第8章 登場人物紹介(ヒイロによる情報整理)
今回はあまりにも様々な出来事があったことが影響してか、マスターだけでなく、皆様のスキルにも大きな変化が見られました。
『大法学院』からの墜落による脱出後、『変態ども』に対するお仕置きが敢行された件については後ほど触れるとして、ここではわたしが例のごとく、関連する情報を整理することにしましょう。
皆さんには『ほとぼり』が冷めた後で、レクチャーすることにします。
○来栖 鏡也 (クルス・キョウヤ) 年齢:16歳
ヒイロのマスター。実在と非実在を等しく歪めて映し出す、狂える鏡。この世界の真実を探求する異世界人。人形のように整った外見そのままに『人形の子供』として育てられ、人の心の形を求める少年。
□所有スキル等
・ベーシックスキル(ヒイロによる基礎設定)
『言葉は友情の始まり』
ヒイロの無限データベースに蓄積された言語の中から、対象が話す言葉と類似したものを自動で検索し、それを元に対象言語を解析・翻訳する。
『早口は三億の得+』
どこにいても、どれだけ離れていても、ヒイロとの間で言葉を介さず高速で思考の伝達を行うことが可能。
『虫の居所の知らせ』
どこにいても、どれだけ離れていても、ヒイロの居場所やヒイロまでの距離を感知する。
○特殊融合スキル
大法学院アルカディアで数万人に匹敵する『質』を持った『知性体』を殺害したことで、新たに生まれた無数のスキルが既存のスキルを取り込み、融合させて変質したもの。
『鏡を越えた君の願い』
体内で生成した『暗黒因子』を安定した状態で実在世界に固定し、『存在できなかった可能性存在』が持つ『世界への憎悪』を召喚する。
※元スキル『真理を語る愚神礼賛』
『知識』がある限り不滅の存在であったはずの『法王』を事実上、消滅させてしまったのがこのスキルです。元スキルでは生成した『暗黒因子』は極めて不安定なものでしたが、それを一時的にとはいえ安定させることで、副次的な効果として現れたのが『世界への憎悪』の召喚なのでしょう。
『自分の敵は自分と敵』
自身の痛覚を強化すれば強化するほど、劇的に身体能力が上昇する。自身の痛覚を弱めれば弱めるほど、劇的に肉体の再生能力が上昇する。
※元スキル『痛い痛いも隙のうちS』
『空気を読む肉体+』
『死角だらけの三面鏡』
・集合的無意識領域を含むすべての『世界』を知覚できるだけの能力の応用により、逆説的に【ダークマター】を理解(定義)できる。
・【ダークマター】の『未分化』な性質を利用し、任意の性質を持った器物を生成できる。生成条件は、世界で唯一の価値がある物を破壊、あるいは消滅させること。
※元スキル
『他人の努力は蜜の味+』
『わがままな女神の夢』
『動かぬ魔王の長い腕+』
『ありふれた硝子の靴』
定義できないものを理解し、定義するこのスキルは、今回の件でマスターが『法学』と『女神』と『王魔』に対する理解を深めたことにより発現したものでした。
『世界の平和は君次第』
世界全体を対象に、自身が知覚する殺意や害意の伴う攻撃について、任意の『知性体』に増幅反射する。なお、このスキルで護った『知性体』に対し、このスキルで攻撃を受けた『知性体』の不運に相当する幸運を与える。
※元スキル
『世界で一番醜い貴方』
『世界で一番綺麗な私』
『明白な道化師の所在』
『貧者と富豪の運命論』
『知性体』を殺害することによって自身のスキルを増やしていたマスター。しかし、今回の件において、彼はミズキ女史に対し、それは『見返り』などではなく、『歪み』でしかないのだと自覚的に言いました。
自身を利することに特化していた元のスキル群が、誰かを護ることに重点を置いたものへと融合しているのも、そんな彼の心理的な要因が影響してのことなのかもしれません。
『覆せない悲劇の終焉』
『知性体』と十秒以上目を合わせ、恐怖を与えた場合にのみ発動可。発動後、対象が世界に与える影響は、すべてが対象の意に沿わない『間違った結果』になる。
※元スキル
『鏡の中の間違い探し』
『目に見えない万華鏡』
『悪手ばかりの千日手』
かつての『目に見えない万華鏡』は、対象と世界との関係を断絶させるスキルでした。それに対し、この新しいスキルは、世界との関係性は維持させつつも、永遠に正しい答えを得られない状態を強いるものとなっているようです。
『不平等な痛み分け』
自分が視界に入れた『知性体』に対し、任意で発動可。対象同士の傷を入れ替える。片方が無傷の場合は発動不可。連続発動は可能だが、同じ傷の再入れ替えは不可。
※元スキル
『鏡の国の遍歴の騎士』
『規則違反の女王入城』
他人同士の傷の入れ替え。単純にとらえればそれだけのことですが、このスキルの重要な点は、『同じ傷の再入れ替えは不可』という点です。それはすなわち、一度入れ替えた傷は取り返しがつかないということであり、新たに入れ替えたものだけが蓄積していく、ということでもあるからです。
『鏡の中の憧れの君』
『白馬の王子の口映し』発動時のみ使用可。対象と互いの肉体感覚を自由に共有するとともに、自身の隣に対象と同じ姿、『魔法』をもった鏡像を出現させる。鏡像は自身の意思で操作でき、離れた場所でも存在できるが実体はなく、『魔法』以外の能力は使用できない。
※元スキル
『眠れない夜の姿見』
『鏡の中のお前は誰だ』
単純に言えば、魔法だけが使える仲間を自分の隣に複製できる能力です。消費される『魔力』はおそらくマスター自身のものになるため、乱用はできないかもしれませんが、これもまた反則的なスキルということができるでしょう。
『境界線のない鏡面体』
自分及び自分と接触している『知性体』がスキルを発動する際に発動可。そのスキルが世界に影響を及ぼす際に、その効果の一部を歪ませる。また、その効果にあわせ、世界側の法則を歪ませることにより、時として恒久的な変化を他者のスキルに及ぼすことがある。
※元スキル
『いびつに歪む線条痕』
『台本にない登場人物』
ほかの皆さんのスキルにも変化がある。わたしが最初にそう述べた理由は、このスキルにあるようでした。
一方、以下のスキルについては、通常の特殊スキル(おかしな言い方ですが)のままとなっています。
・特殊スキル(個人の性質に依存)
『曇り硝子の天外魔鏡』
外が見えない密室内において、対象の『知性体』が部屋の『外の状態』を定義した場合のみ発動可。『外の状態』が一時的に【ダークマター】となる。この【ダークマター】は、対象が死ぬか、別の状態を口にしたか、いずれかの場合に最後に定義した状態で確定する。
『白馬の王子の口映し』
自分に好意を抱く異性の『知性体』とのキスにより発動。相手の魔法が使用可能となる。ただし、その魔法効果は『反転』する。効果時間は24時間。この効果は複数同時に重複する。
『全てを知る裸の王様』
任意に発動可。ただし、下記3)は1日に1度まで。
1)自分を視界に入れたすべての『知性体』の記憶に、自分の姿を永遠に刻み込む。
2)記憶を刻まれた『知性体』が他者にその記憶について語った時、その記憶は伝染する。
3)相手との距離を問わず、記憶の中の姿を利用して複数同時に対象と視線を合わせ、語り掛けることができる。
『合わせ鏡の一兵卒』
任意に発動可。視界に存在する鏡に映った対象の『存在』を劣化させる。劣化の程度は映る鏡の枚数・面積が多ければ多いほど激しくなる。ただし、生体そのものには無効。
・その他、装備品
『マルチレンジ・ナイフ』
ヒイロの【因子演算式】が組み込まれた携帯型万能兵装。形態モードとして《ナイフ》《ソード》《ランス》の三種類がある。攻性モードとして、不可視の熱光線を放つ《レーザー》、刀身に熱を発生させる《ヒート》、電撃の《スタン》、発光の《フラッシュ》、音波の《ノイズ》などがある。
『リアクティブ・クロス』
ヒイロの【因子演算式】が組み込まれた外的脅威反応型防護服。外部からの脅威を感知するセンサーがあり、必要に応じて様々な力場や反発衝撃波による防御が可能。
『ヴァーチャル・レーダー』
ヒイロの【因子演算式】が組み込まれた生体埋込型索敵警戒装置。視界に擬似的なレーダー画面を表示し、脅威となるエネルギー反応などを発生と同時に感知、視覚的にわかりやすく示す。周囲360度を確認可能なミニマップもオプション表示可。
『ミュールズダインの盾』
赤銅色に輝く魔法の金属『ミュールズダイン』で作られた盾。製作者はメンフィス。かざした方向に電撃を防ぐ力場を展開できる。《値の護符》と組み合わせることで、一時的に極めて高い硬度と魔法耐性を備えた『オリハルコンの盾』に変性する。
《値の護符》
リズが作った『法術器』。使用者・着用者ともにキョウヤ。自身が身に着ける鉱物の組成を調整する効果がある。(ヒイロの【因子演算式】との組み合わせで効果を発揮)
《メイドさんのご奉仕》
リズが作った『汎用型法術器』。使用者はリズ。着用者はキョウヤ。首元に巻くスカーフの形状をしている。着用者の状況や着用者が新たに割り当てた『知識枠』の量に応じ、疲労防止、体力回復、身体能力向上、思考速度・反射神経向上、治癒力強化などのあらゆる効能を発揮する。
《訪問の笛》
古代の偉大な『法術士』が作成した《召喚の笛》をスキル『ありふれた硝子の靴』で反転複製した『法術器』。視認した相手の傍に空間転移することができる。
『パンデミック・ブレイド』
歪な形をした細身の剣。鏡のように黒く輝く未定義物質【ダークマター】でできており、切った知性体や知性体の使用した魔法に『未定義の状態』を感染させる力がある。
○ヒイロ 試験運用期間:10年(その後、7年間は自主的な放浪)
異世界ナビゲーション・システム搭載型の人工知性体。流れるような緋色の髪と同色の瞳をした少女。その素体は常に女性としての理想的な体型や髪・肌の色艶を維持している。マスターの要望により、依然として彼の通っていた学園の制服を身に着けている。また、必要に応じて『黒縁眼鏡』を着用する。
□所有スキル等
・【因子観測装置】
世界の根源的情報素子【因子】を観測し、操作することにより、あらゆる情報を解析し、様々な事象を引き起こすことを可能とする超科学文明の産物。
・【因子演算式】
周囲の【因子】を観測し、変数としてヒイロの無限データベースに蓄積された様々な【式】に代入・展開することにより、世界に望みの事象を顕在化させる機能。
・【因子干渉】
対象者に特殊な【因子】を注ぎ込むことで、活動能力や環境耐性を強化するためのスキルを発現させることが可能。発現するスキルは、対象者の性質や【因子感受性】に依存する。
・その他装備品など
『委員長の眼鏡』
まさに委員長が身に着けるための、黒縁の眼鏡。ヒイロの肉体感覚、魔力感覚を強化する。それらの感覚で得た情報は主に精神に依存するため、【因子観測装置】によるものとは異なるものとなる。
○アンジェリカ・フレア・ドラグニール 年齢:15歳(あくまで自己申告)
世界における最強の魔法使いである『王魔』の一種、ニルヴァーナの少女。ドラグーン王国の王女。長めの金髪をツーサイドアップにまとめ、銀の刺繍や赤い飾り布が散りばめられた黒のドレスを身に着けている。スキルにより、自身の肉体を成長・強化することが可能。
□所有スキル等
・通常スキル(個人の適性の高さに依存)
『傲慢なる高嶺の花』 ※ランクS(EX)
環境耐性スキルの派生形。究極の熱耐性スキル。炎や雷撃といった一定以上の『熱』を伴う事象が接触した場合に発動。その事象が有するエネルギーを無効化し、その分を自身の『養分』に変換して吸収する。
『身体の隅まで女王様』 ※ランクA(EX)
活動能力スキル(身体強化型)の派生形。髪の毛や爪、血液など、自分の身体の一部を切り離した際に発動可能。切り離した部位を鞭へと変化させることができる。生み出された鞭の性能は、切り離した部位に依存する。
・特殊スキル(個人の性質に依存)
『禁じられた魔の遊戯』
対象者に『遊び』を提案し、承諾があった場合に発動。特殊空間に自分と相手を閉じ込める。この空間には、以下の性質がある。
1)空間内には、死は存在せず、致命傷を受けても死なない。
2)解除条件は、『遊び』の決着。
3)『遊び』の決着方法は、相手に『致命傷』を与えるか、降参させること。
4)参加者は各人一つずつ、戦闘に『禁止事項』を設定できる。
5)『禁止事項』は絶対。相反するものがある場合は、当事者の調整で合意が必要。
6)敗者は勝者の要求を一つだけ、絶対に受け入れなければならない。ただし、死を求めることは不可。永続する要求もできず、その場合は最大で一年間のみとなる。
『偽らざる悪魔の純真』 ※変化
自分のすべてを偽ることなくさらけ出し、鏡と向き合う心の形。自身を含めた周囲の世界を対象に、自身の想念を現実のものとする力。
※元スキル『悪魔は嘘を吐かない』
この世界で最初にマスターと出会い、情念のままに彼とぶつかり合った悪魔の少女。その性質がマスターのスキルにより反映された結果、生まれたのがこのスキルです。
・その他、装備品
『魔剣イグニスブレード』
炎をかたどった真紅の短剣。永遠に熱を生み出す魔剣であり、普段は赤い宝石の形をしている。『王魔』の一種、『サンサーラ』が生み出した魔法の道具。
『魔装シャドウドレス』
着用者の意志に応じて形を変えるドレス。汚れや水をはじく性質がある。耐刃性能に優れ、一部を切り離して盾のように使用することも可能。上記の魔剣同様、『ヴァリアント』とも呼ばれるメンフィスならではの『形を変える魔法の道具』。
○リザベル・エルセリア(通称リズ) 年齢:19歳
ヴィッセンフリート家の令嬢、エレンシアの専属メイド。栗色の髪を後頭部で綺麗に結っており、大人の魅力を感じさせる女性。童顔で可愛らしい顔立ちをしており、その胸の大きさは、いたって普通の女性のそれである。アルカディア大法学院の大法術士。
□所有スキル等
・通常スキル(個人の適性の高さに依存)
『眠りは最良の教師』※ランクC(EX)
活動能力スキルの派生形。睡眠時に発動。就寝前の一定時間に習得した知識については、決して忘れなくなる。
・特殊スキル(個人の性質に依存)
『陰に咲く可憐なる花』
常に発動。心に決めた相手に対する支援行動に関してのみ、自身の不可能を可能にする。可能にできる不可能の程度は、相手に対する愛情の深さに依存する。
『奉仕と勤勉の御褒美』※新規追加
鏡に映る光を受け入れ、鏡が飲み込む闇にまで想いを至らせる心の形。知識や経験、技能や魔力といったあらゆる要素について、キョウヤの影響を受けることができる。
わたしたちのうちで唯一、ただの一般人でありながらマスターの異常さをありのままに受け入れ、許容し、彼の心のうちにまで優しくその手を伸ばすことのできた彼女。その性質がマスターのスキルにより反映された結果、生まれたのがこのスキルです。
○エレンシア・ヴィッセンフリート 年齢:17歳
ヴィッセンフリート家の元令嬢。新緑の髪に翡翠の瞳を持つ美少女。花模様をあしらった薄紅色のドレスを身に着けているが、意外と着やせするらしい。植物に愛され過ぎた彼女は、『王魔ユグドラシル』となった。髪の毛を『動く茨』に変えて操るほか、傷を受けても瞬時に再生する生命力がある。
□所有スキル等
・通常スキル(個人の適性の高さに依存)
『世界に一つだけの花』 ※ランクS(EX)
活動能力スキル(感覚強化型)の派生形。任意に発動可。全世界に存在する植物を自身の目・耳・鼻として使役し、そこから得られた情報を我がものとできる力。
『身体の芯までお嬢様』※ランクS(EX)
環境耐性スキル。純粋にして究極の精神耐性スキル。洗脳や幻覚と言った精神干渉系のスキル・魔法をすべて無効化する。
・特殊スキル(個人の性質に依存)
『天に花咲く愛の楽園』※変化
気高く美しく、凛とした愛で鏡を照らす心の形。目に見えない小さな花を無数に生成し、全世界に拡散する。散布された花は各地で根を張ると周囲の『魔力』を吸収し、自身と自身が愛する者たちに供給し続ける作用を持つ。供給量は愛の程度に依存。
※元スキル『開かれた愛の箱庭』
どんな憎悪や敵意にさらされても、その身に愛を宿す花のような少女。マスターの憧れであり続けるお嬢様。その性質がマスターのスキルにより反映された結果、生まれたのがこのスキルです。
『閉じられた植物連鎖』
任意に発動可能。自分の半径五十メートル以内に、次の効果を持つ特殊空間を設定する。
1)空間内で新たに生まれた植物は、燃やせず、千切れず、腐らない。
2)空間内で新たに死滅した植物は、火を放ち、刃となり、触れたものを腐らせる。
○メルティ・ヴァリアント・ウロボロス 年齢:18歳
ドラグーン王国の宰相、メンフィスの一人娘。『王魔(サンサーラ)』であり『愚者』でもあるという特異な存在。『絶禍級』の『愚者』の特徴である3つの『愚かなる隻眼』を両手と額に持つ。黒く艶やかな髪と白く抜けるような肌の持ち主で、男女を問わず見る者を魅了する驚異的な美少女。
□所有スキル等
・通常スキル(個人の適性の高さに依存)
『精神は肉体の奴隷』 ※ランクS
活動能力スキル(身体・感覚強化型)。任意に発動可。純粋にして究極の身体強化型スキル。視覚・聴覚などの感覚を含めた、あらゆる身体機能を爆発的に強化する。
『皆仲良く万病息災』 ※ランクS(EX)
環境耐性スキル。相反するものを体内に取り入れても、拒絶反応を起こさない。病原体と抗体の区別を持たず、すべてを体内で等しく共存させる。
『学習能力強化』 ※ランクD
活動能力スキル(感覚強化型)。学習時に発動可。新しいことを学ぼうとするときに、その事柄に対する理解力を向上させる。
・特殊スキル(個人の性質に依存)
『砂漠に咲く一輪の花』
1)生物を『強さ』で圧倒した時、対象を従属させる。この効果は永続する。
2)生物を『美しさ』で魅了した時、魅了の程度に応じて対象の身体能力を奪い、その分、自身の身体能力を強化する。この効果は対象との戦闘中のみ。
『艶やかなる魔性の瞳』 ※新規
曇りなき瞳で鏡の奥を覗き見る心の形。自分と視界内に存在する『愚者』が持つ『愚かなる隻眼』に、『魔力』を吸収して生命力に変換する能力を付与する。
無自覚に無垢であることを装い、マスターが無意識に築いていた心の壁をあっさりと乗り越えてしまった少女。その性質がマスターのスキルにより反映された結果、生まれたのがこのスキルです。
○ベアトリーチェ 年齢:二十二歳
『女神』の教会における七大司教の一人。聖女の異名を持つ清らかで神々しい銀髪の少女。白系統の服を好む。過度に男性を毛嫌いし、ためらいなく過激な拷問を行うことのできる狂気じみた精神性を有している。
どうやら彼女については、まだ完全にマスターに対して心を開いていないせいか、彼の影響によるスキルの変化はありません。しかし、『女神の亡霊』と接触したことによる変化はあったようです。
□所有スキル等
・通常スキル(個人の適性の高さに依存)
『世界を観測する者』 ※ランクS(EX)
活動能力スキル(感覚強化型)の派生形。任意に発動可。高位の『アカシャの使徒』の共通スキル。自分を観測するものを観測し、目や耳に頼らず、世界の姿を捉え、世界の声を聞くことができる。
・特殊スキル(個人の性質に依存)
『神聖なる純白の雪花』
常時発動。皮膚の上に『肌を直接傷つける物』だけを弾く膜を生成する。その膜を超えて肌に触れた異性は、接触時間に応じた量の肉体が石化する。石化の効果時間は丸一日。
『侵食する禁断の領域』
自分を中心とした一定範囲内に特殊空間を生成する。この空間には、以下の作用がある。
1)空間内の音・衝撃・光・熱を外部から遮断する。
2)女神の魔法によるイメージを強化し、幻想の生物・器物を現実にする。
3)幻想の内容は、この世界での知名度が高く、『弱点』が存在するものほど実現させやすい。
『真実を告げる御使い』※変化
任意に発動可。最高位の『アカシャの使徒』にのみ発現する、七種の特殊スキルの『八番目』。天使の力を得る。──八番目の御使いは、残酷な真実のみを突きつける。『御使いのスキル』を有する使徒に《天秤の砂》を発動させることで、強制的に該当するスキルを封印することができる。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
ここまでが第8章「思うが故に世界を毒す」となります。
次回、「第161話 ヒイロを守る会」から第9章「愚者の聖地と七人の御使い」が始まります。
次回は明日、更新予定です。