表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚は二度目です   作者: 岸本 和葉
第五章 七聖剣編
99/127

98 対面

 深い森の中を、光真は走っていた。

 途中に襲ってくる聖剣たちを問答無用で切り捨て、ただ光の先へ。

 そして、ようやく開けた場所にたどり着いた。


「お前があの結界を貼ったやつか」


「ふむ……我に軽々しく質問するでないぞ」


 白い髪の男は、振り返りつつ言った。

 背が高く、広いマントがなんとも印象的な男だ。

 ただし、辺り一帯を占める空間が、この男によって掌握されていることが分かる。


「人間という生物はいつもそうだ。自分たちが一番上だと思い込んでいる。なんたる傲慢、世界の頂点は貴様ら人間ではない。我らが神、クレアシル様。そして――――我だ」


 男は空を見上げ、手を広げる。

 今口にした言葉が、すべて正しいと信じて疑わない態度。

 しかし、光真も負けじと凛とした態度で望む。


「……世界の頂点とかどうでもいい。俺はお前を倒す。それだけだ」


「生意気な人間だな――――処罰が必要と見れる」


 両手を広げたまま、男は宙へ浮かび上がった。


「我は七聖剣の一人! 傲慢剣ルシファー! 傲慢を司る者である!」


「光真だ……しがない高校生」 


◆◆◆

 夕陽は荒れた岩場を駆けていた。

 その身に黒炎を纏い、近づくものを一瞬の内に破壊し尽くす。

 そうして駆け抜けた先に待っていたのは、黒い髪を長く伸ばした男だった。

 眉間には深いシワが寄っており、目つきは鋭い。

 赤と黒を基調とした服を着ており、手には禍々しい両刃の剣を握っている。


「あなたが結界の鍵?」


「うるさいな。人に聞く前に自分で考えろよ」


 苛ついた様子の男は、その鋭い眼光を夕陽に向けた。

 しかし、そんなものは夕陽を怯ませるに至らない。


「どっちでもいいや。殺すだけだし」


「ああ、うぜぇうぜぇ! ムカつくなお前……」


 夕陽が構える、男も構える。

 互いの表情に浮かぶ感情は、一つ、怒り。


「俺は七聖剣の一人、憤怒剣サタン。お前の名を聞いてやる」


「あなたに名乗る名前はない。どうせここで死ぬんだしいいでしょ?」


「……絶対殺すわ、お前」


◆◆◆

「腹減ったー、腹減ったー」


「……何です? あれ」


「危険ですよ……」


 シロネコとミネコの視線の先、そこには、周りの聖剣たちに「腕」を伸ばし、手の平についた「口」でその肉体を喰らう少女の姿があった。

 腕は触手のようにしなり、手の平に口があるせいで歪な形になっている。

 

「あー、人だ、人最近食ってない……食おうかな」


「来るです」


「はい!」


 腕が伸びる。

 二人は左右に別れることで回避し、無事で済んだ。

 しかし後ろにあった木々は口にかじり取られ、更地となる。


「……あれには触れられないです」


「無事で済むわけ……ないですよね」


「あー、木も久々に食べた。美味い」


 二人を狙ったことなど忘れ、少女は木を貪り始める。

 するとあっという間に森の木が消えていき、いつの間にか広大な広場が出来上がった。


「でも、人も食いたい……ねぇ? 食べていいよね? ガマンしないけど」


「きっと美味しくないです」


「そう言う問題じゃないと思いますけど……」


 会話には緊張感がないが、表情は真剣そのもの。

 再び標的が戻った腕を、二人は冷静に回避した。


「行くです」


「はい!」


「腹減ったー」


 

◆◆◆

「うわぁ、僕だけこんなやつが敵なの? 他の聖剣は羨ましいなぁ、これじゃ何も楽しめないよ」


「……あなたがこの結界の鍵ですか?」


「そうだよ?」


 エルカの前には、少年が立っていた。

 少年は丸っこい眼でエルカを眺める。

 そして、ため息をついた。


「君、雑魚でしょ? 攻めてきた人間たちの中で、一番弱いってすぐ分かるよ」


「ど、どこがでしょうか……」


「眼が濁りすぎ。僕を見てない。心ここにあらず、って感じ」


 少年は憎々しげに頭を掻く。


「明らかに僕が相手だって分かるのにさ、何で僕を見てないの? 嫉妬しちゃうよ?」


「うるさい! 私は戦える」


「じゃあ、証明してみせて? 少しは戦えるってとこをさ」


「ッ!」


 少年は、一瞬でエルカの眼の前に移動した。

 今までの彼女であれば、見切っていただろう。

 しかし今のエルカでは、それすら捉えることが出来なかった。


「僕は嫉妬剣レヴィアタン。君を殺す剣だよ」


 レヴィアタンは、一回手を叩く。

 手と手が合わさった瞬間、発生した衝撃はがエルカを吹き飛ばした。


◆◆◆

「おい! てめぇをぶっ飛ばせば、あの結界は消えんのか!」


「……めんどくさいのが来たなぁ。やだなぁ」


「何だ、だらしねぇ男だな」


 ロアの向かった先には、地べたに寝転ぶ男の姿があった。

 男は気だるげな様子でロアを見つめる。

 やがてそのままの態度で立ち上がると、猫背気味のままで出現させた剣を構えた。


「めんどくさいけど、クレアシル様のためだしなぁ……さっさと終わらそ? 俺を殺せば結界が解けるしさ」


「へぇ、話が速いじゃん。んじゃやろうぜ」


 片やいつまでも気だるげな男。

 片や闘争心むき出しの獰猛な少女。

 酷く対象的な二人が、向かい合っている。


「獣王の娘、ロア・レオネールだ」


「七聖剣の一つ、怠惰剣ベルフェゴール。ああ……名乗るのさえめんどくさい」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この度新作を投稿させていただいたので、告知させていただきます。 よろしければ、ぜひブックマークや評価をいただけると嬉しいです! 世界を救った〝最強の勇者〟――――を育てたおっさん、かつての教え子に連れられ冒険者学園の教師になる ~すべてを奪われたアラフォーの教師無双~
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ