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異世界召喚は二度目です   作者: 岸本 和葉
第三章 戦争編
60/127

59 質疑応答

パソコンを変えたので、使い心地の確認をこめた投稿です。

短めになってしまい申し訳ありません。

あと誤字多い……?

 勇者ってのは、本当に理不尽な存在だ。

 なんたって、たったの一ヶ月そこいらでここまで強くなっちまうんだからな。

 いざ目の当たりにしてみると、俺や冬真を見ていた周りの連中の気持ちが分かる。

 規格外だよな……やっぱ。

 溶岩に飲み込まれても無傷な自分の体を見下ろして思う。

 ただ上半身の服はダメになっちまった。

 だめだこりゃ、ほぼ上半身裸だ。

 勇者とか言ってもさすがに恥ずかしいんだけど。


 ちくしょう……あの二人どうしてくれようか。



 遠藤竜司という男は、とにかく普通の人間であった。

 小学校、中学校と平凡な成績を取り、テストの点数はいつも平均点。

 運動会等での徒競走では、三位以外の順位を取ったことがないくらいの平凡少年。

 そんな自分に嫌気が差し、彼は努力をし少し上位の高校へと入学した。

 そこで出会う――――――――花柱夕陽という少女に……。

 彼女はまるで太陽だった。

 自分のようなその他大勢の雑草たちにすら、明るく変わらない態度で接してくれる、青空に浮かぶ太陽。

 彼は一目で恋に落ちた。

 話しかけたり、アプローチを仕掛けてはみたが、夕陽の周りには雑草とは違う花たちが集まっていた。

 学年で一番かっこいい男で名高い光真、小柄で可愛く男子人気が高い美月、豪快さと頼もしさで人を寄せる次郎……。 

 その他にも、メガネのよく似合うスマートな生徒会長、後輩として入ってきたモデルもやっている美少年、同学年の女性経験豊富な男、さらに他校の男子までもが彼女に恋心を抱いた。

 遠藤は半ば諦める……平凡な自分では彼らには勝てないと。

 とどめは、夕日に照らされた道を歩く、彼女と光真の姿。

 それがあまりに似合いすぎて、彼の心は折れたのだ。

 諦めて数日……彼は偶然にも、夕陽が一人の男子生徒と話しているところを目撃する。

 そこにいたのは、光真でも、他の花たちでもなく――――――――須崎雪、立場だけで言えば「最底辺」、雑草は雑草でも、枯れた雑草のような男だった。

 それを見て、遠藤は怒りを覚える。

 根暗で不気味で気持ち悪いとまで言われていた男が、彼らにとって太陽のごとき存在である少女の言葉を、適当にあしらっていたのだ。

 遠藤は自分の中にある初めての感情……殺意に気づいた。

 

 それから彼は、須崎雪を目の敵にし始めた。

 ネクラユキと煽り、パシリとして動く彼を蹴る。 

 腹を殴りつけ、うずくまる彼の頭を踏んだこともあった。

 

 そうして笑っていた彼が……今はその男に頭を踏まれている。


「がっ……はっ……」

「そういや、よくこんなことされたよな、お前に」

 

 一撃である。

 水蒸気の中から彼が出てきたと思えば、遠藤は腹に衝撃を受け倒れていた。

 猛烈な圧迫感と激痛が彼を動けなくし、蹲らせる。

 息も絶え絶えな状態で顔を地面に押し付けられ、泥が少し口に入った。


「別にお前のことは恨んじゃいねぇよ。何されても痛くも痒くもなかったしな」

 

 セツの踏む力は強くない。

 だが遠藤は立てなかった。

 

「こうしてお前を踏んでるのは、お前がどんな気持ちで俺を踏んでいるのかが気になったからだ。なあ遠藤、案外悪くねぇな、これ……なにより見下せるってのがいい。お前もこんな気持ちだったのか?」

「ぐ……ぎ……」


 遠藤は混乱し痛みに悶えながらも、怒りに顔を赤くする。

 立ち上がろうと力をこめるが、さきほどより強く踏まれ地面に沈む。


「すげぇなお前……魔力も体力も尽きて体も痛いだろうにさ。そんなに俺が嫌いか」


 グリグリと足で遠藤を嬲るセツ。

 さらに地面に捻じ込まれ、口に泥が入っても、遠藤は彼をにらみつけるのをやめない。

 

「分かるぞ、俺もお前のことは嫌いだからな。だからこうしてお前の頭を踏んでいるんだ。さってここからどうするか……腕を捥ぐか? 足を斬るか? 目をくり抜いても一個ならいいだろ。 それくらいしても問題ないことされてきたよな、俺」


 セツは黒丸を遠藤の眼前に突きつける。

 この時、遠藤は初めて彼に「恐怖」を抱いた。

 自分が何に喧嘩を売っていたのかを自覚した。

 この男は化け物だった、触れてはいけなかった。

 湧き上がる後悔……今は心底思う――――――――自分はあまりに馬鹿だったと。


「なぁ……どこからがいい?」


 次の瞬間、遠藤の意識は自然と失われた。




「……あーあ」

 

 ちょっと笑顔を向けただけで気絶しやがった。

 もう少しやり返してもよかったが、後悔させられただけよしとしよう。


「う……あ……」

「で、お前はどうする?」


 俺は聖剣を構えたまま動かない光真に声をかけてやる。

 遠藤を踏んでいる間俺は無防備だったって言うのに、こいつは一歩たりとも動かなかった。

 見た感じもう心が折れてやがる。

 自分たちの最大の攻撃を無傷で受けきられたらさすがにビビるよな。

 まあこいつの事情はどうでもいい、俺はこいつに聞きたいことがあるんだ。


「まあかかって来ないならいい、そのまま聞け。今から質問することに正直に答えろ」

「な、なんでそんなこと……」

「答えねぇなら仕方ねぇ、こいつを殺す」


 脅しの意味で、黒丸を遠藤の首に突きつける。

 俺が殺しをしないってことを、光真は知らない。

 それなら十分脅しになるはずだ。


「や、やめろ!」

「なら答えろ、素直にな」

「……分かった」


 よし、それでいい。

 

「じゃあ一つ目、あの黒ローブの連中、確かお前は幹部とか言ったよな。あの連中全員の名前、能力を教えろ」

「なんでそんなこと……」

「必要だからだ、さっさと答えろ」

「わ、分かった」


 何か口ごたえされる前に黒丸を強く遠藤に押し付け、先を急かす。

 光真の口から出た説明をまとめてみると、黒ローブの人数は8人。

 名前はカゲロウ、ルーナ、ビルドス、クロイヌ、サイガ、メルアー、ルーム、ガイア。

 それぞれがユニーク魔法を持っているらしいが、明かされていないそうだ。

 多分だが……〈影魔法(シャドーマジック)〉だかを使っていたのは、カゲロウだと思われる。

 サイガとクロイヌにも会ってるな、シロネコの家の前で。

 そういえばやつらのユニーク魔法は確認できてない。

 あとはメルアーか……予想が正しけりゃあいつなんだろうが……。


「――――――――んじゃ次の質問、黒ローブどもの居場所だ」

「わ、分からない……あの人たちは幹部と言っても指揮はとってない。権限はあるが……。全員戦場を自由に駆け回ってるはずだ。あ、でも一人は人間大陸で王を守っている。もう一人……イビルバロウに単騎で乗り込んでる人がいる」

「単騎で……イビルバロウ? 魔王城にたどり着く前にやられるだろ、そんなの」

「あの人はそうならない能力があるらしい……詳しくは分からないが」


 何だ使えねぇ。

 目的はデザストルだろうが……無謀だな、あいつに喧嘩売るとは死にに行ってるようなもんだ。

 となると――――――――この場にいる六人の黒ローブをぶっ倒せば、この戦場はクリアということか。

 いや、あいつもいるとしたら……。


「あと、ちっこい女みたいな男知ってるか?」

「な、なんだそいつは……?」

「んー……じゃあ聞き方を変える。他に黒ローブのやつ見てねぇか?」

「か、幹部の人たちは八人で間違いない! 他は知らないぞ!」


 嘘は――――――――ついてねぇな。

 あいつは来てねぇのか?

 いや、来ていないはずがない。

 どっかで出てくるはずだ……多分、戦いが終わるころに。


「まあいいや……」

「もういいか……? 遠藤を解放してやってくれ」

「ああ、じゃあ最後の質問すっから」


 一番聞きたいことがまだ残っている。

 俺からすりゃ敵の情報よりも大事なことだ。

 

「お前、夕陽をデートに誘ったって本当か?」

「え?」

「答えろ」

「あ、ああ……本当――――――がっ」


 答えも半ばに、俺の拳は光真の頬を捉えていた。

 自分でも思わず殴っちまってたよ……うへぇ。

 うわ、気絶しちまってる。


「ま、いいか」


 俺は気絶している遠藤と光真の首根っこを掴み、運ぶ。

 ついでに美月と次郎も運んでやり、全員森の中の大きな木の下に寝かせる。

 雨ざらしのまま放っておくのも見栄えが悪いしな。

 しばら……なくてもいいな、どうせ何もできない。



 

 

 

 

セツくんはSです(唐突)

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この度新作を投稿させていただいたので、告知させていただきます。 よろしければ、ぜひブックマークや評価をいただけると嬉しいです! 世界を救った〝最強の勇者〟――――を育てたおっさん、かつての教え子に連れられ冒険者学園の教師になる ~すべてを奪われたアラフォーの教師無双~
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