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異世界ナビゲーション  作者: NewWorld
第2章 世話焼きメイドと箱入り娘
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第2章 登場人物紹介(リズとの対話)

 夜中まで戦い続けていたせいか、マスターは【因子干渉アルカライズ】を終えた後、そのまま崩れるように眠りについてしまいました。とはいえ、いつまでもこの屋敷にいるわけにもいきません。ヒイロたちは一通り必要な物品を屋敷から拝借すると、リズさんの案内で少し離れた場所にある野山へと身を隠すことにしました。

 彼女の話では、ここは昔、エレンシア嬢と彼女が園芸用の花を探しに来ていた場所なのだそうです。


「何をしていらっしゃるのですか?」


 【因子演算式アルカマギカ】で作ったテントの前で、リズさんがヒイロに問いかけてきました。


「はい。調理器具の作成です。屋敷から持ち出した食料もありますが、アンジェリカさんには足りないようでして……先ほど張り切って野山に食料を調達にいかれました」


「……うふふ。アンジェリカさんって本当に食欲がありますよね。そこが彼女の可愛いところですけど」


 言いながら、ヒイロの隣に腰を下ろすリズさん。


「リズさんも眠れていなかったはずですが、寝なくて大丈夫なのですか?」


「はい。そうしようとは思いますが……その前に、どうしてもお礼が言いたくて」


「お礼? ああ、それなら、マスターが起きてから言って差し上げてください」


 ヒイロがそう言うと、リズさんは首を振りました。


「いいえ。ヒイロさんにもお礼が言いたいんです。……本当に、本当に、ありがとうございました。わたしひとりじゃ絶対に、お嬢様を救うことなんてできなかったと思います。だから、どうしてもお礼が言いたくて……」


 そう言って頭を下げてくるリズさんに、ヒイロは何と言うべきか迷ってしまいます。かつてのヒイロなら、こんな時、『自分はマスターの意に従っただけであり、自分に礼を言う必要はない』といった言葉を返したところでしょう。でも、今のヒイロには、それはできません。


 なぜなら……


「いいえ。ヒイロも……リズさんのことを助けたいと思ったんです。だから、お礼を言っていただくのはいいのですが、必要以上に恩に感じるのはやめてください」


「ヒイロさん?」


 まさか彼女も、ヒイロからそんな答えが返ってくるとは思わなかったのでしょう。驚いたように目を見開いています。


「……あまり恩に感じられて、ぎこちない関係になるのは嫌ですから」


 どうにかそれだけ口にすると、リズさんは柔らかな笑顔をヒイロに向けてくれました。


「はい! そうですね。わたしもヒイロさんとは、もっと仲良くなれればと思っていたんです。これからも、よろしくお願いしますね」


「はい。こちらこそお願いします」


 こうして改めてリズさんとの交流を深めたところで、ヒイロはアンジェリカの時と同様、彼女に『個体情報の登録』に関する同意を求めました。


「個体情報の登録……ですか。よくわかりませんが、いいですよ」


「ありがとうございます。もし良ければ、あと少しだけお付き合いいただけますか? 皆さんの情報を改めて整理したいのですが、リズさんのご意見もお伺いできればと思いまして」


 前回、アンジェリカに怒られてしまった反省もあります。その点、リズさんならエレンシア嬢のことも含め、冷静な意見をいただけるかもしれません。





○来栖 鏡也  (クルス・キョウヤ) 年齢:16歳

 ヒイロのマスター。狂える鏡。目鼻立ちこそ人形のように整っているが、どことなく陰鬱な印象の否めない少年。


□所有スキル等

・ベーシックスキル(ヒイロによる基礎設定)

言葉は友情の始まりパーフェクト・コミュニケーション

 ヒイロの無限データベースに蓄積された言語の中から、対象が話す言葉と類似したものを自動で検索し、それを元に対象言語を解析・翻訳する。


早口は三億の得スピード・コミュニケーション

 ヒイロとの間で、言葉を介さず高速で思考の伝達を行う。ヒイロとの距離が百メートル以内であることが必要。


虫の居所の知らせリンク・ナビゲーション

 どこにいても、どれだけ離れていても、ヒイロの居場所やヒイロまでの距離を感知する。


「……これだけ見ても、十分すごいと思いますけど」


「ですが、これはあくまでベーシックです。ちなみに通常スキルには、ヒイロの【因子干渉アルカライズ】によって今回、変化が生じていますね」


・通常スキル(個人の適性の高さに依存)

完全病原体耐性パーフェクト・ワクチン』※ランクB(進化前:D)

 環境耐性スキル。一切の菌やウイルスに感染しない。


痛い痛いも隙のうちフーリッシュ・マスター+』※ランクB(EX)(進化前:C)

 環境耐性スキルの派生形。任意に発動可能。自身の痛覚を従来の十分の一に軽減。


空気を読む肉体クレバー・スレイブ+』 ※ランクS(EX)(※進化前:A)

 活動能力スキル(身体強化型)の派生形。常に発動。あらゆる身体能力を半径五十メートル以内に存在する『知性体』が持つ能力の平均値まで変化させる。ただし、スキル発動前の自分より弱い対象は算定基礎に含まない。


他人の努力は蜜の味ノーレッジ・スナッチ』※ランクA(EX)(新規)

 活動能力スキル(感覚強化型)の派生形。『法術器』に触れた時に発動。その『法術器』に割り当てられた作成者の『知識枠メモリ』に匹敵するだけの『知識』を瞬時に習得する。


「……とはいえ、早くもランクSのスキルまで習得しているマスターの【因子感受性アルカンシェル】の高さには、ヒイロも驚くばかりです」


「でも、この最後の能力って……『法学』の魔法関係ですよね? キョウヤさんって魔法が使えないと聞いていたんですけど……」


 リズさんの言うとおりでした。【因子感受性アルカンシェル】の影響が大きい通常スキルにおいて、『魔法』に関する能力を獲得するというのは、いまいち納得ができません。

 確かに「派生形」については個人差も大きく、特殊スキルにも近い性質がありますが、通常では考えにくい現象です。可能性があるとすれば、マスターが『法学』の魔法と接触した際に『何かがあった』と考えるべきなのでしょうが……。


・特殊スキル(個人の性質に依存)

世界で一番醜い貴方ベスト・モンスター

 殺意のある攻撃を受けた場合のみ発動。受けた攻撃を『鏡』に飲み込み、増幅して『その時自分が殺意を向けている対象』に反射する。


世界で一番綺麗な私ワースト・プリンセス

 『知性体』を殺害した時にのみ発動。自身の新たな特殊スキルを生成する。スキルの生成には、対象の人数や性質によって加算されるポイントが必要。『世界で一番醜い貴方ベスト・モンスター』による殺害は対象外。


鏡の中の間違い探しミラー・アンド・エラー

 自分が殺害した『知性体』に対し、任意で発動可能。致命傷を含むすべての傷を治癒し、蘇生する。ただし、蘇生された対象は、それ以前と比べて『何か』が間違っている。


鏡の国の遍歴の騎士パラドクス・ドンキホーテ

 自分が視界に入れた『知性体』に対し、任意で発動可。対象に『倒すべき敵』と『守るべき仲間』を誤認させる。対象人数は最大五人。効果時間は五分間。同じ対象への連続使用は不可。


 ここまでが、あの三千人の大虐殺前のマスターに備わっていた特殊スキルであり、ここから先は、その際に獲得したものです。ただし、あの時も彼が自分の手で直接殺害した数は二百人弱であったため、獲得したスキルは三つほどでした。


規則違反の女王入城キャスリング・オブ・アリス

 過去に一定時間(約5分間)以上の会話をしたことがある『知性体』に対し、任意に発動可。対象と自分の傷を入れ替える。対象を視認する必要はなく、対象との距離も問わない。


 ──『傷を入れ替える』となると、もはやどういう原理のスキルなのかも不明ですが、マスターの特殊スキルは特殊すぎるものが多いようです。


白馬の王子の口映しリバース・アップル

 自分に好意を抱く異性の『知性体』とのキスにより発動。相手の魔法が使用可能となる。ただし、その魔法効果は『反転』する。効果時間は24時間。この効果は複数同時に重複する。


「……これに関しては、ヒイロも意味が分かりません」


「このことを知ったキョウヤさんの喜びようが目に浮かぶようですね……」


 そもそも原理もわからないうちから魔法が使えるようになるとか……、マスターはどこまで非常識な人なのでしょうか。しかも、『キス』が条件というのも、彼にとって都合が良過ぎます。まさか、意図的にスキルを創ったりしていませんよね? そんなあらぬ疑いをかけたくなるようなスキルでした。


 しかし、そんなスキルが別の意味で霞んでしまいかねないスキルがさらにひとつ……


目に見えない万華鏡サイコロジカル・デザート

 『知性体』と十秒以上目を合わせ、恐怖を与えた場合にのみ発動可。発動後、対象が世界に与える影響は、すべてが『無』になる。なお、この効果は絶対に解除できず、対象の生死を問わず永続する。


「……」


「……」


 あまりのことに、言葉も出ません。とはいえ、黙っていても仕方がありませんので、ヒイロはリズさんに問いかけました。


「……そもそも『知性ある者』にとって、もっとも絶望的なことは何だと思いますか?」


「え? ……うーん、そうですねえ。死ぬことじゃないですか?」


 突然の問いに驚きながらも、律儀に答えてくれるリズさん。


「……はい。確かに、『死』は恐ろしく、『存在の消滅』は耐え難いものでしょう。しかし、その根底にあるものは、『存在意義』なのです。『我思う故に我在り』とは、至言ではあっても真実ではありません。自分が自分であるためには、『世界に刻む自分の跡』を見なければならないのです」


「世界に刻む、自分の跡……」


 語り掛けた言葉が人を動かし、伝えた思いが人の心を震わせる。

 動かした手が世界を創り上げ、振るわれた力が世界を破壊する。


 それがあって初めて、人は自身の『存在意義』を認識できるのです。

 しかし、このスキルは対象の『存在意義』そのものを消滅させるという、きわめて凶悪なものでした。おぞまし過ぎて、これが発動する日が来ないことを願わずにはいられません。


 そして、最後にもう一つ。


『未完成スキル6』

 特殊スキル『世界で一番綺麗な私ワースト・プリンセス』の効果により発生。現在、940ポイント。スキル完成まで残り1460ポイント。


 スキルが増えれば増えるほど、必要な習得ポイントが増える仕組みのようです。ここまで来ると、今回のような軍隊との戦闘でもない限り、一人当たり10ポイント前後しか獲得できない人間の殺害でスキルを習得することは難しそうでした。


・その他、装備品

『マルチレンジ・ナイフ』

 ヒイロの【因子演算式アルカマギカ】が組み込まれた携帯型万能兵装。形態モードとして《ナイフ》《ソード》《ランス》の三種類がある。攻性モードとして、不可視の熱光線を放つ《レーザー》、刀身に熱を発生させる《ヒート》、電撃の《スタン》、発光の《フラッシュ》、音波の《ノイズ》などがある。


『リアクティブ・クロス』

 ヒイロの【因子演算式アルカマギカ】が組み込まれた外的脅威反応型防護服。外部からの脅威を感知するセンサーがあり、必要に応じて様々な力場や反発衝撃波による防御が可能。



○ヒイロ 試験運用期間:10年(その後、7年間は自主的な放浪)

 異世界ナビゲーション・システム搭載型の人工知性体。流れるような緋色の髪と同色の瞳をした少女。その素体は常に女性としての理想的な体型や髪・肌の色艶を維持している。マスターの要望により、依然として彼の通っていた学園の制服を身に着けている。


□所有スキル等

・【因子観測装置アルカグラフ

 世界の根源的情報素子【因子アルカ】を観測し、操作することにより、あらゆる情報を解析し、様々な事象を引き起こすことを可能とする超科学文明の産物。


・【因子演算式アルカマギカ

 周囲の【因子アルカ】を観測し、変数としてヒイロの無限データベースに蓄積された様々な【式】に代入・展開することにより、世界に望みの事象を顕在化させる機能。


・【因子干渉アルカライズ

 対象者に特殊な【因子アルカ】を注ぎ込むことで、活動能力や環境耐性を強化するためのスキルを発現させることが可能。発現するスキルは、対象者の性質や【因子感受性アルカンシェル】に依存する。



「と、ここまでがマスターとヒイロの情報です。感想はいかがでしょうか、リズさん」


「え、ええ……その、キョウヤさんの能力が怖すぎて、感想とか無理です……」


 すっかり怯えた様子のリズさんに、ヒイロは自分の失敗を悟りました。さすがにマスターの凶悪なスキルを正面から説明しすぎてしまったようです。


「で、でも……以前にもお聞きしていましたけど、本当にお二人は異世界から来られたんですね?」


「……無理に話題を見つけなくてもいいですよ。それはさておき、次はアンジェリカさんです」


○アンジェリカ・フレア・ドラグニール 年齢:15歳(あくまで自己申告)

 世界における最強の魔法使いである『王魔』の一種、ニルヴァーナの少女。長めの金髪をツーサイドアップにまとめ、銀の刺繍や赤い飾り布が散りばめられた黒のドレスを身に着けている。夜になると、まさに炎熱の女王の名にふさわしい威厳と共に瞳が青から金に変わり、背中にはかっこいいドラゴンの羽根が生える。


□所有スキル等 


・通常スキル(個人の適性の高さに依存)

傲慢なる高嶺の花クール・ビューティー』 ※ランクS(EX)

 環境耐性スキルの派生形。究極の熱耐性スキル。炎や雷撃といった一定以上の『熱』を伴う事象が接触した場合に発動。その事象が有するエネルギーを無効化し、その分を自身の『養分』に変換して吸収する。


身体の隅まで女王様ナチュラル・サディスト』 ※ランクA(EX)

 活動能力スキル(身体強化型)の派生形。髪の毛や爪、血液など、自分の身体の一部を切り離した際に発動可能。切り離した部位を鞭へと変化させることができる。生み出された鞭の性能は、切り離した部位に依存する。


・特殊スキル(個人の性質に依存)

禁じられた魔の遊戯ダンス・ウィズ・ザ・デビル

 対象者に『遊び』を提案し、承諾があった場合に発動。特殊空間に自分と相手を閉じ込める。この空間には、以下の性質がある。

 1)空間内には、死は存在せず、致命傷を受けても死なない。

 2)解除条件は、『遊び』の決着。

 3)『遊び』の決着方法は、相手に『致命傷』を与えるか、降参させること。

 4)参加者は各人一つずつ、戦闘に『禁止事項ルール』を設定できる。

 5)『禁止事項ルール』は絶対。相反するものがある場合は、当事者の調整で合意が必要。

 6)敗者は勝者の要求を一つだけ、絶対に受け入れなければならない。ただし、死を求めることは不可。永続する要求もできず、その場合は最大で一年間のみとなる。


悪魔は嘘を吐かないトリック・オア・トゥルース

 自分だけを騙す『嘘』により、自身の状態をその『嘘』のままに現実のものとする。この能力を使用した翌日は、朝から夕方まで眠りについたまま、目覚めることができない。


・その他、装備品

『魔剣イグニスブレード』

 炎をかたどった真紅の短剣。永遠に熱を生み出す魔剣であり、普段は赤い宝石の形をしている。『王魔』の一種、『サンサーラ』が生み出した魔法の道具。


「か、かっこいい羽根って……」


 リズさんは、なぜか必死に笑いをこらえているようです。


「何か問題でも?」


「……アンジェリカさんに言われたんですか?」


「はい。改めるように言われました」


「そ、そうですか……うふふ!」


 お腹を押さえ、苦しそうに笑いをこらえ続けるリズさんでした。


「それではいよいよ、リズさんです。個体登録済みですので、その辺も確認してみましょうか」



○リザベル・エルセリア(通称リズ) 年齢:19歳

 ヴィッセンフリート家の令嬢、エレンシアの専属メイド。栗色の髪を後頭部で綺麗に結っており、大人の魅力を感じさせる女性。童顔で可愛らしい顔立ちに反し、その胸の大きさはメロンかスイカを思わせるほどのものがある。


□所有スキル等 

学習能力強化グッド・ワーカー』※ランクE

 活動能力スキル。知識を習得するのに努力を惜しまない素養がある。


「素晴らしいですね。非凡な能力ではありませんが、伸びしろという意味では、かえってこうしたスキルほど貴重なものです。幸いにもリズさんには【因子感受性アルカンシェル】もあるようですし、いずれ、【因子干渉アルカライズ】も考えてみましょうか」


 しかし、そう言ってヒイロが褒め称えても、リズさんは固まったままでした。


「どうしましたか?」


「……ヒ、ヒイロさん! な、ななな、なんですかこの……メロンかスイカって言うのは!」


「あ、直し忘れていました……」


 うっかりミスです。彼女に見せる前には直しておくべきでした。


「……うう、もう、キョウヤさんだけならまだしも、ヒイロさんまで……」


 恥ずかしそうに胸を抱え、首を振るリズさん。


「しかし、どうしてそこまで恥ずかしいのですか? 胸が大きいことは女性の魅力の一つです。マスターが相手ならばともかく、ヒイロは女性です。セクハラの気持ちはありませんが」


「……ヒイロさん。その件については、あとでゆっくり話しましょう」


 疲れたように息を吐くリズさんでした。


「さて、それでは最後がエレンシア嬢です。個体情報登録がまだですので、解析したスキルは限られていますが、こんなところですね」


○エレンシア・ヴィッセンフリート 年齢:17歳

 ヴィッセンフリート家の元令嬢。新緑の髪に翡翠の瞳を持つ美少女。花模様をあしらった薄紅色のドレスを身に着けているが、意外と着やせするらしい。植物に愛され過ぎた彼女は、『王魔ユグドラシル』となった。髪の毛を『動く茨』に変えて操るほか、傷を受けても瞬時に再生する生命力がある。


□所有スキル等 (個体情報の登録がまだのため、判明しているもののみ)


・通常スキル(個人の適性の高さに依存)

世界に一つだけの花オール・フォー・ワン』 ※ランクS(EX)

 活動能力スキル(感覚強化型)の派生形。任意に発動可。全世界に存在する植物を自身の目・耳・鼻として使役し、そこから得られた情報を我がものとできる力。


・特殊スキル(個人の性質に依存)

開かれた愛の箱庭シークレット・ガーデン

 任意に発動可能。半径約十キロメートル以内に存在するすべての植物に、次の効果を持つ『芳香』を発生させる。効果の強さは、自分が対象に抱く感情の強弱に左右される。


1)自分が殺意を抱く相手の体内に致死毒を生み出す。

2)自分が敵と認識する者の体内に麻痺毒を生み出す。

3)自分が味方と認識する者の体内に思考速度・反射神経を強化する薬を生み出す。

4)自分が恋愛感情を抱く相手の体内にあらゆる環境耐性を強化する薬を生み出す。


「……ヒイロさん」


「はい。なんでしょう?」


「この『意外と着やせするらしい』のくだり、ヒイロさんが考えたんですか?」


「はい。マスターが彼女のドレスを斬った際、思った以上の大きさの胸があるように見えましたので」


 ヒイロが言うと、リズさんは……それはそれは大きくため息をついて肩を落としました。


「……わたしも人のことは言えませんけど、従者は主人の影響を受けやすいのかもしれませんね」


 ──と、ここまで話したところで、アンジェリカが山で入手した食料をもって戻ってきたのでした。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

ここまでが第2章「世話焼きメイドと箱入り娘」となります。

次回、「第41話行かねばならぬ時がある」から第3章「暴走姫と王子様の口映し」が始まります。


 なお、ここで一区切りということで、次回の更新は一週間後とさせていただきます。

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