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金髪簀巻き少年の素顔

皆さんのおかげでジリジリUVが上がってきてます。

・・・最近評価、感想、ブクマも増えてないのになんでだろ?

週間UV更新されたから?


アルファポリス、勝手にランキングも参加してます。ぽちっとな♪


「はいはーい、審査官でーす。お取り込みのところすみませんがいったい何事ですかー?」


そう言いながら審査官の身分を明かす証明版をかざす。


それには一般市民が持つものとは違い、3本爪の竜が絡みつくような意匠が施されている。


因みに、3本爪は中級以上の官吏や、騎士身分ではない指揮官クラスの兵が身に着けることを認められた意匠だ。


これが貴族階級や騎士階級になると竜は4本爪になり、王族と、3賢の家柄にのみ5本爪の竜の意匠が認められている。それだけを考えても3賢の家がいかに特別扱いされているかが分かろうというものだろう。


因みに竜の意匠の証明版の偽造は・・・死罪一択である。


そんなユーリアの3本爪の証明版を認めて、チンピラ二人は媚びるような笑いを浮かべてユーリアを迎えた。


「えーっと、今暴行されている!などという聞き捨てならない話が聞こえたんですけど?」


そういうマルクに二人はしどろもどろに答える。


「い、いやぁ、審査官の旦那。暴行だなんてそんなおおげさなぁ・・・。へへっ。このガキが俺らの賭博場でおかしな真似しやがるから、ちぃーとお灸をすえてただけですよぉ。」


「そ、そうそう。まぁ、ガキのしたことだし、もうこの辺でしまいにしようかと思ってたんでさ。なぁ?」


そう言いながらお互いに顔を見合わせるチンピラ二人。


「へぇ~。・・・、それで肌着一枚で簀巻きにしてたんですか?」


そうジト目で問うユーリアにあわてる二人。


「いやいやいや!まってくれ!コイツが肌着一枚なのは、全部テメェの博打のカタに取られちまったからよ!俺らが無理矢理みぐるみ剥いだワケじゃねぇよ!」


「そうそう、疑うんならこいつに聞いてみなっ!」


二人が必死にそういうので、相変わらずへらへらと笑っている金髪の少年にも事情を聞いてみることにした。


「キミ?いまこの二人が言ったことは本当かな?」


「そうだねー。負けがこんじゃってさー。あはは。」


そう尋ねるユーリアに、相変わらずヘラヘラと笑ったまま答える少年。


「うーん、それは自業自得なんじゃねぇの?まぁ、おっさん二人が少年を苛めるってのはどうかと思うけどよ。」


そう言いながらつまらなさそうに手を後ろ手に組んで言うフルー。


確かに、あまり同情の余地はなさそうであるが、暴行(?)の現場を見た以上放置しておくわけにはいかない。詰め所に戻って事情を聞き、二人にはいくらかの罰金と、少年への謝罪を謝罪をさせて手打ち、ということになるだろう。


「因みに・・・一応聞いておきますけど、無許可の賭博場、とかではないでしょうね?」


「あ、あたりまえよっ!ほれ、これが証拠だ!」


そう言いながら薄目で見るユーリアに胸に着けたサイコロをモチーフにした徽章を見せる。


確かにそれは王都が公認した賭博場の職員がつけることが許された徽章のようだ。


そもそも、王都の税収になんら貢献しない関係上『違法賭博は重罪』ということになっているので、彼らが違法賭博の関係者なら少年など放っておいてさっさと逃げているだろう。


「なるほど、大体の状況はわかりました。では一応詰め所で事情を聞きますから・・・」


そう言いかけるユーリアを遮るようにまだ簀巻きで転がっている少年がわざとらしい口調で大きな独り言を言う。


「でもなぁーおかしいんだよなぁ~。どう考えても勝てる勝負で賭けたのに、『な・ぜ・か』その勝負だけ外れるんだよなぁ~おかしいなぁ~」


「このガキっ!まだそんな減らず口をっ!」


そう言って押さえにかかろうとするが、ユーリア達の目を気にして動けずにいる。


そんな二人に怯えることもなく、少年はヘラヘラしたまま続けた。


「だってぇーおかしいんだもん。まるでサイコロが『重りが入っているものに差し替えられたり』、『ルーレットの台がほんの少しだけ傾斜した』みたいに外れるんだよ~?どう思います?審査官さんは。」


そう笑いかける顔は相変わらずヘラヘラしているが、瞳は試すようにユーリアを見ている。


「それは・・・」


「「くそっ!」」


その具体的過ぎる独り言の意味に気付いてようやく口を開きかけたユーリアと対照的に、二人の反応はすばやかった。


一人はユーリアたちの脇をすり抜けて駆けだし、もう一人は懐から小さな笛を取り出すと大きく息を吸い込んで口に咥える。


だが、


「はいはい、ストーップ。」


「うげぇっ!のぅっ!」


一人はすれ違いかけたフルーに思い切り襟首を捕まれ後ろ向きに転倒し、


「風よ・・・。」


「(スーッ!スーッ!プーッッ!!)ぶはぁっ!!ぜぇ!ぜぇ!な、なんだこりゃ!どうなってんだぁ!」


もう一人はテルトの風魔法でサイレント化された笛に真っ赤になるまで息を吹いてフラフラになりながら混乱している。


「気が済みましたかー?よーし、じゃあちょっとお二人の職場を見学したいんで、一緒にいきましょうかねー。」


そう言いながらてきぱきと、ぐるぐる二人を縄で縛ってゆくユーリア、念のために猿轡もかませておく。


そしてその二人の縄を自ら取り先頭へ立つユーリア、真ん中には砂糖菓子を食べながら進むテルト、最後尾には簀巻きにされたままの金髪の少年を担いだフルーの一行はそのままチンピラ二人の職場へと向かった。


「ここかぁ、なんか二人の雰囲気とは違うな・・・。」


そう言ってユーリアが見上げる建物は、成功した商人の屋敷のような外観である。


『赤き荒馬』


そう書かれた看板には炎のような鬣を振り乱した駿馬の姿が描かれている。

とりあえず連れてきた二人は館の門柱へ縛り付けると、フルーとテルトに目配せして、重厚なつくりの扉に手をかけると一気に押し開く。


「御用だっ!まちがえた・・・、審査官のユーリアです!ここで違法な賭博が行われているとの訴えがありましたのでいまから審査官の権限において賭博場を改めさせていただきます!」


そう声を張り上げながら言うと、ざわめいていた店内は静まりかえる。


客同士の困惑した顔に続いて、事情を察し、ディーラーや賭場の者たちに向けて厳しい眼差しを送り出す客もいる。


そして再びざわめきが大きくなりかけたとき、


「困りますなぁ。審査官といえど、予告もなく勝手に捜査などされては。」


そう粘つく声で言いながら店の置くから人影が現れた。


仕立てのよさそうな服に袖を通した背の高い痩せぎすの男。


年齢は50ほどだろうか。


白髪交じりの頭を短く刈り込んできれいに整えたひげを蓄えている。


一見した限り、この館の主人にふさわしくやり手の商人ともいうような雰囲気である。


「それはまぁ、予告などしたら捜査になりませんからね。ところで、失礼ですが貴方は?」


そうあくまでも笑顔で問うユーリア、


「これはこれは、失礼いたしました。私は当「赤き荒馬」の支配人を務めさせていただいておりますラムードと申します。お見知りおきを・・・。」


そう言うと芝居がかった調子でユーリアたちに頭を下げる。


「して、今回は違法な賭博の疑いと言う事ですが、何か証拠がおありですか?」


そう言って薄く笑う。


「えぇ、実は先ほどおたくの従業員が路地裏で少年を暴行・・・とまではいいませんが、『お灸をすえている』場面に出くわしましてね。」


そう言いながらフルーが肩に抱えた簀巻きを指す。


それを見て顔をゆがめて頷きながらラムードは面白そうにいう、


「あぁ、あの少年のたわごとを信じてわざわざここまでお越しになられたのですか?仕事熱心なことだ。」


「あいにく、給料分はしっかり働きたい性分なので。」


そう返すユーリアが引く気がないとわかると、ラムードは切り口を変えることにしたようだ。


わざとらしくこめかみに手をあててため息をつきながらしゃべり始めた。


「しかし困りましたなぁ、下手に捜査などされては今日いらっしゃっているお客様は勿論。普段から当店を御贔屓にしてくださっている上得意の方々にもご迷惑が掛かってしまいますなぁ・・・。」


そう言ってちらりとユーリアの様子をうかがう。


「・・・どういうことですか?」


そう平静を装った顔で言うユーリアに若干いら立ちを滲ませながらラムードは続けた、


「おやおや、審査官ともあろうお方が察しの悪いことだ。・・・この店はなぁ、クロッティア領バノール侯爵や、サウデント領のダニード伯爵も御用達の店だっていうことだ。・・・わかったらさっさと失せろ、審査官風情が。」


口調まで豹変させ、脅迫するように凄みを効かせるラムード。


ユーリアは、その豹変ぶりに咄嗟に言葉が出ない。


しかしその後ろでいきり立つフルー


「このっ?!調子に乗んなよっ!ぶっ!」


「独断専行はご法度・・・。自重しなさい。」


「おやおや、血の気の多い馬鹿が部下とは・・・。おっと、失礼。しかしこれでお分かりいただけたでしょう。今日はこれでお引き取り下さい。まぁ、どうしても、というのでしたら後日改めて捜査に来ていただく日取りをこちらから『ご案内』させていただきますから。」


前のめりになりかけたフルーの頭にテルトの魔術杖がめり込む光景を面白そうに眺めながら、ラムードは勝ち誇ったように言った。


(くそっ、チンピラ二人があのヴィジュアルだからてっきり場末の賭博場かと思ったら意外に大店だったのは誤算だったな。


まさか貴族の後ろ盾までチラつかせてくるなんて・・・。


バノール侯爵も、ダニード伯爵も有力な貴族の一人だ。流石に一審査官の身分じゃ分が悪い。


しかしここで手を引いてしまえばラムードはあっさりと証拠の品々を葬り去ってしまうだろうし・・・。


えぇ~い、考えろユーリア!自分が首にならずに、さりとて限りなくクロに近いグレーなこのインチキ賭博の親玉をぎゃふんといわせるる方便を・・・)



そう汗を流しながら考えるユーリアと、余裕の表情のラムードに向かって背後から突然場違いなトーンの声が響いた。


「気にせずやっちゃっていーですよぉ~。ユーリアさん。」


それはフルーの方に背負われた簀巻き、ではなく簀巻きの中の金髪の青年から発せらていた。


「おまぇなぁ、いいからちょっと黙ってろ。な?」


そう窘めるフルーに構わず、少年はヘラヘラと続けた。


「いやいやーフルーさんも、いいからやりましょうよ。あなた達の身は私は保証しますから~。」


意外すぎる言葉に思わず4人から呆けたような声が出る。(いや、正確にはテルトは無言で首をかしげるのみであったが。)


「は?」


「え?」


「?」


「なんだと?」



4人それぞれのリアクションを見ながら少年は、ヘラヘラという


「私がユーリアさんたちの身を保証する。そういってるんですよ。」


「お前一体何を言ってるのか分かってー」


そう言いかけるラムードにかぶせるようにはっきりと少年は答えた。


「ええ、分かってますよ?ぼくの家名である3賢の弓、ナスネルの名に懸けて、このマクス・ナスネルがユーリアさん達の身を保証する。そう言ったんですが?」



「「「「!!!!」」」」


その言葉に周囲が凍りつく中、少年だけがミノムシのような格好のまま、フルーに背負われたまま、ヘラヘラと笑い続けていた。

お読みくださりありがとうございます。

身分とか家柄って、日本でも現代以前では割と、というかかなりものをいってたんですよねぇ。今では信じられませんが。


一人でも多くの方にお読みいただけるよう、ブクマ評価お願いしますm(__)m

そしてより良い小説のために感想をお寄せください。

皆様からの応援が割と本気で心の支えです!

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