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夢は国家公務員!?~異世界なのに転生者に優しくないこの世界~  作者: ETRANZE
調査官編 魔鉱石求めて三千里 
40/87

オペレーション・ゲラント(中編)

連載の一つが終わったことによるシャワー効果でこの作品を目に留めて下さる方も沢山いるようです。

本当にありがとうございます。 未消化ではありましたが、毎日時間に追われながら投げ出さずに続けてみてよかったと『今は』思えますw

********************


「さぁて、今日も真面目にやってるかな?! 鉱山のヤツらは!」


我が物顔で馬に乗り、取り巻きの元犯罪奴隷たちを引き連れていつも通り鉱山の巡回に来たダール。

色素の薄い茶色の髪は整えられている。 


尖り気味の輪郭、細い目に太い眉がややアンバランスな印象の顔立ちだ。


年はルフとゾフよりも2つほど上だ。


乗馬は帝国に来てからゲラントヘ来る道すがら『隊長』から教わった。


「皆の上に立つ『ボス』なら馬の一つくらい乗れなければいかん。」


その言葉は彼の自尊心を大いに刺激していた。


・・・まんまと乗せられたともいう。 


以来『隊長』が去ってからも馬に乗っての巡回が日課になっている。


獣人の里を3人で追い出され、帝国で傭兵稼業をしていた最初の頃はロクに肉も食べられず苦労した。


獣人のエンゲル係数では、下っ端の傭兵程度で稼げる金で買える肉の量ではとても足りない。


実力はあっても実績のない3人にワリの良い依頼が回ってくるはずもなく、毎日豆とスープという獣人族にとっては拷問のような日々を送っていたあの頃に比べればまさに今は天国だ。


ある日傭兵ギルドにふらりと現れた赤い鎧の男は、豆のスープをスプーンに乗せたまま、口に運ぶでもなくうんざりした表情で頬杖をついているダールたちの前にやってきた。


いきなり彼らのテーブルの上に、


【ダンッ!】


と子羊の丸焼きを置くとこう言ったのだ。


「獣人のダール君だね? 私は君たちを高く買っているんだ。 私の役に立てば『肉』には困らん生活を送れるぞ?」


きっと人間相手なら『カネ』というところだろう。 とにかく、その殺し文句に誘われた。


『隊長』にダールは心から感謝していた。 今のところ魔鉱石を積んだ馬車と、肉を満載した馬車の往来は順調だ。 肉の量は右肩上がりに増えている。


「そろそろ新しいニンゲンどもを探してこなくちゃこれ以上肉が増えん。 けど周囲の村や町に手を出すなと言われてるし・・・。どうするかなぁ。あぁ~めんどくさ。」


ダールのここ最近の悩みは魔鉱石の産出量の増加が徐々に頭打ちになってきている事だ。


残念ながらダールはどちらかと言えばフルーと同じ『パワー系』。


人を増やすか長時間働かせればよいという事くらいは分かるが、『隊長』に周辺からの誘拐も、過酷な労働も禁止されている。


そこがボトルネックだとは分かっていても悩むばかりで一向にアイデアは出なかった。


新たに送り込んだ街の住人や、兵士たちもわりあい素直に言うことを聞いているので、とりあえずダールはそのことで満足することにしていた。 


犯罪奴隷たちも最初は反抗的だったが、今では誰もが彼を『ボス』と呼び彼を持ち上げている。


因みにダールは皆が素直なのは自分が『隊長』の教えを守って鉱山で働く人々に優しく接している『人徳』だと思っているが、事実は少々ちがう。


統治が始まって間もない頃、元犯罪奴隷の監視役の中でも札付きのワルと言われていた男が鉱山ではたらく女性に乱暴をしようとしたことがあった。


だが獣人化したダールに胸ぐらを掴まれ、文字通り吹き飛んだ。


ぶつかった坑木もめちゃくちゃに折れるという人外のパワー系能力を見せつけられたがために、誰もが大人しくしているというのが真相だ。


・・・因みに男は酷い打撲だったが生きていた、奇跡的に。


もちろん衣食住に気を使った指導を『隊長』が残しており、上位者の指示には従順な獣人族であるダールが律儀に守っていることも理由の一つだろう。


けれど働かされている人々の心情的にはダールに対する畏怖の念が強い。


普段自分たちに公平で優しいだけに、逆らってはいけないと誰もが思うのであった。


『知らぬは本人ばかりなり』


という状態である。


「ボス、今日はルフさんとゾフさんがいねぇみたいですけど?」


馬上で上機嫌で揺られていると媚びた笑いを浮かべながら言う手下の一人。


そう言われてみれば確かに今日は二人の姿を見ていない。


いつも巡回の時間には鉱山前にいるように言ってあるのだが。


「まったく。 お子様はしょうがないな! どうせどこかで道草でも食っているんだろ。 責任感の無い奴はこれだから困ったもんだ。」


「へへへ、ボスも苦労しやすねぇ。」


「そーなんだよ、わかってくれるか!」


毎日肉食って、昼寝して、ゴロゴロして、肉食って、巡回して、肉食って、ゴロゴロして、毛づくろいして、寝る。


それが安定のルーティンのクセに、ダールは大まじめにそうのたまう。


するとその時、


【【グ、グワワッ!!!!】】


爆音と閃光が立て続けに二か所から起こり、煙がもうもうと上がる。


【ヒヒヒィーンッ!】


「おおっ?! うぉわっ!!」


突然の爆音に驚いた馬が棹立ちになり、まだあまり馬のあしらいに慣れていないダールは思い切り背中から投げだされる。


「いってぇー。 ツッ・・・なんだ、なんだ?! 一体どうなってんだ?」


起き上がると手下たちが町中と、帝国領側の森の中を指さしている。


それぞれの場所から煙が上がり、空へたなびき始めていた。


「敵襲ですぜボス!」


「ヤロウ! 生かしちゃおかねぇ!」


【グルルルッツ!!】


「「「ひっ!」」」


いきり立ちかけた手下たちだが、獣人化し犬歯を剥き出しに唸るダールを見て一瞬で大人しくなる。


「アツくなるな! 『隊長』は人殺しは好きじゃねぇ。 ルフとゾフが気づかねえってことは敵は多くねぇ。


あいつらも駆けつけるだろうからお前らも殺さねぇように侵入者を捕らえろ! 行け!」


「へ、へいっ! わかりやしたボス!」


そう言うと、まとめ役の男が取り巻きを二つに分け、それぞれの現場へ向かわせる。


『どっちがアツくなっているんだか』


といいたいところだがココは素直に従うのが吉だと男達は理解していた。



その姿を見届けるとダールは空に向かって吠える。 


ルフとゾフに敵侵入を知らせなければならない。


【ウオォオーンッ!(敵だぞ!)】


すぐにルフとゾフの遠吠えも帰ってきた。


【ウォーン!(わかってるって!)】


【アオーンッ!(今から向かうよー!)】


「フン! ルフとゾフがまんまと侵入されたっていうことは今度のやつらはちょっとはやるみたいだな! ワクワクしてきたぞ! よしっ!」


その返事に満足しながら、ダールは久々に狩りに似た高揚感を覚えていた。


そして自分は鉱山の守りを固めるべく、足を向けかけたとき、鉱山わきの茂みから何かがこちらへ飛んできた。


「ん? なんだぁ?」


それを目で追うと、ダールの足元で


【トスッ】


と地面に落ち、コロコロと転がる。


それは松かさのようにも見えた、だが少し大きく、なんとなく重量感がある。


そして松かさのように自然のものではない、人工物を思わせる作り。


「ん~?なんだこりゃ? 変なの。」


飛んできた方向へ目をやると人影がある、視線が合うとダールは目を見開いた。


「?!フルーのあんちゃん!?」


久々に見る姿だが見間違いようがない、見慣れた獣人がそこにはいた。


ダールは反射的に手を振って、呼び掛けていた。


「うおーい! あれ??」


向こうもこちらに気付いたはずなのにダールの呼びかけには答えず、さっと茂みの中へ伏せるように隠れてしまう、一体どうしたというのだろうか?


「? えっ? なんで・・・?」


ダールの頭の中が疑問符に埋め尽くされた時、


-【グワンッ!!】-


「うぉ・・・・」


凄まじい閃光と、爆音を浴びて、ダールの意識は白く塗りつぶされ、そしてふつりと途切れた。


獣人の鋭敏な聴覚と視覚の両方に尋常でない衝撃を受けて、ダールはバッタリと倒れこむ。


こうして、ユーリアたちは案外あっさりと『ボス』確保に成功した。



お読みくださりありがとうございます。

スタングレネードが実際どのくらいの威力なのか映像を探したのですが、模擬弾のショボい映像しかなかったので完全に想像ですw

因みにダール君のイメージはハイエナです。 disっているわけではありません、念のためw

これからも応援よろしくお願いします。 

皆さんがどんな気持ちで読んでくださっているかなどぜひ感想などお寄せ下さい。m(__)m




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