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梅子のあるじ様

作者: 霧谷水穂
掲載日:2016/06/07

あたしは梅子。


橙色から桃色になるように色にぼかしを付けた着物に赤色の梅の花が描かれた着物を着てます。

あたしは体が子供なので振袖ではないです。


頭はおかっぱ。でも前髪までおかっぱの長さなので頭の上に梅の花の髪留めで結ってます。


この見た目でわかる人にはわかるかもしれないけど、あたしは座敷童子。

でも普通の座敷童子が依代にしているのが家屋敷なのに対して、あたしは人の身体を依代にしているところが違います。


あたしはこのあるじ様の中に住んでます。

不思議ですね。

あたしもどうしてここに住めるのか不思議です。


でもあたしが普段いるあるじ様のインナースペースはとても居心地がいいです。

ここは一面原っぱです。

あるじ様が見ている世界のようにゴミゴミしてません。

どうしてこの景色なのか初めは悩みましたが、あるじ様が他の方に話している言葉で納得したんです。


「一回牧草地の草の上でゴロゴロしてみたい」

これが叶えられていない為みたいです。可愛らしい夢です♪

あ、思考でアルプスの女の子が転げまわる映像が来ました。


ここにはあたし以外に、あるじ様の守護霊をしていてご先祖様にあたる辰巳たつみ様。

辰巳様は月齢14.9だった今年の2月23日神様会議に呼ばれて行って龍神にランクUPされました!

その手助けをしたのが同じく守護についている東洋系白龍の天考命龍てんこうめいりゅうさん。

去年、月齢14.9が二カ月続けて訪れた7・8月時に調整して守護者になったの。

普段はこのインナースペースの空を悠々と飛んでいます。


月齢14.9の夜は世界の狭間が開く時なので神様が地上を覗いたりするみたいです。

あるじ様は生まれは太陽の日なのに魂は月の属性らしいです。だから龍に好かれやすいとか。


嬉しかったのは辰巳様が龍神様になったのでインナースペースを加工することが出来るようになった事です。

とはいえ、前までは切り株だった椅子が東屋にランクUPした位ですが。

でも日影があるっていいですね。


ここからはこのインナースペースの出来事を書いていきますね。


2016/4/2

今日は空から天礼賛降幸粒雨てんらいさんこうこうりゅううが降ってます。

天考命龍さんが言うには幸せを長続きさせる効果がある粒子の雨だそうで、降った光を地面に定着させないといけないみたいです。

さっきから全部地面に吸い込まれて消えていってます。あたしにはそんな力は無いので普通の雨と一緒ですね。


4/10

今日は何だか日差しが強いです。

龍神の辰巳様が言うには神様が通りかかっているみたいです。上空で旋回されても受け入れられませんね。

かなり強すぎる神様みたいです。

あるじ様は生まれの日の回りが太陽に当たるのでこういう事もあるかもです。

でもあるじ様の心は水に属しているので辰巳様と一緒に守ります!


4/20

今度は勝負の神様が団体様で降臨されました。

紫至十二天将ししじゅうにてんしょうと言う団体様です。

どうしてあるじ様のとこに?

あるじ様は勝負事がお嫌いで賭け事とかしないし、マンネリ化した生活を送ってます。

「ひとりひとりの力は微量でも、繋ぎ合わせれば確かなものとなる。

この者の負けてはならぬ時だ。求められれば力になろう」

そうおっしゃったのは十二方位の北を司る玄武様です。

来るとこ間違ってないかな? あたしが困ってても否定の言葉はもらえませんでした。

時間切れでお帰りになりました。


4/29

草原に見たことのない箱があるのを見つけました。

空の色を更に薄めたみたいな色の箱で、白いリボンがかけてありました。

触ってみて『識恋箱ことこばこ』だとわかったけど困っちゃう。

これはすれ違った恋人同士を繋ぎ直す力が込められた箱なのです。

あるじ様は今までどなたともすれ違った事がないので(あたしが見てきたんだから確実)使いようがないです。

辰巳様とも相談したけど放置しました。自然に消滅しましたね。

この次は使える方のとこに現れるといいなと思いました。


5/1

今日は草原が霧に覆われています。

あるじ様の心が現れるインナースペースの草原で周りが見えないってあたしはとても心配です。


5/5

霧の草原に突然姿見サイズの鏡が出現してびっくりしました。

鏡の部分が水で出来ていたので辰巳様に見てもらったら、『恋紫麗水鏡れんしれいすいきょう』だと教えてくれました。

外国の美の女神様の力で好きな人を映せる鏡だそうですが、またも困ってます。

だから、あるじ様にそういう人はいないっていうのに!

あたしが覗くと中で桜色の人型がうごめいていました。

あれがあるじ様の想い人? まだ人になってない……まだまだみたい。あたしが当たってました!


5/8

霧も晴れた草原に辰巳様が帰ってきました。何でも昨日の新月に神様の会議があったと言ってました。

でも少し困った顔してました。

聞いたらあるじ様を『東福興太子とうふくこうたいし』にしないかと指名を受けたのだそうです。

でも指名確定にはあるじ様の承認が必要だとか……それは無理ですね。

あたし達はここにいるけどあるじ様と話ができるわけじゃないから。

保留っていいのかな?


5/12天赦日

『太子たる人……見つけた……役目を果たそう』

どこからか声が聞こえてきました。

姿は見えないけど優しい声でした。


5/13

今日も空を舞っていた天考命龍さんが何だがソワソワして『大守護天瑞兆だいしゅごてんずいちょう』が来る。と言い出しました。

それって新しい守護者が増えるって事ですよね?

本当なら凄いです! 頑張り屋の人には守護者が多いって聞いたことがあるし、本当に嬉しいです!


5/18

「やっと来られた」

瑞兆の輝きを背負って空から舞い降りたその声をあたしは聞いたことがありました。

天赦日に空から聞こえたあの声と同じです。

つまり声が届いてから到着するまで六日もかかっているんですね。ご苦労様です。

そのあたしの前にいる姿は【麒麟】です。

体長は五mは超えてます。たてがみがオパールのように五色に輝いていて、身体は黄色いです。

瞳は松の葉のようにくっきりとした深い緑色。

「我は、松珀しょうはく。松の琥珀と言えば通じるだろうか?」

大きな姿のわりに気遣わし気な声をかけてきます。

その言葉を聞いて辰巳様が優し気に微笑んで迎えていたので、きっとあるじ様と縁のある方なんでしょう。

「我の力は、主の望む理想と未来の実現に使われるものなのだ」

あたしにもやる気はひしひしと感じます。この麒麟の松珀さんも頑張り屋なのかもしれません。


5/25

最近はインナースペースで光を振りまいていた麒麟の松珀さんがいないと思ったら、天考命龍さんが『麒麟雲きりんうん』が来る。と言い出しました。

何事だろうと空を見ていると彼方から麒麟の群れがやってきます。

しかも先頭にいるのは松珀さんじゃあないですか! 何やってるんですか!!

よく見ると松珀さんを含めすべての麒麟さん達が何かくわえています。

え?……あれは天翔黄福晶てんしょうおうふくしょうって幸せを集める福運結晶じゃないですか!

しかもこの数ですか?

インナースペースに置いてパンクしませんか?

不安を口にすると辰巳様と天考命龍さんも受け入れに協力してくれるらしいです。

そうですよね。あるじ様が幸せになるのはあたし達の一番の望みです!!

まずはあたしは辰巳様が指示した東屋から離れた場所の土に丸く線を描きました。

次に辰巳様がその線にご自分の力を込めた水を流していきます。

それが終わると天考命龍さんが円の上空で水を呼ぶ歌を歌います。するとその丸は池になりました!

その池の上から麒麟さん達にくわえている福運結晶を一つずつ落としてもらいます。

一度ではなくまずは五つほどにして辰巳様が池の水に手を沈めて言葉を紡ぎます。

全天受謝ぜんてんじゅしゃ

池の中で結晶が一つになりました。溢れている力も圧縮されてあるじ様にも負担にならない大きさにできるみたいです。

「済まぬ」

良かれと思って沢山結晶を集めてきた松珀さんが頭を下げて項垂れています。

それに辰巳様は優しく微笑んで頑張ってくれたのだから此方も頑張りますよ。と言っていました。

順々に落とされる結晶を同化させていき翌日までかけて同化を終わらせると、池から結晶が立っているオブジェになっていました。半透明の結晶は意外とキレイ。


5/31

昼過ぎ、東屋のテーブルの上に手紙が届いていました。封筒が金色です。

辰巳様はそれを見ただけで一歩後ずさっていました。何でしょう?

話ではこの手紙の差出人は『大富財龍だいふざいりゅう』と言う財を司る超高位の龍神様だそうです。

人と接触するなんてほぼありえない方だそうです。

あたしにまであるじ様が何かしていたかと聞かれてしまいました。

何でしょう……今日的には日が変わったばかりの時間に何かに応募していましたね。

当たっても栄誉にはなるけど財にはならない応募だったのを覚えています。

「それか……しかし」

辰巳様が躊躇しています。大富財龍様からの手紙は持つ力が強い為、開くにも龍神の力を使うのだそうです。

良い事であれ、悪い事であれ何かが起きるぞと言う警告と見て、開かないで消えるまで置いておくことにしたようです。

あたしも開くのに力を使い過ぎて辰巳様が消えたりしたら嫌です。もちろん頷きました。


6/1

「主にいよいよ降り立つ。光の柱を伝って降りてくるものがある」

空に向かって鳥のように美しい声で歌っていた松珀さんがつぶやきました。

何だかワクワクしてる感じです。

どうしたのかなぁと思っていたら空に雲が湧いてきてその隙間から光の柱が降りてきました。

俗に言う天使のはしごですね。

しかも光は真下ではなく松珀さんに向かって振り注いでいます。

空に向かって松珀さんが歌を捧げていけば、光に当たる程に松珀さんの波動というか霊力が高まっていきます。

ああ、守護者の霊力が上がると憑いているあるじ様が幸せを感じる手応えが大きくなるはずです。

それを狙ってあれを呼んだのでしょうか?

でもあれは失敗かも……。

松珀さんが不思議そうにこちらを見てるので、高次元の霊獣になっちゃうとあるじ様に「新獣契約」してもらわないと縁が切れちゃうんじゃない?と伝えました。

「なんと! 我では主の力になれぬのだろうか……」

人間って不思議な生き物でね。

あんまり幸せが大きすぎても実感が持てない、幸せを感じられなくなるものらしいから。

ほどほどがいいと思うよ。と伝えると、松珀さん項垂れました。

「そういうものか……」

ああ~松珀さん落ち込んだ。


あたしも辰巳様も天考命龍さんもいるし、一緒に頑張りましょうね。

いろんな事があるけれど、あるじ様のインナースペースは今日も平和です。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして 私もある占いメールから松珀の麒麟が表れた 神獣契約をしないと…という内容のメールから この小説に辿りつきました。 霧谷さまもそうですか? 全く、同じ内容でしたので驚き、こちらに…
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