まさかの遭遇戦?! 謎の少年、ルフとゾフ。
アルファポリスや、勝手にランキングにも連携してます。
ぽちっと清き一票を投じてくだされば幸いです。
愛は作者を救う!
・・・えっ?救わなくてもいい?・・・マイッタナ。
突然音も無く、茂みの向こうに突然現れたように感じられた。
緊張して身構えていたユーリアたちを見るなり、あっけらかんとした声が響く。
「あれぇ?やっぱりバレちゃってた、オレら? なぁルフ?」
「そうみたいだねぇ、ゾフ。」
最初に喋り出した少年、『ゾフ』はくすんだ灰色の髪を長くのばし、後ろで束ねていた。端正だが幼さの残るその顔に色素の薄いアイスブルーのような瞳が印象に残る。
一方のルフと呼ばれた少年は赤茶色のクセ毛を遊ぶに任せたショートヘア、瞳はチョコレート色だ。
そばかすの残るどちらかというと童顔であどけない印象だ。
「あっ!わかった。 後ろの3人だ。」
しばし考えるように首をかしげていたゾフが、合点がいったのか指を立てて言い、ルフも同意とばかりに首を縦に振った。
「なるほどね~。あいつら山賊が稼業のクセにうるさいんだもんねぇ。」
「そりゃあ、俺たちと比べたらかわいそうだよルフ。」
「そうだね~。ハハハッ。」
そんな二人の場違いに陽気な様子に、ユーリアは攻撃の判断がつきかね、『待機』のサインを出している。
そのユーリアにささやくような声量でフルーが言う。
「・・・なーんか、どっかであったことあるような・・・」
「なんだって?」
「けどどーしても思い出せねぇんだよなぁ。」
いいながら腕を組み考えるフルー。
だが思い出すのを待っているわけにもいかず、ユーリアはルフとゾフと呼び合う二人の少年に向かって口を開く、
「おい、君たちは・・・」
いいかけたところへ、ドタドタと騒々しい足音を立てて、山賊にも、世紀末覇者の世界の下っ端でも自由に着せ替えの出来そうなゴロツキ3人が息を切らしながらやってくる。
「ぜぇっ! ぜえっ! ルフ! ゾフ! てめぇらはや過ぎるんだよっ! 何べんいわれたら気が済むんだっ! 俺の命令に従えっ!!」
リーダー格らしき男が声を荒らげて言うが、二人は相変わらずヘラヘラとしている。
「え~っ。ってかお前らが遅すぎるんじゃん。これでもゆっくり来てやったんだけど?」
「はははっ! そうそう。僕らはちゃんと『侵入者がいるよ。』って教えてあげたでしょ?」
手を頭の後ろに組んでフラフラするゾフと、木の枝で足元の草を掻き回すルフ。
男のことなど歯牙にもかけていないようだ。
「・・・もういい!お前らは引っ込んでろ。」
「はいは~い。」
「じゃあ後はよろしくね~。」
口々に言いながら男に譲るように退く二人。そんな二人の態度は諦めたのか、リーダー格の男ユーリア達に向き直った。
「すまねぇ、腕は立つがこのガキ二人には少々手を焼いていてな。」
「はぁ・・・。」
「さて、本題に入らせてもらおう。 お前たち、ガリアのお役人様か?それとも騎士様かな? それにしちゃあ珍妙な取り合わせだが?」
いいながら後ろ手で合図をするとルフとゾフと呼ばれた二人はその男の左右に分かれ、残り二人の男たちは素早く3人の背後に回る。
囲まれた形だが、ユーリアはあくまでも平静を装って証明版を示しつつ話を続ける。
「お察しのとおり、私はガリアの臨時調査官として派遣されたユーリアといいます。 私の正体を当てて頂いたということは領主様の館へご案内していただけるのでしょうか?」
営業スマイルでいうユーリアに歪んだ笑みを浮かべて男は答える。
「残念ながらそうはいかねぇ。 ご領主様は今忙しいもんで、ガリアのお役人とはお会いになれないとよ。だがせっかくはるばるお越しいただいたんだ、まぁお目当ての鉱山見物でもしてゆっくりしていってくれや。 三食寝床つきで一年くらいなぁ、へへへっ。」
小馬鹿にしたようにニヤニヤと告げる男に、ユーリアもまた証明版をしまいつつ淡々と答える。
「なるほどお話はわかりました。 では実力を行使してでもここは押し通らせていただきます。」
その態度に怯えも動揺も、怒りも見られなかったことが、男は若干気に入らないようだ、さらに挑発するように続ける。
「ふん、せいぜいやってみるんだな調査官のお坊ちゃん。 そこの馬鹿そうなノッポと、チビの嬢ちゃんで何が出来るかな?」
次の瞬間、
ー【ビュオッ!】ー【・・・、ガササッ!!】ー
卑下た笑いを浮かべていた男の頬を、すさまじい勢いの突風がかすめる。
チビの嬢ちゃん・・・、もといテルトがいつもの魔法使い然とした杖ではなく、ストック型の杖をかざして立っていた。
「おい・・・、『チビ』はこんなことが出来るぞ。 お前は何が出来るんだ、『チンピラ』?」
半眼で男を見据え、そう低い声でいうテルト。
横では命知らずな男の発言に、ユーリアとフルーが同情していた。
((山賊さんや・・・チビはあかん・・・、チビはあかんて・・・。命を大事にせなあかんよ・・・))
ふたりの心の声はなぜか関西弁だったが。
「え?」
テルトの言葉にも何が起こったがわからない男。
「おいおい、ボス、ココココ。」
苦笑しながら言うゾフをみるとツンツンと自分の頬を指差している。
それに気づきゆっくりと手を頬にやると頬に斜めに長く、切り傷が出来ており、薄く血が滲んでいた。
薄皮一枚で出血をまぬかれている傷にようやく気付くと同時にヒリヒリと焼け付くような痛みが襲ってくる。
「な、なにっ?」
そして異音のした後方を見やると腕ほどもある木の枝が鋭利な刃物で断ち切られたように切り落とされていた。
全てを悟った男に驚愕とあせりの色が広がる。
おそらく、一見魔術杖に見えないストック型の杖が男の状況判断を誤らせたのだろう。
今回の出張でテルトは前世でトレッキングに用いるようなストック型の魔術杖を使っていた。
調査官の場合はわかりやすいアイコンとして魔法使いの杖があったほうが役に立つが、いざ実戦となると魔法使いは標的にされやすい。
『携帯性や、重さにも難があるので』、という魔法使いらしからぬ合理的な判断だった。
これも軽量化のためミスリル混合の伸縮式、お値段はプライスレス。
・・・少なくとも、採算ベースにはとても乗らないほどの金額である。
ずれにせよ、男たちはテルトの能力に気付くのがいささか遅すぎた。
「ッ! くそっ! 魔法使いだったのか?! 全員あいつから先に仕留めろ、おっぬおおっ! な、なんだツル?! 草が!?ぬおおおっ!!」
「うおっ?! うおわぁああ~~!!」
「うげぇっ!ぶしっ!!ずべべべべっ!!」
慌てて指示を出したが既に手遅れだった。
テルトが発動寸前で待機していた精霊魔法により、まるで生き物のように蠢くツルや草が男たちを絡めとる。
体中にツルや草に絡みつかれ、その場に縫い止められたように動けなくなる、リーダー格の男。
樹上から垂れたツタにがんじがらめにされて宙へ吊り下げられる男。
足元からしなる枝に叩き倒され、さらにツルに絡めとられると、地べたを引きずりまわされる男。
しかし、その精霊魔法の洗礼を受けなかったものが約二名、ルフと、ゾフである。
「やるじゃん!おっとぉ!」
「そうこなくっちゃね! よっ!」
巧みに迫り来るツタや草を回避しつつ、避けられないものは逆手に持ったナイフで切り払い、テルトの魔法から逃れてみせた。
「やれっ! ゾフ、ルフ! そいつらを捕らえたら肉でも何でも、好きなモンたらふく食わせてやるぞ!! この際始末してしまってもかまわん!!」
がんじがらめにされながらもその様子を見てリーダー格の男が必死に叫ぶ。
「だってよ! こりゃあやるしかねぇな! ルフ!」
「そうこなくっちゃね! ゾフ!」
「そういうわけだから、おとなしく捕まってくれよ? でないと痛い目見るぜ?」
そうわざとらしくナイフを弄びながら言うゾフに、まじめくさって反論するユーリア。
「そういうわけにはいかない! 給料分は抵抗させてもらうぞ!」
そういいながらショートソードを抜き放つ。
「オレもステーキを食うまでは死なんっ!」
フルーは腰を落とし、大振りのナイフをやはり逆手に構える。
「はぁ? なにそれ? ぜんぜんかっこよくないんだけど!?」
そうあきれ顔で言うルフの声を合図に戦闘が始まった。
お読みくださりありがとうございます。
さて、不思議な少年ゾフとルフ。この先の展開はいかに?
感想、ブクマ、評価などで是非作品の後押しをしていただければ幸いです。
派手さはない作品かもしれませんが、これからもどうぞ温かい声援、応援よろしく願いします。m(__)m




