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異世界式ファーストフード店 好評営業中

アルファポリス、勝手にランキングも参加してます。ぽちっとな♪

・・・五分ほど歩くと3人の前には夕食の時間帯で混雑する一軒の酒場のような店があった。


看板にはこうある、


「マクダ―ナルと、赤鼻道化師の店」


・・・白髪白髪の恰幅の良い老人と、赤鼻の道化師が仲良く腕を組んでいる軒先の看板を見ながらフルーは呟いた。


「うーん、いつ見てもギリギリだな。」


「すまん、コレは正直悪乗りだった。今は反省している。だが後悔はしていない。」


ニヤニヤしつつ言うフルーにそう苦笑いして答えつつ、ユーリアが木戸を押し店内へ入る。


チリリン、と扉につけた鈴が鳴り、店内からワントーン高い、不思議なイントネーションの女性たちの声があちらこちらから聞こえてきた


「「「いらっしゃいませーぇ」」」


そのフレーズを聞きながらフルーはユーリアへ突っ込む。


「なぁ・・・、こういうところまで真似させる必要あったんか?」


「ははは、いや、なんとなく・・・、ノリで、な。」


カウンターへ歩み寄ると、前世の記憶通り、見事な営業スマイルを浮かべた10代の女性が、これは前世とは違う給仕服姿で問いかけてきた。


「マクダ―ナルの店へようこそ!あ!マネージャーお久しぶりです、お食事ですか?」


笑顔で問いかける少女はポニーテールでなかなかかわいらしい。


「うん、今日は警邏の行きがけだからね。ダブルチーズバーガーをセットで一つ。」


ユーリアに続いてテルトが続ける、


「私はフィッシュバーガーセット・・・。」


「あ、俺はビッグバーガーセット!あと君の素敵なスマイ・・・るうぎゃあ?!あだだだだぁ!かっ、肩が砕けるぅうう!!って!げっ、レシア店長!あはは、今日もお綺麗ですねー、イタイイタイイタイって!取り敢えず、ごめんなさい!」


「あらぁ、フルーちゃんありがとう♪そ、れ、で、今日も私の大切な従業員達にちょっかいをだそうってわけなの?あたしがお相手するのじゃご不満かしら?」


余計なことを言ったフルーの背後に、その肩をミシミシと掴む長髪を束ねコック帽を被ったた巨漢の女性が出現した。


「えーと、食べて行くからね。仕事中だから、飲み物は果実水でいいや」


「はい、かしこまりましたー!お席までお持ちしますので、少々お待ちくださいねー」


店員も手慣れたもので、レシアとフルーのやり取りなど華麗にスルーして、ユーリアから代金を受け取ると、次の客を捌きにかかるのだった。


レシアは万力のごとく締め上げていたフルーの肩を離すとユーリアに笑顔で向き直った。


「あら、マネージャーさん。いらっしゃい。アンタもこんな部下をもって苦労してるでしょう。」


「いやぁー店長、すみませんいつもいつもウチの脳金がご迷惑を。でも、こんな奴でもたまには役に立ちますから。」


「そうよねー。たまに役に立つから捨てられないものってあるわよねぇ・・・わかってんのアンタッ?!」


「え、おれ?」


「アンタ以外に誰がいんのよっ!はぁ・・・イヤになっちゃうわこのおバカには。


まぁ、別に用事があったわけじゃないんだけど、マネージャーさんの声が聞こえたんであいさつしとこうと思ってね。


じゃあ私は厨房に戻るから、ゆっくりしていってちょうだい。」


そう豪快に笑いながらひらひらと手を振りつつ厨房へ戻っていく姿を見つつユーリアは肩をさするフルーにボソボソという、


「フルーさんよ、毎回毎回店にくるたびにの店員にコナかけるのはやめてくれんかね?っていうかお前無謀すぎるぞ、レシアさんの前で。元女傭兵の肩書きを甘く見すぎだ・・・。」


そう手を口の横にあてながらひそひそと神妙な顔で言うユーリアにフルーは負けじと言い返す、


「いいじゃんか!スマイルゼロ円だろ!お客様は神様だっ!」


「うちのメニューには載せてない!あとそういうのはお客様じゃなくてクレーマート言う。」


「タダより高い物はない・・・。常識だ・・・。」


そう口々に言いあいながら3人は席へ付いた、店内は今日もかなりの盛況のようだ。


半年ほどの試行錯誤を経て、今や店は王都でも話題の店であり、店内は様々な人々でごった返していた。コンセプトはファーストフード店のはずなのだが、それにしては店内は小ぎれいで客層も比較的裕良いようだ。


幾人かお忍びで着たと思しき貴族のような客もちらほらと見える。


いくら市井に溶け込んだつもりでもどこか浮いて見えてしまうものだ。


そういうわけで前世と違い、無意味に騒いだり、コーヒー一杯で席を占有して回転率を下げるよう問題とはこの店は無縁である。


「おまたせしましたー!ダブルチーズバーガのセット、フィッシュバーガーのセット、ビッグバーガーのセット。ご注文は以上でお揃いでしょうか?」


ほどなくして、さわやかな笑顔と笑顔声の店員さんによって、三人の前に次々と大皿に乗せられたハンバーガーセットが並ぶ。


ポテトは、あの細長いやつではなく、厚めに切られたジャガイモを揚げ焼きした代物で、パンも全粒粉パンに近い代物だが、それでも十分ファーストフード感は出ている。


ユーリアが参考にしたのはマ○クだが、大皿に盛られたヴィジュアルや、ポテトの雰囲気がハード○ックカフェっぽくなっているのはご愛敬である。


そう、実はここはユーリアの企画立案によって生まれた王都で初のハンバーガーショップなのであった。


きっかけは昨年のこと、


『貧民や、孤児を救恤する手段を募る。報奨金もあるので振るって参加するように。』


というお触れが国王の名で出されたことがあり、その企画ににユーリアなりに応えたのが、


「孤児や貧しい家庭の少年少女や、寡婦を雇って簡単な接客と調理を教えて食堂を運営させる。」


というプランだった。


面白半分にハンバーガーのメニューなども書き添えて投書したのだが、採用に関わったガリア3賢のうちの一家、弓のナスネルの関係者の目に留まりひどく気に入られたらしい。


「面白そうなのでぜひやってみなさい。」


いつの間にかトントン拍子に話は進み、ナスネル家から資金提供がされることになった。


とうぜん御3家ともいえる大貴族が出張るとなればいち審査官が今更『いやぁー、実はダンナ、面白半分でした! てへっ♪』、などで済まされるはずもない。


ユーリアは仕事の合間に接客マニュアルの作成から、調理指導、従業員の面接から教育、果てはレシピ開発から調理器具の試作開発まで、商売のノウハウのあるレシアの力を借りながらおぼろげな前世の記憶を頼りに何とかやり遂げたのであった。


そんな経緯もあって経営を引き継いだ今もユーリアはこの店では尊敬と親しみを込めて「マネージャー」と呼ばれているのであった。



因みに店長のレシアはもともとこの建物で安宿屋を営んでいた。


彼女の夫は傭兵だったが、5年前や傷がもとで他界している。


そんなわけで寡婦ではあるが、その印象の通り当時も女手一つで宿屋を切り盛りしており、特に援助の手が必要なわけではなかった。


しかし、その逞しさと肝が座っているところが少年少女とっては都合がよかろうと協力してもらったのである。


宿の客室は現在は従業員の寮のような扱いとなっていた。


従業員にとっては寮母さん、兼店長のような存在である。


ユーリアがその彼女と、試行錯誤を繰り返しながらも、完成させたその努力の結晶が今ユーリアたちの目の前にあった。


熱いうちに食べるのが吉、とばかりに3人はさっそくジャンキーな味を堪能する。


「うーん。うまいっ!やっぱりなんか懐かしいというか安心する味だねぇ・・・。」


心底幸せそうなほのぼのした表情でユーリアはほおばりながらつぶやく、


「同意・・・。悔しいがこれが米国のファーストフードの威力・・・。ジャガイモとブラッディソーセージとザワークラウトの国ドイツはこの戦線に関しては完全なる敗北を認めざるを得ない・・・。」


その隣でなぜか少しだけ不本意そうにテルトが言い、


「あぁー二つくらい食べたいんだけどなぁ。もう少し安ければなぁ・・・。」


フルーはがつがつと食べていた手をハタと止め、残り僅かなビックバーガーを名残惜しそうに見つめながら言った。


「確かになぁ。」


「同意。」


そう、この世界では、牛肉も、ベーコンも、白パンもマヨネーズも高級品である。


手間とコストのかかるフカフカの白パンを断念して、全粒粉パンにするというコストカットを断行してもなお、ハンバーガーセット一つで銀貨1枚という庶民には贅沢な強気の値段設定となっていた。


因みに銀貨1枚は銅貨10枚であり、普通の食堂なら味はともかく銅貨3枚もあればたらふく食べることができる事を考えればやはりお高いと言わざるを得ない。


だが3人はどうしてもこの味を忘れられず、ついつい週に一度は足を運んでしまうのであった。


彼らにとってこの味は未練というには小さすぎるが、忘れてしまうのも寂しい、そんな前世の思い出の味なのだ。


その値段分、それぞれにとっての思い出の味を、思い思いに楽しみながら、警邏前のひと時の安らぎの時間はすぎていく・・・。

お読みくださりありがとうございます。

ジャンクフードって、たまに無性に食べたくなりませんか?( ^^)

一人でも多くの方にお読みいただけるよう、ブクマ評価お願いしますm(__)m

そしてより良い小説のために感想をお寄せください。

皆様からの応援が唯一の栄養ですっ!

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