあるものをこんな所に置いておかないか。


剣を見つつしばらく待って見たが誰かが出てくる気配がないので声をかけてみることにする。

「すいませーん。」

反応がない。

「すいませーーーん。」

今度は少し強めに言ってみる。


反応がないので、諦めて帰ろうかと思った時、奥から背の小さい150cmぐらいだろうか、髭を生やした太めの男性が出てきた。

ザ・ドワーフって感じだな。


「ん?お前さんは誰じゃ?」


「ギルドの紹介で来ました。冒険者のセツナです。武器を見に来ました。」


「おお、そうか客か。どんな武器を探しとるんじゃ?」


「剣を使おうと思いますが、冒険者になったばかりなので予算はあまりないのですが。」


「新人じゃったか。そうじゃなこれを振ってみい。」

そう言うとカウンターの裏にあった1つの剣を渡してくる。


言われるままに軽く振ってみると、ガンツさんは黙ってこっちを見ているままで固まっている。

「どうかしましたか?」


「おぬし、その剣は重いか?」


「いえ、さほど重くはないですね。」


「そうか、ちと待っておれ。」

そう言うと、ガンツさんは奥に行ってしまった。少しして黒い鞘に入った剣を両手で持ってきた。

「これを振れるか?」


持ってみると少し重さを感じるが振れなくはない。身体強化を使えば重さは感じないだろう。鞘から出すと刀身も黒い剣だ。


「それを片手で軽々と振るか、、、よし!それはおぬしにやろう!」


「それはどういうことですか?」


「それは失敗作でな。頑丈に出来たのはいいが重くなりすぎてな。片手剣なのに振ろうとすると両手が必要になる。特殊な鉱石を使っとるから両手剣に変えると費用がかかりすぎて割りに合わん。処分に困っとったから丁度いい。」


「しかし、ただで頂くわけには、、、」


「なら他の装備をここで買っていけ。見た所ナイフぐらいしかないみたいだからな。」


「では、それでお願いします。」


「それじゃあ、おぬしは基本的な戦い方を教えてくれ?盾は持つのか?」


「盾は今の所考えてないですね。敵の攻撃は基本的に躱すか受け流すかを考えています。」


「スピードタイプか。まあその剣は頑丈に出来とるから大抵の攻撃は受けても大丈夫じゃ。それを軽々持つおぬしが力負けすることもあまりないじゃろうしな。防具は要所を守るタイプでいいじゃろう。後は採寸しとくぞ。」

そう言って手早く採寸していく。


「後は予備の剣があればいいのですが。」


「予備ならその辺にあるのを適当に持っていけ。弟子が作ったやつじゃがないよりマシじゃろ。それで全部で大銀貨5枚じゃがあるか?なければある時でいいぞ。」


「いえ、あります。」

大銀貨5枚を渡すと、少し驚いたようだが受け取ってくれた。


「後は剣を少し調整するから、少し待っておれ。」

そう言うと剣を2本持って奥に行ってしまったので、また店内を見ながらしばらく待っていると戻って来た。


「ほれ、調整しておいたぞ。」

渡された剣を軽く振ってみたが、さっきより手に馴染むようだった。


「3日後には出来とるだろうからまた来てくれ。」


「はい。ではよろしくお願いします。」

礼を言い武器屋を後にし、行きに見かけた服屋や雑貨屋で必要な物を買いストレージに入れて行く。

(女神様に貰ったお金はだいぶ使ってしまったな。明日から依頼をしないといけないな。)


宿屋に戻って夕食を食べた後は、すぐに眠ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ