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異世界召喚は二度目です   作者: 岸本 和葉
第五章 七聖剣編
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99 傲慢

「ぐあっ!」


「ほら、どうした人間」


 ルシファーが腕を一振りするたびに、光真の身体はボールのように左へ右へ転がる。

 何気ない攻撃であるはずが、一撃で地面はめくりあがり、突風が巻き起こるのだ。

 光真は勇者の再生能力を駆使して何とか立ち回っているが、一向に攻めることが出来る気配がない。

 

「威勢がないな、まあ、我を前にしている以上当然と言えるが」


「く、くそっ!」


「む?」


 光真に、衝撃波が直撃する。

 しかし、全身打撲を負いつつも、光真はとっさに飛剣を放った。

 それは真っ直ぐルシファーへ向かっていく。

 

「ほう」


 ルシファーは、それを眺めるだけでかわそうとしない。

 なんとか体勢を整えて着地した光真は、驚愕の表情でそれを見る。

 そのまま、飛剣はルシファーに直撃した――――。


 ――かに、思われた。


「いい反撃だが、我が受けるには値しないな」


「な、なに……?」


 飛剣が、ルシファーの身体を通過(・・)した。

 そのまま飛剣は遙か空まで飛んでいき、空中で霧散する。

 確かに当たっていたはずの攻撃が当たらなかった。

 光真の表情を歪めるには、十分な衝撃だ。


「いい表情だ、人間。どうだ? これが七聖剣、傲慢の能力である」


「くそっ!」


 冷静さを欠いた光真は、ルシファーの言葉をろくに聞かず、もう一度飛剣を放った。

 しかし、やはりルシファーは動かない。

 

「無駄であるぞ」


 その飛剣も再びルシファーを通過し、後方に大きな傷跡をつけるだけで終わった。


「我の能力、不平なる審判(スペルビア・ジャッジ)は、我が認める攻撃以外を受け付けない力。人間、貴様の攻撃は我が受けることは、後生ないだろう」


「ふ、ふざけるな!」


 激昂した光真は、連続して飛剣を放つ。

 今までで最高威力の飛剣が、いくつもルシファーに向かう。

 

「無駄と言っている」


 やはりそれらすべてはルシファーをすり抜け、後方の地面を傷つけるだけにとどまった。

 

「まだだ!」


 光真は再び剣を振りかぶり、二回、剣を振る。

 ルシファーはそれを見てため息をつく。


「バカの一つ覚えだな」


 ルシファーは動かない。

 このまま飛剣は彼を通過するはずだった。


 しかし――――。


「!?」

 

「〈飛剣・光〉!」


 その飛剣は、ルシファーの眼前で強烈な光りを発した。 

 

「くっ」

 

 ルシファーは思わず眼を覆う。

 いくら攻撃が通過すると言っても、五感への影響まで回避することは出来ない。

 

「小癪な……」


 徐々に視力が戻り、ルシファーは手を退ける。

 しかし、眼も治り、隠してもいないのに、視界が開けない。

 ルシファーの視界を隠しているのは、辺りにたちこめている土煙。

 

「なるほど、ニ撃目か」


 光真は、飛剣・光を放った際に、もう一つ飛剣を放っていた。 

 しかし、ただの飛剣でこれほどの土煙はたたない。

 そこで重要になるのが、光真が習得した新たな特技だ。

 

『属性付加』、飛剣に属性を付け、様々な効果を発揮させる技である。

 

 初めにルシファーの視界を奪ったのは、光を付加し、飛剣が閃光を放つようにする「飛剣・光」。

 そして砂埃をたて、現在進行形で視界を塞いでいるのは、「飛剣・風」。

 光真は、これをルシファーの足下に撃ち、周囲に砂埃を巻き上げた。

 自然発生した砂埃ではないため、ある程度までのコントロールを可能とし、ルシファーの周囲に漂わせておくことも容易。

 しかし、いくら視界を奪っても、ルシファーには攻撃が通用しない。

 そして、この程度の妨害では数秒しか稼ぐことが出来ない。


「人間はやはり小賢しい生物だ」


 ルシファーが腕を振るう。

 すると突風が巻き起こり、砂埃はあっという間に消し飛ばされた。

 視界は開け、光真の姿も明らかになる。

 

「……何だ、その姿は」


「時間稼ぎにはなったな……このモードになるには、少し時間が必要だったんだ」


 光真の姿が、変化していた。

 白銀の鎧を纏い、片手に聖剣を持っている。

 そして背中には、聖剣と同じ形をした剣が、円になって並んでいる。

 さらにそのサークルと同じものが、周囲に二つ。

 計三つの剣のサークルを携えた光真が、そこに立っていた。


「〈形態変化(フォームチェンジ)・聖刻の天輪〉」


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この度新作を投稿させていただいたので、告知させていただきます。 よろしければ、ぜひブックマークや評価をいただけると嬉しいです! 世界を救った〝最強の勇者〟――――を育てたおっさん、かつての教え子に連れられ冒険者学園の教師になる ~すべてを奪われたアラフォーの教師無双~
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