96 挑戦
ここまでで五章の導入です。
次回から元の長さに戻ります。
「――準備はいいかい? 三人とも」
魔王城を出たところで、グレインは振り返って聞く。
後ろにはティア、エルカ、夕陽と立っており、それぞれ返事を返してくる。
「行ける」
「だ、大丈夫です……」
「早く行こうよ。獲物を逃したくない」
ティアはいつも通り。
エルカはまだ本調子じゃないが、返事は返せる。
夕陽はもはや殺人鬼の眼だ。
(うーん……荷が重いなぁ)
グレインは苦笑いを浮かべ、頬を掻いた。
今の夕陽は、おそらく敵を見つけた瞬間に特攻するだろう。
もちろんグレイン自身はそれを止めることは出来るだろうが、自分自身を敵と見なされたらたまったものじゃない。
「でも行くしかないしね……」
「ウジウジしない」
「分かってるよ。じゃあ行こうか、神様のところにさ」
四人は歩き出した。
クレアシルがいると言う、中心の孤島へと。
◆◆◆
「よしよし、行ったね」
「……大丈夫なのか? 本当に」
さきほどの四人が出発したのを見て、冬真は悪い顔で笑った。
自分たちが脱走したという自覚がある光真は、いまだ少し踏み切れていない様子が伺える。
「今行かないでいつ行くのさ。何のために特訓したの?」
「……そうだな」
光真はため息をついてうなずき、決意を新たに前を向く。
その様子を満足気に見た冬真も、同じように前を向いた。
「よし、イケメン。さっさと神を殺しちゃおう」
「いい加減名前で呼んでくれ」
二人も城を出発する。
魔王城の中で、捕虜二名が脱走した件で大騒ぎになっていることなど、もはや二人には知ったことではない。
◆◆◆
「姉さん、そろそろ出発ですよ」
「今行くです」
とある深い渓谷にいたシロネコは、ミネコに呼ばれて巨大な物体から飛び降りた。
その身体には無数の傷が増えており、ここしばらくの修業の激しさを伺わせる。
「もうロアさんは待ってますよ」
「分かってるです」
二人は並んでロアの待っている元へと向かう。
彼女らのいた場所には、全長30メートルを超えるSSS級の魔物たちが転がっていた。
「遅いぜテメェ。また寝てやがったのか?」
「違うです。最終調整です」
「まあいいけどよ」
待っていたロアは、乱暴な口調でシロネコに声をかけた。
戦争の一件で、口調の乱れを我慢しないようにしたらしい。
「父ちゃんはやっぱり国を離れられないから、あたしらだけで行くぞ。十分だよな?」
「当然です」
「私だって伊達に特訓してません!」
「へっ、だよな」
ロアはそこで下を向き、息を吸い込む。
「――よし、行くか! 神様をぶっ飛ばしに!」
それぞれの出発。
すべては中心の孤島を目指し、神を討ち取るため。
人類が、神に挑む時が来た。
新作を投稿しました。そちらもよろしければブクマ・評価お願いします。
http://ncode.syosetu.com/n7416dm/




