平和都市<チューリ城> 1
チューリ城に到着しました
ロードの読み通り、三人は夕方近くに<チューリ城>に到着した。
白い城壁とピンク色の屋根。緑あふれる広大な庭はチューリップであふれるばかりである。
しかし、今ロードたちがいるのは城下町であった。
舗装された道路の両側には、この国の花のチューリップが植えられている。様々な商店が軒を連ね、夕方の買い物客でどこもごった返していた。
ここ<チューリ城>は<平和都市 チューリ>の首都である。先日、ロードたちが泊まった<ピース>のほぼ真南に位置している。
ここには大きな港があり、他の大陸からの物資の運搬に役立っていた。また観光客も多く、旅客船も毎日のように出ている。
街の北門から、ロードたちは中心街へ向かっていたのだが、一つの店に人々が集まっているのが見えた。
「何だ?」
思い、ロードもその群れの中に入っていく。すると、
「号外〜!号外〜!<キルズ国>の王女が逃げ出したよ〜!実は反乱軍のリーダーだって噂だ!!号外〜!」
街の新聞屋が号外を配っていた。どうやらそれに人々は殺到しているようだ。
ロードは首をひねった。
(<キルズ国>っていやぁ、この大陸の北部にある国だよな・・・。反乱軍?)
頭の中で考えていると、
「兄ちゃんもどうだい?」
一部渡され、ロードはそれに目を通しながらクリスたちの下へと戻る。
「どうしたんだ?それ・・・号外か?」
「ああ。何か<キルズ国>の王女さんが逃亡したんだってよ。で、反乱軍のリーダーだと。ただの親子喧嘩を大袈裟に書いてるだけじゃねぇの?」
言うとロードはクリスにそれを投げて渡した。
クリスはそれに早速目を通す。
「『2週間程前から行方が分からなくなっていたキルズ国王女、セーラ姫(20)。その目撃情報が、先日ターチスの村から寄せられた。キルズ国王、ビゼルト王は、国民の反乱の原因は、セーラ姫にあるとコメントしている。城に戻り次第、厳しく追求し処罰するとのこと。国民側は法改正の動きを強め――』」
クリスはパタリと新聞を落としていた。顔が青ざめている
「お・・おいっ!クリスっ!どうした?」
「何・・でもない・・。ちょっと・・・気分が・・・」
目を閉じ、瞼を押さえる。脳裏には先程の記事がよみがえっていた。
「クリスぅ〜。大丈夫?」
「うん。・・・ありがと、レッド」
力なく微笑んでみせるが、表情は暗いままだった。ロードは小さく息を吐くと、
「とにかく、クリスがぶっ倒れる前に宿を見つけねぇとな」
言うと、嫌がるクリスに肩を貸し、そのまま引きずるようにして三人は歩き始めた。