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異世界召喚は二度目です   作者: 岸本 和葉
第一章 魔族大陸にて
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2  訓練とかつての仲間

今日は二作投稿しております、さきにそちらをご覧下さい

「今日の訓練はここまでです!! 解散して体を休めてください!」


 城の庭の訓練場に凛とした綺麗な声が響く。服を押し上げる大きく張りのありそうな胸に胸当てをつけ、女騎士用のスカートを履き、青い髪をなびかせる綺麗な女…訓練場に響いた声はその女のものだ。


エルカ・ヴェルソー――――――それが女の名前。


 みなが持つ強大な力を操るために取り込んでるこの訓練が始まって、早一週間が経とうとしていた。


最初はまともに魔法が撃てなかったやつらも今では立派な魔術師、元々の力があるだけ成長ももんのすごく速い。


その成長速度に一役買っているのが、青い髪の美人騎士、エルカだ。


 彼女は魔法戦士で、城の兵士たちをまとめあげる長の立場を持っている見た目の若さにそぐわない立派な女だ。クラスメイトの男子どもは初見で虜になり、女子も影でお姉さまと呼んでいるのを耳にしたことがある。


そんなエルカだが、実は俺の元仲間だったりする。


 氷土の魔剣士エルカ――――――そんな二つ名が広まるほどに彼女は強かった。

だからこそ解せないことがある。

なぜエルカは俺たちの教育係なんぞになっているのか…普通なら戦争の前線へ行ってるはずだ。何かしらの理由があるのか……?


―――――……まあ今深く考えても仕方ない、あいつが俺たちの教官をやってくれてるおかげでやつらのレベルは上がってく。

俺はクラスメイトなんざどうでもいいと思ってはいるが、別に死んでほしいわけでもない。やつらが死ににくくなることは万々歳だ。逆に俺がいなくても夕陽を守れるくらいには強くなってもらわないと困る。


 部屋にもどるクラスメイトに混ざり、俺ももどろうとすると、俺に馴れ馴れしく肩を組んでくる奴がいる。


「よぉネクラユキ、今日もちょいと付き合えや」


いじめっ子遠藤……とその取り巻き


 俺はため息をつくのを必死にこらえ、こいつらに流されるままいつもの場所へ向かった。








「おらぁ!」

「っ……」


 魔力で強化された遠藤の蹴りが腹を打つ。

ここは城の裏、影になっていてこっち側にはほとんど人の通りがない。現代の体育館裏みたいなものだと思ってくれ。

 俺は腹を蹴られると同時に大げさに跳び、城の壁にわざと叩きつけられる。苦悶の表情もしっかりと浮かべ、できるだけ自然にうめき声を出す。


 ここ数日で俺が完璧にしたやられ役演出、本当は痛くも痒くもないが、演技に騙されている遠藤とその取り巻きは楽しそうに顔を歪めた。


「俺たちはラッキーだぜ! こんないいサンドバックがいるんだからよ! お前らもやっちまえ!」

「おう!」

「練習した魔法を試すのにちょうどいい!」


 こいつらは人の目がないのをいいことに、俺に好き勝手暴行を加え始める。

数日前からこのざまだ、俺に傷一つつけられないような攻撃をしてくるから逆に困っている。

 無力さを前面に出すために、わざわざやられている振りをしてやらなきゃならない。火の玉が当たったところを自分の魔法で焦がし、殴られたところを隙を見て自分で殴ってそれっぽく演出する。いい加減イライラが貯まるが、役立たず認定されるためにはこういう細かいところが必要だ。


 最終的にストレスを解消した遠藤ファミリー(笑)は、俺に申し訳程度のヒール(回復魔法)をかけてこの場を去る。

痛みが引きしだい俺も戻るのだが、いくら傷が残っていようが周りのメンツは何も言わない。夕陽なら心配くらいしてくれたかもしれないが、生憎最近全く会っていない。

 

 奴ら、光真率いるクラス中心体どもは、他のクラスメイトに比べて頭一つ分くらい強い。だから別メニューを別の奴の手で教わっている。寝床まで離れたところに特別待遇で泊まらせてもらっているらしく、訓練終わりでも決して会うことはない。たまにエルカの口から名前がでることがあるから、元気にやっているのだろう。



「おら! 今日は新技を試すぜ!」

「まじかよ遠藤!」

「いけいけ!」


 おっと忘れかけてた。目の前で意気揚々と詠唱する遠藤の手には、紅蓮に燃え盛る炎の玉が形成されていた。へぇ、ファイヤーボールのアレンジ技か?


「行くぜ! コロナボール!」


 放たれた魔法は相当な熱量を持って俺へと向かってくる。

規模は小さいが熱量だけは大したものだ。当たれば薄皮が焦げるくらいにはなるかもしれない。


さて受け止めるか―――――そう体をリラックスさせたとき、


目の前で遠藤ボール(笑)が凍りついた。


「は?」


遠藤が呆気にとられ間抜けな声を出すが、俺には犯人が分かっていた。


「君たち、揉め事なら私の見ているところでやってほしいものですね」

「え、エルカさん……」


 毅然とした態度で現れた魔剣士エルカ、彼女の手からは冷気が放出されていた。

氷土の魔剣士、その由来はご覧の通り氷属性のエキスパートだからだ。剣士としても相当な腕前があるが、真骨頂はその氷魔術にある。


「え、遠藤どうする?」

「ちっ……戻るぞ。すみませんねエルカさん、ちょっとじゃれてただけなんで心配しないでくださいよ」

「そうですか、気をつけてくださいね?」

「はーい。ほらオメェら行くぞ」

「あ、ああ」

「おう……」


 三人が城へ戻っていく。こいつらもエルカの言うことは聞いていてなんか新鮮だな。


まああれだ、一応礼を言わねば


「ありがとうございました」

「構いませんよ。ですがこれからは自分の身は自分で守っていただきたいですね、私も暇ではないので」


……お?


「もう少し強くなる努力を積んだらどうですか?体を鍛えるなど方法はあるはずです。せめてまた私が仲裁に入らなくてもいいようになっていただかないと困ります。」


……お?お?


「戦えなければ戦えないなりに迷惑をかけないようにしてください。この国には現状余裕がないのですから」


ほうほう……つまり無能に割ける余力はないと…


クハハハ……俺のエルカ(奴隷)のくせに言うようになったじゃねぇか


お し お き だ



「クハハ……ハハハ」

「?何かおかしいことでも?」


「―――――テメェ随分と偉くなってんなぁ?」


「ッ!? キャァ!!」


ゴゥッ!


 突如吹き荒れた突風がエルカの青い髪を揺らし、その体を宙に浮かせた。

そこに俺が飛びかかり、エルカを肩で担ぐ。神輿を担ぐ容量でしっかりと肩に乗せ、腕で肩に固定する


「な! 何をするんですか!! 離しなさい!!」

(主人)にそんな口を聞く奴隷にはお仕置きしないとなァ!」

「何を言って―――――ひんっ!!」


 俺の手が、顔の横にあったエルカの尻を思いっきり叩く。

女騎士御用達のスカートを脱がし、綺麗に丸みを帯びている尻を叩きまくる


パァン! パァン! パァン!


「ひぎっ! こんなことして……っんぐっ! ただで済むとっ……んひぃ!」

「まだ思い出さねぇか! !そんなやつにはこうしてやる!」


 俺は叩く手にさらに力を込める。

久々で力加減を忘れていたが、だんだん感覚が戻ってきて、‘‘いつもやっていた’’ように叩けるようになってくる


「この……あっ! 叩き方は……ひっ! まさか……ヒィん!」

「ああ?ようやく思い出したかよ――――――エルカ(変態)

「ああ!! セツ様!! ―――――んひぃん!!」


 思い出した褒美に、最後に思いっきり叩いてやった。

ビクンビクンと痙攣し大人しくなるが、地面に降ろして休ませるとすぐ我を取り戻した。


「せ、セツ様!! 私寂しかったんですよ!? あなたに叩いてもらえない日々は本当に辛くてんぐぅ!?」


俺は手でやかましく喋るエルカの口を押さえる


「あー! うるせぇうるせぇ!! 悪かったよいなくなって……」

「ぷはぁ!! 本当ですよ!! この国の力で強制送還されたって聞いたときはほんとうにどうしようかと思ったんですから……」


手を離して喋らせてやると、その表情は喋りながらどんどん暗い方へ落ちていった。


「―――――……心配かけたな、ただいま」

「お帰りなさい――――――セツ様!」


俺はエルカを抱きしめる。

……この感じは久しぶりだ。なんというか、やっとこの世界に戻ってこれたんだという実感が湧いてくる。


「ふひっ……五年ぶりの……セツ様の匂い……ふひっ」


……台無しにしてくれたなぁ……この感動を……


「お仕置きだ!!」

「あぁん!! 頭グリグリやめてください!!」


――――――ここで、エルカ・ヴェルソーについて、誰もが知らない耳より情報を教えよう。


「こんの真面目風変態娘がァ!!」

「グリグリやめてくださいぃぃ!――――――あれ?ちょっと気持ちよく……」


彼女は、この世界でも生粋の



変態である






変態な女の子ってすばらしいと思うのですがどうでしょう?

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この度新作を投稿させていただいたので、告知させていただきます。 よろしければ、ぜひブックマークや評価をいただけると嬉しいです! 世界を救った〝最強の勇者〟――――を育てたおっさん、かつての教え子に連れられ冒険者学園の教師になる ~すべてを奪われたアラフォーの教師無双~
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