魔鉱石を巡って~テルト参謀は語る~
改めて自分の書いてきた文章をみて、「そう言いながら~」「その~」などの言い回しが多すぎて、くどい文章、店舗の悪い文章になっていることに今更気づき、全話に渡って修正してみました(^^;
内容は変わりませんが今から目を通してくださる方が少しでも読みやすくなれば・・・><
やはり書き手側のプロの方の文章を見ていると勉強になりますねぇ・・・。
アルファポリスや、勝手にランキングにも連携してます。
ページ下部よりぽちっと清き一票を投じてくだされば幸いです。
ゲンコツをお見舞いしたあとで、改めて仕切りなおすフルー、
「んで?! もう一度聞くけど何でお前たちはこんなところにいるんだ?」
「・・・れた。」
両手の人差し指を顔の前でツンツンとしながら消えそうな声でいうルフ。
「あん?もっと大きな声で言えよ。」
「追い出されたんだ、獣人の里を。」
そうわめくようにいうルフ。
「そりゃまたなんでだ?」
「・・・ちゃっんだよ。。」
今度はゾフが答える、胡坐をかき、手のひらにあごを乗せてふてぶてしい態度だが、こちらも声は小さい。
「だから! 大きな声で言えよっ!」
「食べちゃったんだ!冬の間の食料を!」
怒鳴り返すようにいうと鼻を擦るような仕草をしてぷいっと横を向いてしまう。
フルーはその答えで全てを察したらしく、額に手を当ててやや大げさにあきれて見せた。
「あちゃー。お前らやっちまったなぁ、そりゃ。」
「?どういうことだフルー?」
イマイチ状況が飲み込めていないユーリアが聞くと、フルーは説明を始める。
「あのな、俺たち獣人は、畑も耕しちゃあいるが、基本肉食だ。 普段はまぁ狩の獲物8割、野菜や穀物2割で暮らしてる。 だが獣人の里は冬場は雪に閉ざされる。 オレたち獣人は肉には目がないからその間も干し肉や塩漬け肉を人間よりもうんとたくさん蓄えて冬に備えるんだが・・・。」
「あぁ~。それを食べちゃったと。」
話が見えてきたユーリアがそう口を挟むと、
「そう・・・」
「そうなんだ・・・だから『3度目の春を迎えるまで帰ってくるな!』って族長に言われた。」
ルフとゾフはそういってしょげ返ってしまった、シッポも力なく垂れている。
二人を横目で見ながらフルーはユーリアに向けて言う、
「蓄えがあるとは言っても冬場は大体肉と穀物は半々くらいになるのさ。だから『もっと肉が喰いたい!』っていう不届き者が出てくるってわけ。 まぁ、春を待って追い出したのは族長のお情けだな、一生追放ってわけでもないみたいだし。」
首を振りながら言うフルーに、
「なるほどなぁ! 経験者は語る! ってやつか。」
「うむうむ・・・。」
合点がいった様子で『ぽむっ!』と手のひらを叩くユーリアと、何度も頷くテルト。
「ちがうわい! 俺はバレない程度につまんで長く楽しむ派なのっ! ちゃんと頭数は合うように塩漬けの樽それぞれから少しずつくすねてたし、干し肉もナイフで少しずつ削ってちゃんと形を整えてたんだからっ!」
「「「「・・・」」」」
「あっ・・・、い、今のは・・・冗談・・・ねっ、わかるでしょ?」
反論しようとして勢いのままボロを出してしまったフルー。
・・・、やはりアホ獣人とは自分の事で間違いないだろう、旋回半径の短いブーメランである。
「フルー・・・お前ってやつは・・・。」
「粉飾自慢とは、神経の太いヤツ。」
「「あんちゃんサイッテー!」」
ジト目でフルーを見つめる四対の瞳。
「ま、まぁ。 それは置いといてだ! 」
「えーっ、置いといていいのか?」
ボソッと言うユーリアを無理やりスルーしながら、フルーは続ける。
「え、えっとー、それで里から出てきたのはお前ら二人だけか?」
「いや、もう一人いる。」
「うん、僕ら共犯って言うか、ダール兄さんに誘われてやっちゃったんだよ・・・。」
「あいつか! あいつも食い意地が張ってるからなぁ~。」
「お前が言うなお前が・・・。」
思わず茶々を入れてしまうユーリア。
「ちょ! 外野は黙っててっ!」
「で?あいつは今どこにいるんだ?」
「ダール兄ちゃんは鉱山の『ボス』になって偉そうにしてるよ、なぁルフ!」
「ゾフの言うとおりだよ。 ズルいんだ、毎日自分ばっか肉たくさん食べて!」
「なにぃ?! そいつは断じて許せんな!」
肉の話になった途端、ボルテージが急上昇する3人。
「ちょっと、ちょっと。 肉の話はあとにして!」
話が脱線しかけそうなのでユーリアが話に割り込んでさらに尋ねる。
「で、ゾフくん、ルフくん、元々のゲラントの領主様は?」
「『これからは俺がゲラントのボスだから、領主なんていらん!』っていって。今は多分館で監禁されてると思う・・・。」
思い出すように耳をピクピクと動かして言うルフ。
「アイツ、調子に乗ってんな。」
「んで、自治領の町の人たちも殆ど鉱山で働かせてたよなぁ?」
「そうそう! 最初は畑を耕してる人たちも連れて行こうとしたんだけど、『それでは飢えて暴動が起きる、よく考えてやれ。』って、赤い鎧の人に言われてやめたんだよ。」
「?赤い鎧の人?」
いきなり出てきた『赤い鎧の人』に当然喰いつくユーリア。
「うん。僕ら3人とも、里を放り出されてから帝国で傭兵をやってたんだけど。 傭兵ギルドにやってきてね、『毎日肉を食わせてやる。俺と一緒に来い。』って言われたんだー。」
「そしたらダールの兄ちゃんが二つ返事で引き受けたから、しょうがなく俺らもついて来たってワケさ。『隊長と呼べ』って言われてたから、そういや名前は教えてもらってないや。」
語るルフとゾフの言葉を聞きながら、ユーリアは考えていた。
(この二人とダールとかいう獣人たちは帝国で拾われたらしいから、その『赤い鎧の隊長』は帝国人だろう。 突然の国境閉鎖、そして町の住人の労働力まで強制的に借り出しての魔鉱石の採掘、か・・・。厄介事の匂いしかしないな・・・。)
そこまで考えてチラリとテルトを見ると彼女もこちらを見てコクリと頷いている。
今度はテルトがルフとゾフへ質問を始めた、
「その『赤い鎧』の人物・・・『隊長』はまだゲラントにいるのか?」
「んーん。最初に僕たちとやってきてすぐに帰ったよ? 多分帝国に戻ったんじゃないかな?」
そう言うルフの言葉を引き継いで少し興奮気味にゾフが続ける、
「隊長はスゲェんだ!夜中にさ、たった俺たち4人で領主を奇襲して捕らえちゃってさ! ちょっとだけいた兵士の人たちを牢屋にぶち込んで! カッコよかったなぁ!」
目をキラキラさせて語るゾフの話には大して興味をひかれなかったらしく、テルトはルフに顔を向けてさらに尋ねた。
「・・・他に、キミたちの前から去る時に何か言ってなかったか?」
「えーっとたしか、
『これから荷馬車を寄越すから、それに魔鉱石を積めるだけ積んで送り返せ。戻りの馬車に毎回家畜や塩漬けの肉を積んでおいてやるからお前らで好きにしろ。送られてくる魔鉱石が多いほど沢山肉も積んでおいてやる。』
って言ってたよ。 だからダールの兄ちゃんが張り切ってるんだ。 自治領の兵士たちも今は牢から出して手伝わせてるし・・・。あ、そう言えば王国から来たなんちゃらっていう貴族様だか、騎士様も手伝わせてるね。 」
「・・・そうか、ありがとう。」
そこで言葉を切るとテルトは再びユーリアに向き直る。
「と言う事は、テルト参謀?」
言いながらユーリアが渡してくるハチミツ入りのお茶をすすりながら、テルトは答えた。
「・・・おそらく帝国の中枢部の人間が計画に関わっている。その『隊長』も特殊な訓練を受けた特殊部隊の工作員のようなものだろう。 帝国はそう言う人材の育成が得意なようだからな・・・。」
そこまで言って、エルフの里の事を思い出すテルト。
「だろうな、目的は何だと思う? ゲラント自治領の支配か?」
ユーリアの言葉に引き戻され、言葉を継ぐ、
「・・・いや、恐らく違うだろう。 恒久的な占領統治を目論むならもっと大規模な兵力を動員していてもおかしくない。だが、戦力は大したものではないのだろう?」
「あぁ。『隊長』は俺たち3人しか連れてこなかったし、今は元々鉱山で働かせられてた犯罪奴隷たちを監視役にしてるからな。 まぁ、せいぜいが山賊くずれ、大したことはねぇよ。」
言葉を投げかけられてゾフが偉そうに言う。
「だ、そうだ。」
「ふぅん。そうなると目的は何なんだろうな? 魔鉱石が目当てっていうのは勿論わかるんだが・・・。」
「・・・これは、恐らくだが、威力偵察に近いのだろうな。」
「というと?」
「帝国は新興国家と言ってもいい。 まだまだ領土的野心の尽きない国だ。 王国と関わりの深い辺境の自治領に手を出してみて、王国がどれだけのリアクションを示すか試しているんだろう。 だから身分は明かさず、正規の兵士は一切動かさず、報復を呼ぶような人殺しも意識的に避けている。・・・いわば魔鉱石はそのついでだろうな。」
「魔鉱石も重要な資源じゃないのか?」
自分も茶をすすりながら言うユーリア、勿論ハチミツ抜きである。
「うむ・・・、アレはまだ使い道が確立されたものじゃない。 ガリアですらアレを効果的に利用した魔道具はまだ聞かない。 王国よりその分野で後れをとっている帝国ならなおさらだ。・・・今すぐどうこうというより、自国ではまだ産出していない魔鉱石の戦略資源としての価値を研究するためのサンプル確保、と言ったところだろう。」
「ってことは、マグヌスさんが言っていた『帝国で魔鉱石が出た。』っていうのは?」
「ブラフか、『ゲラント領を影響下に置いているぞ』という政治的なメッセージか。 いずれにせよまだ帝国内で魔鉱石の鉱脈は見つかっていない、と見ていいだろう。」
「なるほどなぁ・・・。うん?」
優秀な参謀の解説を頷きながら聞いていたユーリアの肩が、「チョイチョイ」とつつかれる。
「・・・どゆこと?」
もちろんフルーがいた。
「うーん、つまりだな・・・。」
(たぶんこれ説明するのすごく大変だ・・・えーと、どうしよう。)
「つまりだな、帝国の悪い奴らの陰謀でゲラントは支配されちゃってた! ってことだ。 そして多分、ルフやゾフと同じようにダールって獣人もその悪い奴にダマされてる。どうだ? わかったか? 」
ユーリアが説明すると、
「なるほどなっ! わかったぜっ!」
元気よくウインクしながら『びしいっ!』と親指を立てるフルー。
テンプレ勧善懲悪の世界観は理解しやすかったようだ。
それを『理解した』と言っていいのかどうかは大いに疑問だが・・・。
ルフとゾフもそのユーリアの言葉を聞いて納得したらしく、二人でウンウンと頷きあうとフルーに向かって言う、再びテンションが上がってきたのかシッポも元気に下草を薙いでいる。
「あんちゃん、それなら僕たちもダール兄ちゃんの所まで一緒に行くよ!」
「オレもー。 見張りのやつらの場所はわかってるから、完全に裏をかけるぜー」」
キラキラワクワクした目で見つめる二人。
「だってよー、どうする? ユーリア。」
「うーん、安全に鉱山まで近づけるのはありがたいけど・・・。フルー、ちなみにこの子達は今幾つなの?」
尋ねるとフルーは指折り数えつついう、
「えーっと、15だったかな。 オレたち獣人の里じゃ一応14歳から大人と同じ扱いをされるからな。」
「一人前といえなくもない・・・か。」
そのやり取りを聞きながら、決定権がユーリアにあると察したのだろうルフとゾフの視線がユーリアに集まる。
「うっ・・・」
「おねがい!邪魔しないからっ!」
「オレ達いろいろ役に立つぜ! なっ!」
ユーリアはしばらく腕を組んで考えテルトにも視線を送るが、静かに頷くのみである。
ー『必要な情報は整理した。 あとは指揮官が決めろ。』ー
とばかりに。
指揮の序列を守ることも参謀の任務だと考えているらしい。
・・・別にユーリアは公務員であって職業軍人というわけではないのだが。
「しょうがない・・・。ここに残していくわけにもいかないし、魔鉱石の鉱山まで案内してもらうか・・・。」
「やりぃ! そうこなくっちゃ!」
「やたー! がんばるぞー!」
「ちょっとちょっと、そのかわり、僕とフルー、テルトの命令には絶対に従うこと。 万一僕らが捕まったりしても助け出そうなんてせずに、一目散に逃げること、約束できるかい?」
「「約束するっ!」」
こうして、ユーリアたち3人はゾフとルフを臨時のメンバーに加え、いよいよ魔鉱石の鉱山へと向かう。
お読みくださりありがとうございます。
少し長い回ですが、状況説明が多いので分割せず掲載します。
ゲラント封鎖の謎も解けてきて、いよいよこの章もラストに入ってきます。
感想、ブクマ、評価などで是非作品の後押しをしていただければ幸いです。
派手さはない作品かもしれませんが、これからもどうぞ温かい声援、応援よろしく願いします。m(__)m




