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夢は国家公務員!?~異世界なのに転生者に優しくないこの世界~  作者: ETRANZE
調査官編 魔鉱石求めて三千里 
33/87

ユーリア、アマチュア山賊を説得する(物理)

祝 ブックマーク20件♪ 感想2件目(ご指摘でしたがwこまけぇこry) ありがとうございます♪

UV100人/日、実は初めてという・・・。

「何日目で?」とかは言っちゃダメなやつ。 

皆様のおかげです、ありがとうございます m(__)m

ユーリアたちの旅もすでにゲランドまであと三日のところまで来ていた。


途中の宿場町や村々で予想以上に浪費してしまった食料を無事買い付けることができたので、今は食料にも余裕がある。


ユーリアは最初、僻地に行くほど値段が高いのではないかと心配していたが、王都から離れれば離れるほど、人口過密な大量消費地から離れるわけで、生鮮食品などは逆に物価は安くなっていった。 


余分な食料があっても普段現金化の手段があまりない人々は、むしろ喜んでユーリアたちの持参した銅貨や銀貨で食料を売ってくれた。


これぞまさにWIN WIN の関係である。


今日の夜には王国最後の宿場町、というか国境の村に着く予定だ。


その先はいよいよゲラント自治領である。


ユーリアは今、王国最後の宿場町目指して馬車を操っていた。


「うーん、いい天気だなぁ。ふぁ・・・。」


欠伸をかみ殺すのに必死である。


平坦な道をひたすら進んでいると、どうしてもリズムが単調になってしまい、お尻から伝わる振動も心地よいものへと変わってしまう。


睡魔と戦っているその時、テルトが不意に後ろの荷台からユーリアの御者台へと姿を見せた。


「ユーリア、ちょっといい?」


「うん? はちみつの瓶ならもうないよ? 昨日最後に隠してた小瓶まで見つけて食べちゃったでしょ?」


完全に○ーさん扱いである。


子供を窘めるような口調で告げられたテルトはその事実に愕然とした表情を浮かべながらも、その思考を頭から追い出すようにフルフルと首を振って続けた。


「ぐっ・・・そんな・・・。いや違う、そうじゃない。ヴァイリーが言っているのだ。『この先に人の気配がある』と。」


真剣な表情で言うテルトにユーリアも眠気を覚まさざるを得ない。


「えっ?本当に? フルーはどうだ?」


後ろへ呼びかける。


「ん~?メシか?」


欠伸をかみ殺すような表情でフルーはのんきに姿を現す。


「さっき食べただろうが! 違うよ、テルトの精霊が人の気配がするんだってさ。」


「ちょっとまてよ・・・。フンフン、たしかに、匂うな。」


鼻をヒクヒクさせるフルー、こういう時は頼りになる。


「ってことは山賊か?」


やや警戒の色を滲ませていうユーリアだがフルーはあいかわらずのほほんとしている。


「いや、それが何か違うって言うか。 うーんうまくいえないんだけど、違うんじゃねぇかなー」


歯切れ悪く言うフルー。


「じゃあ、俺達と同じ旅人とか?」


尋ねるユーリアに珍しくフルーは答える。


「いやー、それにしちゃあ緊張感がハンパないし、隠れて様子を伺うみたいに匂いの元も移動してないんだよな。 まだ野営するような時間でもないし、そもそも旅人なら道から外れてるのがおかしい。」


「・・・フルー。」


「?なんだ?」


「お前・・・、直感や脊椎反射じゃなくて、ちゃんと論理的にしゃべれるんだな!」


「フルー、立派になって・・・。」


口々に驚きと感激を口にするユーリアとテルト、テルトなどわざとらしく目頭を押さえている。


「お前ら失礼すぎるぞっ!」


フルーはムキになって反論するが、あっさりスルーされる。


「じゃあ狩人かなにか、ってことか?」


「をぃ! ・・・それも無くは無いと思うけど・・・。狩人ってこんなに気配ダダ漏れかなぁ?って感じがするんだよなぁ。 まぁ実際狩人なんかよくしらんからわかんないけど。」


どうもこのさきに待ち伏せている者の正体の見当がつかないが、二人の様子からしてあまり脅威度は高くなさそうだ。


ユーリアはそう判断して二人に告げる。


「ふうん。そういうものか。まぁあんまり危険はなさそうだし、取りあえずフルーは周囲を警戒してくれ。 みんな、気をつけて進もう。」


「はいよー。」


「了解。」


フルーは馬車と並行して進みながらやや低い位置を警戒し、テルトは御者台に立って左右を警戒し、ヴァイリーを後方に充てる。


しばらく進むと、フルーの呟くような小さな声が聞こえた。


「(おい、この先の茂み。 くるぞ多分・・・。)」


すると、前方道の脇の茂みから転げ出るようによろめきつつ、覆面姿の7,8人の人影が現れた。


手に手に武器を持っているが、得物はまちまちである。


マチェットのような鉈、ナイフ、小ぶりなナイフを棒に括り付けただけの即席の槍、狩猟につかうような弓、などなど。


防具もボロボロの革鎧や、綿入れを着ている程度であり、お世辞にも立派とは言えない。


・・・というかユーリアが昔田舎で見た、ゴブリンの装備といい勝負である。


「「「・・・・」」」」


3人が無言で見つめる中、ドタドタと不格好に躍り出る彼ら。 


「どうっ、どうっ!」


馬体の大きなこの馬と馬車では当然振り切れるだけの速度も出ないので、ユーリアは仕方なく馬車を止めた。


先頭はリーダー格の男だろう、錆の浮いたチェインメイルを着てショートソードを持った姿で口を開く。


が、


「とっ、とっ、とっ、ととととっ!!」


・・・緊張しすぎているためか、言葉が出てこないようだ。


「「「(どうするこれ?)」」」



3人は互いに顔を見合わせるが、見るに見かねてフルーがリーダー格の男に声をかけた。


「はいはい。 えーと、ちょっと落ち着ちつこうぜ、なっ? 深呼吸しよっか?」


動転しすぎているためか、男は素直にフルーの忠告に従い、今から恫喝しようとしている相手の前で深呼吸を始めた。


「お、おぅ・・・すまん。 すーはーすーはー。・・・よしっ! 待たせたな!」


素直に深呼吸をし気合を入れ仕切り直すと口上を述べ始める。


「とまれお前らっ!・・・とまってるな・・・。え、えーとつぎは・・・、そうだっ! か、金だっ! 金をだせっ! そうすれば命だけは勘弁してやるぞ!」


何とか言い終えた男はそれだけでもう満足したような表情だ。


目の前の3人はとうぜん素直に従ったりはしなかった。


「えー、どうしよっかなぁ。」


のんきに腕を組みながら考える仕草をするフルー、


「ばっ、馬鹿かお前! こっ、こっ殺すぞ!」


その態度にさすがにイラついたのかリーダー格の男が無意味にショートソードを振り回してその辺の雑草を切り散らす。


「殺されたらこまるけどなぁ~。 どうするユーリア?」


もちろんフルーにそんなしょぼい恫喝に効果がある訳が無く、間延びした声で馬車の上に問いかける。


二人の返答は早かった。


「そんな無駄な経費はウチの家計に銅貨一枚ないぞ!」


「話にならん、蹂躙だ。」


ユーリアは小遣いをねだる子供に対する父親のような解答。


テルトは戦争映画にかぶれているのだろうか、単語がひたすら物騒である。


そんな身ミもフタもない解答を聞いてリーダーだけでなく背後の男たちもざわめき始めた。


「なんだと! 舐めやがって!ち、血を見てもし、し、しらんぞっ!!」


「そ、そうだそうだ! この槍で刺されたら痛いぞ! 」


そう喚く山賊達を見てフルーは珍しく困ったようにユーリアに水を向ける。


「だってさ、どうする?」


どうやら弱い者いじめは趣味ではないようだ。


「 しょうがない、じゃあフルーとテルト、ちょっと見せてあげて。 あとテルトさんや、カッコいいからって物騒な言い方はやめとくれ、挑発にしか聞こえん・・・。」


照れたのだろうか、若干頬を赤らめているテルトを見つつゴーサインを出したユーリアに、フルーは軽く答える。


「おっけー」


「?な、何を言ってるんだ! いい加減に 『よっ!・・・っと!』 しろ・・・へ?」


一瞬で男たちの輪の中へ跳躍すると、そのただ中で獣人化し、呆然とする男のナイフを無造作に取り上げる。


「はい、ちょっと借りるよ~。」


「あ、あぁ・・・。」


自分のナイフを圧倒的な腕力であっさりと奪われて、革の前掛けを着た男はそう頷くしかない。


「えいっ!」


軽く気合を入れるとフルーの手元でナイフはくにゃりと曲がり、V字になってしまった。


「げえっ! な、なな、ナイフが!」


どよめく男たちを宥めるようにフルーは言葉を続ける、


「はいはい、静かに静かに、落ち着いてねー。ハイ、じゃあ次はあっち見てね~」


「・・・お、おう?」


完全に目の前の獣人に呑まれててしまった男たちは素直にフルーが指さす先を見る。


視線の先ではテルトが杖を構え、近場の木の幹を杖で指している。


そして静かに言った。


「礫よ。我に仇為す愚かなる存在を打ち砕け。」


―【ズドンッ!!】・・・【ミシミシィッ・・・ズダァアンッ!】ー


わざと脅かすような文言を盛り込んだ呪文を唱え、テルトの射出した石弾はすさまじい勢いで木の幹にぶち当たり、テルトの胴ほどの太さの木は真っ二つに折れた。


「「「・・・」」」


そのあまりの光景に男たちは声も出ない。


「せんせーこんな感じでいかがっすかー?」


明るい声で言うフルーにユーリアも笑顔で答える。


(これでいいデモンストレーションになったろう・・・恫喝ではない・・・はずだ、うん。)


「おっけー、二人ともいい感じー!」


そう笑顔で親指を立てて返すと、場を仕切りなおすように咳払いをする。


「ごほんっ!」


「「「ひぃっ!!」」」


既におびえ切った男たちがそれを合図にユーリアのほうに向きなおったのを確かめてから、彼は審査官で鍛え上げた営業スマイルで告げた。


「 はい、では山賊の皆さんにここで問題です。 哀れな山賊さん達の運命は次のうちどれでしょうか? 


①ナイフみたいにクニャッと曲がる。 


②あの木みたいにメキャッと折れる。 


③                」



そこでユーリアは一旦言葉を切ると、懐から鉄貨を一枚取り出す。


「「「?」」」


山賊の皆さんが怪訝そうな顔をするのに構わず鉄貨を宙に放り投げると同時に抜剣する。


-【チィンッ!】- 


-【パシッ!】-


再び握った手を山賊たちに向けてゆっくりと開くと再び笑顔のままこう続けた


「 ③この鉄貨みたいに真っ二つになる。さてどーれだ? 」


そうユーリアが笑顔で告げた刹那、男たちは手にしていた武器を我先に放り投げると、必死の焼き土下座を始めた。


「こっ、ここ降伏するっ! い、い、い、命だけはっ!たっ、たしゅけて・・・。」


そうガクブルしながら言う男たち。


「そうだね、それがいいと思うよ。 オレも。」


手際よく男たちに縄をかけ始めるフルー。


「ちょっと薬が効きすぎたな。 命は奪いませんから、落ち着いてください。」


若干慌てながら言うユーリア。


こうして思いがけず、みすぼらしい山賊(?)達を捕虜にした3人。


どうも山賊の方たちは専業(?)の玄人の方々ではなさそうである。


訳アリなようなので両手両足を縛りあげた上で、馬車を路肩へ寄せると、とりあえず事情を聞いてみることにしたのであった。




お読みくださりありがとうございます。

平和的手段(物理)によって無事解決されましたね♪


ブクマ、評価、感想などお寄せ下さい。

ありがたく執筆の糧とさせて頂きます♪



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