表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君となら  作者: 中原やや
22/67

弱点 3

「クリスっ!もうやめろっ!」

 大蜘蛛退治はほどなく終わったが、クリスはまだ暴走していた。

 何もない空間に向かい両手をかざす。その手の先にいたレッドは慌てて逃げていった。

「もうダイジョーブだって!」

 クリスの両腕を掴み、彼の前に回りこむ。見ると、彼の青い瞳からは大粒の涙が零れ落ちていた。

「おいっ!クリス、しっかりしろ!」 

 ロードの言葉が届いたのか、クリスの焦点が次第に合っていき、目の前にいる長身の男の上で止まった。心配げにクリスを見下ろしている。

「あ・・・ごめん・・・その・・・」

 自分がしてしまったことが恥ずかしいのか、クリスはやや頬を染めてうつむいた。その仕草にロードの心臓が一瞬跳ね上がる。

(ティナに・・・似てる・・・)

 もう一度、顔を見ようとロードはクリスの顔を覗き込んだ。クリスも涙をぬぐうと、顔を上げ――

 そのまま二人は固まってしまった。

 すぐ目の前にお互いの顔があった。

 ロードは涙で輝く海のように深く青い瞳に釘付けになっていた。

 クリスも心配げに見つめている優しい瞳に吸い寄せられていた。

(何だ・・・この感じ・・。相手はクリスだってのに・・・)

 頭では分かっていても、行動に出てしまう。ロードは知らず知らずのうちに、クリスを引き寄せていた。そして、彼の唇に視線を移した、その時

「・・・男同士で気持ち悪いんですけど?」

『?!』 

 レッドの冷ややかな言葉に、ロードはクリスからパッと離れた。クリスのほうも我に返ったようで、恥ずかしそうに下を向いている。

 ロードは髪をかき上げた。

「あぶねー!もうちょっとで、野郎とキスするトコだったぜ!」

 内心の動揺を悟られないように、わざと大声で話すロード。そして、レッドに「さんきゅーな」と、彼の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。

「ほら、行くぞ」

 クリスのほうには見向きもせず、ロードはそのまま<チューリ城>のある南東へと歩を進めて行った。

 髪を整えたレッドは恐る恐るクリスを見上げた。未だに彼の顔は赤い。

「・・・大丈夫?クリス?」

「・・・うん・・・。危なかった・・・」

 片手で火照ほてった頬を押さえ、クリスは自分が燃やしてしまった木々を見やる。未だに炎が燃え上がっているものもあった。それらに向かって両手を突き出す。

「『水流魔法フラッド』」

 クリスの足元から徐々に水が湧き上がり、それはやがて波となる。大波となったそれは、木々の炎を飲み込んだ。

「俺たちも行こうか」

「うん」

 炎に変わり、一筋の白煙を上げている木々を確認すると、クリスとレッドは遥か前を行くロードの後をゆっくりと追って行った。


ロードとクリスの二人が怪しい関係になりつつあります(笑)

・・・まぁそれも分からなくもないんだけど・・。

まともなのはレッドだけかな??

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ