表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君となら  作者: 中原やや
9/67

旅立ち 2

 程なくいくと、街道沿いに看板が立てられていた。

『ここより東 ピースの街』

 看板を前に立ち止まる三人。

「レッド、どっち?」

「森を突っ切ったほうが近道だよ」

 地図を広げ、相談する二人に、いささか心配げなロード。

「おい・・・お前らダイジョーブか?」

 思わず尋ねると、ロードの思っていた通りの答えが返ってきた。

「ロードはおいらたちについてくればいーの!」



 森の中は、昼間にも関わらず、うす暗くじめじめしていた。今まで見えていた青空も、分厚い木々の葉に覆われてしまっている。

 街道かられて、近道を選んだ三人だったが、クリスにはこの道が本当に正しいのか疑問だった。先程から同じような場所をぐるぐると回っているだけのような気がしてならないのだ。

「レッド。ここで本当に合ってるのか?」

「うん。そうだよ」

 元気に、倒れた木の幹をジャンプしながらレッドは言う。

「この森を抜けると<アスター川>があるから、それに沿って東に行くんだ」

「なるほどな。そりゃ、街道より近いな」

 うなずくロードに、クリスは目を丸くする。ロードは笑って答えた。

「これでも一応剣士なんだぜ?この国の地理くらいわかってねーと。それに、護衛やらモンスター退治やらで行ったり来たりしてたしな」

「・・・そうだよな・・」

 うなづくクリスだったが、ふとひっかかりを感じた。

「ってことは・・・お前、モンスター退治してたくせに、宝石のこと知らなかったのかっ?!」

「うっ・・!・・・それは・・・だなぁ・・・」

 言葉につまりつつも、ロードはなんとか続ける。

「なんつーか、急いで仕事してたってのもあるし。ま、やっつけ仕事ってやつ?俺らが倒してたモン、いちいち確認してたらキリないぜ。1日何百体とかあるんだしよ」

「護衛じゃ、それもそうだな」

「まだ、宝石を落とすモンスターにってないだけかもよ?」

 クリスとレッドに励まされるが、返って自分のバカさ加減を再認識することになり、ロードは段々と落ち込んでいく。

(そういや、昔、仲間がモンスターの周りでわいわい騒いでたっけ・・。あれって、今思ったら宝石が落ちてたからだったんだな〜・・・。なにやってたんだ、俺・・・。)

 ため息をつくロードの肩を、クリスがポンと叩いた。

「これから稼げばいいじゃないか。それより暗くならないうちに川まで行こう。<アセター>だっけ?」

『<アスター川>!』

 ロードとレッドの二人に同時に訂正され、クリスは耳まで真っ赤になった。それを見て、二人が大笑いしたのは言うまでもない。




「ねぇ、クリス〜。おいら腹減った〜」

 レッドがこんなことを言い始めたのは、太陽が少し西に傾いた頃だった。ロードとクリスは顔を見合わせる。そういえば、朝食以外、まだ何も口に入れていなかった。

「そうだな。そろそろ休憩にするか」

「<アスター川>も見えてきたしな」

 ロードの言葉に喜んだレッドが走り出す。肩の荷物を放り出し、一目散に川のそばに行き、川をのぞく。

「クリスっ!魚がいるよっ!」

 嬉しそうに手招きをする。ほほえましい姿にクリスは笑って答えた。川の中で、バシャバシャと水しぶきを上げている少年を見て、ロードは、

「なぁ。あいつ一体いくつだ?」

「レッド?8つって言ってたと思うけど?」

「なんでぇ〜。まだまだガキじゃねぇか」

 川のそばにある切り株に腰を下ろすクリス。投げ出された荷物を拾い、フフッと笑うと

「本人の前ではそれは禁句だよ」

 すぅっと人差し指を口に持っていく。ロードは口の端を上げた。

「わぁ〜ってるって。でも、あいつ、からかうとおもしれぇんだよな」

 独り言のように言い、クックと笑う。そのとき、レッドの声が二人の下へ飛んできた。

「おいっ!ロード!!ちょっとは手伝えよっ!クリスも、火、付けといてよっ!」

「はぁ〜い」

「ったく。ガキが・・・」

 笑いを含み、返事をするクリスと、仕方なく川へおもむくロード。荷物をクリスに預け、腰から長剣を抜くと、そのまま川の中へと入っていく。

(剣をモリ代わりに使うのか・・・)

 クリスの思惑おもわく通り、しばらくすると、レッドの歓喜の声が川から上がった。どうやら一匹捕れたらしい。

「さて、と。こっちも準備するか」

 誰にともなくつぶやくと、クリスは枝を集めにその場を離れた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ