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12星座別恋愛小説

12星座別恋愛小説 ~いて座~

作者: 黒やま

これはあくまで私の主観で書いたいて座像ですので

この小説を読んで気を悪くしたいて座の方がおられましたらご容赦下さい。

♐11月23日~12月21日生まれ Sagittarius♐


*哲学的

*責任ある立場になりたがらない

*警戒心が強い

*奥深さがある

*自由主義者


井手(いで)千弦(ちづる) 29歳 弁護士 現在人生幸せの絶頂期を迎えてもいい時期ではないかと思っている。


彼の高倉(たかくら)眞砂嗣(まさつぐ)とは同じく弁護士であり事務所を経営する父が


なかなか将来有望な弁護士と紹介してきたのが最初だった。


二人ともこの時はただ「父の知り合い」と「知り合いの娘さん」であったので


お互いペコリと頭を下げただけでろくに顔など見ていなかった。


そんな出会い方であったが誕生日が同じ、趣味が同じサーフィンという偶然の一致もあって


すっかり意気投合した二人はそのまんま交際スタートし


仕事の方も同じ父の事務所へと移動しいかにも絵に描いたような順風満帆な生活を送っている。


しかしそんな人生の成功者の一歩手前の生活を送り始めて早三年。


一つ問題があるといえばある、彼との仲が一向に平行線のままなのだ。


手をつないでキスするところまではスムーズにすすんだ、だがその先がない。


父も何となく彼が私と付き合っているに気づき始めていたし、それで何も言ってこないということは


眞砂嗣のことを私の婿候補として認めていることがうかがえる。


父のGOサインもあることだし手を出してきても構わないのだ、むしろ私はウェルカムである。


ならばどうしてこの後に続かないのか。悶々と考えた挙句出した答えが・・・


もしかしたら私に魅力が足りないとかっ!?それで眞砂嗣もその気が起こらないとか?


                                 ・・・である。


そしてそれに関わっているのか分からないが私が最近アクセサリー特集の番組を観ていたら


部屋に入ってきた彼がギョッと顔が青褪めたのだ、ちょうどその時はダイヤの指輪がデカデカと


テレビに映っていた。


それからずっとその日は彼の言動、行動が四六時中おかしかった。


お互い弁護士としてはなかなかのキャリアを積んできて


そろそろ身を固めるのをいいのかもしれないと思い始めている今日この頃。


しかし彼の方はいうと未だに結婚を匂わせるような発言も雰囲気も全くない。


女としては男性から結婚の申し込みをしてほしいものだが


こうも遅いとじれったくて仕方ない。


彼の性格はとても気が利いて何をするにもいつも綿密に計画を立てるタイプだ、


だから今までは何も言わずいつか彼からきっと来てくれると信じていた。


けれど私もいつまでも待っていられるわけではない。


私が結婚を焦る理由、それは私の単なる我儘だが二十代のうちに結婚をするというのが


幼い頃からの夢であったのだ。しかし30歳のバースデーは目前まで迫っている。


せめてプロポーズだけでも済ませてほしい。


いっそ自分から言ってしまおうか。そうも考えたこともあったがそれは難易度が高すぎる。


けれどこのままじゃいけないがどうすればいいか分からない、頭の中がもしゃくしゃして


もう彼が何を考えているか分からなくなっていた。


だから誕生日プレゼントに何が欲しいか訊かれた際、思い切って「指輪が欲しい。」と言ってみた。


それから二日後彼から海に行こうと誘われた、二人で初めて行った海へ。


朝日を見に行こうと。しかも誕生日に。


千弦は何故こんな季節に海なのかと疑問に感じはしたが最近はめっきり二人で


どこかへ遠出するということがなかったのでとくに何も考えずに即OKの返事をした。


さらに一ヶ月後忙しい身でありながらなんとか休暇を合わせて向かった海はこの季節は冬であり


しかも早朝であるためあたりは真っ暗でありただゆったりとした潮の音だけが聞こえた。


もちろん人っ子一人おらずまさにプライベートビーチのように感じて少し優越感だ。


しかし朝のしかも冬の海の潮風は身を切るような寒さで砂浜に腰を下ろすと


二人ぴったりと寄り添い薄い毛布を二人で共有して羽織った。


触れ合っている肩から腕のあたりまでじんわりと彼の温もりが伝わってくる。


「ところでどうして突然朝日を見に行こうなんて。海ってフツー夏じゃない?

 冬じゃサーフィン出来ないじゃない。」


「うーん、そうなんだけど。どうしてもこの日の海でないと意味ないから。」


さっきから眞砂嗣の返事が全て曖昧でどうやら今日この二人の誕生日に海に朝日を見に行くことに


なんらかの意味があるらしいがそれがさっぱり分からない。


「さぁ、もうすぐ太陽が昇ってくるよ。目をそらさないで。」


空が明るみ始めているがまだ太陽が出てこない、やがて水平線から徐々に陽光であろう


キラキラと輝く一本の線が見えてきてそれは一点に集中していきなりキラリと光った。


「まぶしっ・・・って、え?」


あまりの眩しさに目の前に手をかざした後に気付いた、その強烈な光は


朝日ばかりだけでなくもう一つ眞砂嗣が手に掲げているものの眩い光が原因であることを。


それは見紛うことなき正真正銘のダイヤの指輪であった。


「いや、女性って普通に言って渡すよりサプライズの方が喜ぶかなって。

 まぁ、記念日は彼女の誕生日っていう定番中の定番だけど。」


予想外の展開に千弦の頭はついていけてなくてただポカンと


眞砂嗣の手から高級そうな箱に収まった神々しく輝るリングを眺めている。


「もしかして気に入らなかった?一応君の要望通りにしようと思って

 一年前から企画とか準備したんだけど・・・。」


「一年も前から!?」


「ほら、覚えてない?去年の誕生日の時、せっかく二人同じ日に生まれたんだから

 なんかこうもっと特別な日にしたいよねって千弦が言ったんだよ。」


あ、今思い出した。そういえばそんなことを言っていた。


だが千弦のそんな呟きでさえ眞砂嗣はしっかりと心に留め再び巡ってくる


この日に合わせて着々と準備をしていたのだ。


「だから二人の誕生日に二人で初めて行った海で朝日を見ながら

 指輪を渡してプロポーズっていうシチュエーションを考えたんだけどどうかな?

 こういうことにあんまりセンスが無い俺にしては頑張ってみたんだけど。」


「ううん、ただ・・・びっくりしちゃって。って、えーーーーー!?

 ぷっ、プロポーズ!?」


あまりの驚きで思わず勢いよく立ち上がって毛布を落としてしまった


しかしそんなこと気にも留めず彼をただただ見つめる。


「うん。そういったつもりだけど。」


私の間抜けな顔をみて彼は少し嬉しそうな困ったような顔をする。


「だっ、だって眞砂嗣、いつまで経ってもその・・・何もないから。

 私に魅力が無いのが原因かなとか色々一人でもやもやして・・・・・。

 もしかして私だけが勝手にあなたと結婚するもんだと思い込んでるじゃないかって。」


「それは誤解だよ。ちゃんと事前に話しておけばよかったな。

 俺は結婚するまでは清い仲でありたいって思ってるんだ。ちゃんとご両親に挨拶して

 周りにも認めてもらってそうしてやっと二人は結ばれるってな。

 昔かたぎな考え方で君に余計な心配かけてごめん。」 


それはいかにも慎重な彼らしい考えだと思ったが


ただ今までこんなにもその方針を恨んだことはないだろう。


でも結果的にこうして彼は私の夢を叶えてくれたので素晴らしい目標達成力だ。


「ずいぶんと待たせちゃったね。」


彼は私の前に膝を折って恭しく私の手を取り甲に軽く唇を押し付けた。


今までこんなことをする人ではなかったので千弦の頭の中はあたふたとしていたが、


眞砂嗣の声で一気に我に返った。だってそれは彼にとっても千弦にとっても一世一代の


いや一生に一度の大事な大事な質問だったからだ。


「井手千弦さん。俺と結婚してくれますか。」


ずっとこの時を待ち望んでいたのだ、一刻も早く返事をしたいけど


あまりの嬉しさに喉から込み上げてきた嗚咽が声を出すのを邪魔する。


ようやく千弦が落ち着いて声を出せるようになったのはプロポーズされてから実に102秒後のこと。


「もちろん、喜んでお受けします。」

これでとうとう12星座シリーズ完結です!!

今まで読んでくださった読者のみなさん、

本当にありがとうございました。

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