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月夜に提灯、一花咲かせ  作者: 樫吾春樹
山査子編
2/12

弐輪目 雪の下

 肩を揺すられながら、現場に着いたよと言われ起こされる。本日の一件目の現場は都内になる。というか、都内じゃないことの方が珍しいと言うべきか。ビルの内装工事を中心としているため、都内だったり休日だったりが多い。

「また、この現場ですか。随分、久しぶりですね」

「数ヶ月ぶりだね。指示書がないから誰が来るのかわからないけど、時間まで待ってることにしよう」

「そうしますか。今日はシールですよね?」

 シールとは、サッシとガラスの間にシリコンを入れる作業を指す。シーリングと呼ばれたり、コーキングと呼ばれたりする。

「そうだね。天井と目地だね」

「わかりました」

 僕は一件目のこの現場ではやることがなく、見てるだけになるようだ。次の現場ではやることがあればと思う。

 そんなことを考えていたら、待っていた人が来た。待ち合わせに来たのは、僕達も何度も会っている人だった。

「おはようございます」

 挨拶をして、軽く会釈をする。他にも何人かの職人さんを待ち、全員揃ってから受付を済ませ目的のフロアへと向かう。エレベーターの中では先輩や、他の職人さん達が会話して、僕はそれを黙って聞いていた。

 目的の階に着いたが、責任者の方が他の職人さん達と別の工事のことで違う階に行くため、僕達はその場に待っているように言われた。

 エレベーターが閉まり、下がってからしばらく時間が経った。暇になったのか、先輩が僕の頭を突いてきた。

「なんですか?」

「いや、特に深い意味は無い」

「はあ…… 現場ですよ、裕人さん」

 お返しとばかりに突きながら、先輩に言う。

「そんなこと言ってる、まこちゃんもね」

「何のことでしょう」

「やーい。寂しがり」

「身に覚えがないですね」

「身に覚えしかないんじゃなくて?」

 くだらないやり取りを繰り返す。僕達は同じ仕事の先輩後輩であり、恋人同士でもある。そうでなかったらこんなやり取りは、まず僕がしないだろう。確かに甘えたい時もあるが、人目につくような。しかも、大きな現場とかとなれば話は別だ。仕事は仕事。そうやっていかないと、色々と面倒になる。

 更に三十分くらい経った頃、責任者が扉から出てきて僕達の作業する部屋を開けてくれた。中に入り準備をしていると、パーティション工事の人が同じ部屋に入り、パネルを外すのだと言い作業を始めた。

「これは終わるまで待ちだね」

「大人しく隅で待ってますか」

 部屋の隅に退避し、彼等が終わるのを僕達は待つことにした。待っている間に僕は、過去の記憶を思い出していた。先輩に出会った当時のことを。

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