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警邏の日常と、厄介ごと~ユーリア金髪の簀巻きを発見する~

アルファポリス、勝手にランキングも参加してます。ぽちっとな♪

「レシアさーん!ごちそうさまーまた来まーす!」


そう言って、厨房の奥へと手を振り、店を後にする3人。


今や高級グルメとなってしまったハンバーガーセットを堪能した一行は警邏を始める。


「んじゃーまずは屋台通りから行ってみようか?」


「オッケー」


「了解した。」


3人は市場まず市場へと足を運ぶ。


昼間生鮮食品を売り出していた店は看板を下ろし、今は屋台などが中心だ。


様々な肉や、野菜の串焼きや、煮込み、酒などを商う店は盛況で、活気に満ち溢れている。


「う~ん、食欲をそそりますなぁ。」


鼻をヒクヒクさせるフルーはすでに尻尾が隠しきれず、ブンブンと振られている。


「お前なぁ・・・。さっき食ったばっかりだろ?結局2セットも食ったくせに・・・。」


「これ以上の摂食は明らかに供給カロリー過剰。補給の必要を認めない。」


そんな二人には構わず、フルーは警邏にかこつけてあちこちの屋台をひやかして回っている。


通り過ぎる他所からの旅人はその尻尾の存在にギョッとしてフルーを振り返るが、屋台の店主たちは慣れたものである。


「よぉ!フルーのあんちゃん!いい肉入ってるぞ!食べてけよ!」


「まじかぁ、おっさん!じゃあ一pブッ!・・・あ~わりぃ、今警邏中だからまた今度な。テルトちゃーん。冗談っすよー。」


フルーの頭頂部に、宝珠の埋め込まれた魔法杖がめり込んでいた。


「・・・お前な、毎回それやって飽きないのか?」


「食べれないなら早く行こうぜ~。目の毒だわ~ちくしょぉ・・・。」


頭をさすり、そう切なげに言うフルー。


「まぁな、じゃあこのまま盛り場へ抜けていくぞ。」


苦笑しつつ、屋台通りを抜けていく。


だが結局、


「フルーのあんちゃん!これ持ってきな!ちゃんとあとで食べるんだよ!」


「テルトちゃん!今日もかわいいね!新しい砂糖菓子の試作品、食べてみておくれよ!」


などと方々から声をかけられ、手土産を抱えた二人はホクホク顔だ。


「・・・、何で俺だけ何にもないんだよっ。」


ユーリアはふてくされているが、これも毎度のことである。


「まぁまぁ、俺らってキャラ立ちしてるからな。ねーっ、テルトちゃん!」


「エルフと獣人相手では勝負が悪い、スペックが違う、諦めろユーリア」


「ぐぬぬっ!」


そんなやり取りをしながら3人は盛り場へ。


この一帯は、屋台通りとは違う喧騒に溢れている。


酒場が何件も立ち並び、その二階には春をひさぐおねぇさまたちが男たちの財布を少しでも軽くしてあげようと親切心いっぱいで待ち構えている。


店の格の違いによって、そのまま木造の平屋を二つ上に乗せただけのようなボロイつくりの物もあれば、一見貴族のお屋敷のような立派なつくりの建物もある。


道端で寝そべっている酔っ払いや、喧嘩も多いエリアだ。


ユーリアはさっそく道端で酔いつぶれている酔っ払いの介抱を始める。


「すみませーん。お父さん?こんなところで寝ちゃダメですよー?おうちはどこですかー?」


「うぃー、コレわしんさかんどのぉ~。ヒィク!かぁちゃんに家追い出されちまってぇ~」


「それは大変だねー。何で追い出されちゃったのかなーお父さん?」


そう尋ねる姿はまるで前世のK察24時だ。


お父さんと言われた男は幸せそうな顔で言う、


「うへへ、かぁちゃんのさ、へそくり全部ね~。飲みとぉ、銀柳亭のジゼルちゃんに使っちゃったのがぁ~・・・バレちゃった♪ウィ~♪」


「そっかーそれは10:0でお父さんが悪いかなー。衛士の詰め所で休ませてもらえるから一緒に行こうねー、ここにいたら風引くしスリや引ったくりも多いからね。」


辺りを見回すとあちらから暇そうに歩いてくる衛士の姿が見えた。


「キミ!すまないけど、この人を詰所へ、一晩面倒を見てやってくれ。」


「?あっ!ユーリア審査官!はっ!分かりました!ほらっ!おっちゃん、肩貸すから!・・・」


こうして近くを通りかかった衛士を捕まえ、酔っ払いを無事回収してもらった。

後ろ姿を見送ってから振り向くと、反対側ではフルーが喧嘩の酔っ払い同士の仲裁をしているところだった。


「ハイハイ、喧嘩はやめてねー。二人とも落ち着いて。なっ?」


フルーが間に入りとりなそうとするが、二人は興奮しているのか聞く耳を持つ様子はない。


「うるせぇ!補佐官ごときのさしずは受けねぇよ!」


「そうだ!ほっといてくれオレはこいつを殴らねぇと気が済まねぇんだ!俺のジゼルちゃんに手ぇ出しやがって!」


「なんだとぉ!ジゼルちゃんは『やっぱりドイルさん素敵ね!』っていってほっぺにチューしてくれたぞ!」


「うるせぇ、俺なんか『テッドさんが最近来てくれなかったから寂しかった!』って言って抱きつかれたんだぞ!チューくらいなんだ!」


(おぉう、ジゼルちゃん大人気だなぁ~ハハハ。)


もはやおっさんに続き、養分2と養分3にしか見えなくなった二人を眺めながらそうほのぼのと考えるユーリア。夢とは素敵なものである。


・・・それがせっせと養分になっている間だけのものだとしても。


「いい加減にしろっよ!お前らっ!」


結局フルーは彼らの首根っこを掴むと、大の大人二人を子猫のように持ちながら、自分の頭の高さまで無造作に持ち上げると、束の間狼の様に獣化させた顔を左右に振りながらいう、


「ど~も、お前さんたちは人の忠告を素直に聞けないみたいだなぁ?オイ?」


グルルルッ!とワザとらしく犬歯を剥くとドイルもテッドも赤ら顔が見る見る青ざめてゆく。


「い、いやぁ、そんなこたぁねぇよ。今仲直りしようと思ってたんだ!なっ?!」


ドイルがいうと、


「そ、そうそう!補佐官様に迷惑かけちゃなんぇからなぁ!へ、へ。」


と、テッドも話をあわせる。しかしフルーは結局、


「そーかい、じゃあ水風呂で、友情を深めとけっ!」


と言い放つと二人を防火水槽の中へ放り込んでしまった。


派手な水音とともに、周囲に馬鹿騒ぎを面白がる野次が飛ぶ。


「「ぶはっ!は、はい、すみませんでしたっ!!」」


腕を組んで仁王立ちするフルーの怪力におびえて、二人はそそくさと濡れたまま逃げ散っていった。


「フルー、それは仲裁とは言わんだろー。」


「だってよぉー」


ユーリアにたしなめられて頭をポリポリと掻くフルー。

脳筋ゆえの悲しさである。


2人が立ち働く間、テルトはオネェさんたちの簡単なけがや病気を治療するお礼に、砂糖菓子を貰っていた。


「テルトちゃんかわい―♪」


「ちっちゃくって、まさにエルフって感じだわー♪」


きゃいきゃいいながら、テルトを囲むおねぇさんたちはとても楽しそうである。


「テルトちゃんココ逆むけができちゃったの〜」


「・・・それは、治癒魔法は必要ないと思うわ・・・。」


「私はこの間足を挫いちゃってね〜」


「それも・・・。」


「「えぇ〜!テルトちゃんのいじわるぅ〜」」


「いや、そんなわけでは・・・」


囲まれておネェさん達の迫力に圧倒されながらテルトはどこか嬉しそうだ。


結局何かしらの治療をしてやっている。


警邏を始めた最初こそ、衛生状態もあまりよくはなく、ちょっと人には言い辛い病人も多かった歓楽街。


しかし、今はそんな状況は鳴りを潜め、テルトに会いたさにちょっとしたけがや、病気などを理由づけに来ている子のほうが多い。


因みに、テルトは何故かこのテの商売をするオネェさんの衛生事情にも詳しく、盛り場のオネェさんたちの健康改善に大いに役立っている。


「占領地経営・・・公衆衛生。そういうものまで含めて、戦争なのよ。」


ある日ユーリアに何故そんな知識が?と、問われたテルトは淡々とただ一言そう言って、意外な才能を説明したのであった。


「そろそろ行くぞぉー。」


声をかけるユーリアに頷き、テルトは手を振るおねぇさんたちにペコリとお辞儀をして先を急ぐ。


「「「またね〜!テルトちゃん♫」」」


「ではまた、お菓子、ありがとう・・・。」


菓子でパンパンになったショルダーバッグを小脇に抱えペコリと頭を下げると、3人は繁華街の更に奥深くへと進んだ。


このあたりは、公認、非公認の賭場が多く立ち並び、さらにその奥は貧民街となっている。


しばらく歩いていると、ユーリアたちの耳にテンプレのようなだみ声が聞こえてきた。


「オラッ!舐めたマネしやがって!」


げし、げしっ!


「俺らにケチつけるたぁいい度胸してんじゃねぇか!あぁん!」


スパーン!


「あうっ!いたいなぁ~。いやぁー勘弁してくださいよぉ~。ハハハ。」


盛り場の奥、裏通りのさらに細い路地を声を頼りに進むと、そこには3人の人影があった。


どう見てもカタギには見えない、いかにもチンピラ風の中年男二人と、金髪の若い男。


より正確に言うと、金髪の男は簀巻きにされ、蓑虫のようにクネクネと動いている。


そしてヘラヘラと笑いながら上目遣いに二人のチンピラに許しを乞うているのだが、どうにも必死さが感じられない。


二人はその少年を傷が残らない程度のヤクザ蹴りと、頭をはたくという手段で脅しているようだったが、そんな少年はまったく怯えていないので効果は薄いようで、それが余計二人を苛立たせている。


こちらの気配に気づいたのか、金髪の若い男がこちらへそのヘラヘラした笑顔を向けて助けを求めてきた。


「あっ?!審査官さ~ん。助けてくださいよぉ~。ぼく暴行されてまぁ~す。」


「なっ!・・・」


「このガキっ!・・・チッ!」


ヘラヘラ訴える青年の視線の先に気付いて、そう口々に言ったままこちらを伺うそぶりを見せるチンピラ。


(うわぁーめんどくさそうな香りがするなー。 せめて厄介事にはなりませんように・・・。)


「おい、どーすんだ、審査官殿よ?」


「どうするって、さすがに見てみぬフリも出来ないだろ・・・。」


「まぁーそーだわな。へへっ。」


本音をそっと心の引き出しにしまいつつ、ユーリア達は事情を伺うべく、彼らのほうへと一歩踏み出した。


胸中でフラグを立ててしまったことに気付かずに。

お読みくださりありがとうございます。

屋台とか、市場とか、ごちゃごちゃしたあのカオスな雰囲気が好きです。

一人でも多くの方にお読みいただけるよう、ブクマ評価お願いしますm(__)m

そしてより良い小説のために感想をお寄せください。

皆様からの応援が唯一の栄養ですっ!

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