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Tonight!!!

作者: 満月

読みきりです

楽しんでいただけると幸いです

俺の名前は高階(たかしな) (いづる)

黒魔法とか言った類いのものが大好きな高校二年生だ。


現在真夜中。

さて、今何をしているのかと言うと魔方陣を描いている。

何を喚ぼうとしているのか?

それは死神だ。


いや、別に殺してほしいとか言う極度のMではない。

決して、断じて違う。


お願い事を叶えてもらうのだ。

嘘ですただ死神に会いたいだけです。


居るのであれば一生のうちに一度は会っておきたい・・・

そんなことを考えながらネットサーフィンをしていたらこの魔方陣を見つけたのだ。


「出来た・・・!」


出来上がった魔方陣を見て、テンションが一気に上がる。

後は呪文を唱えるだけだ。


嘘臭いのは重々承知だ。

今までも色々と試してみたが、全て駄目だった。

けど、この好奇心だけは抑えられない!


魔方陣に手を置き呪文を唱える。


「我、汝を使役する。その身をこの世に表すがよい。そして、我が願いを叶えるがよい!」


シーン


・・・反応無しか。

その時、魔方陣が黒く光り始めた。


まさか・・・成功か?


魔方陣の中心から人が出てくる。


メイド服をきた、可愛らしい女の子だった。


「こんばんわ!私の名前は」


「何でやねん!」


「・・・え?」


俺は猛烈に怒っていた。

これが死神?DEATH?


ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!


「男の純情をもてあそんだなぁぁぁぁぁ!」


「何か女の人に騙された可哀想な40代後半の男性の怒りコメントみたいになってますよ?」


冷静にツッコまれた。


「だって!死神っていったら骨だけで!ボロボロの黒い布を着ていて!鎌持ってるやつでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「うっわーこれまた面倒臭い人に喚ばれたなぁ・・・」


限りなく遠い目で見られてます・・・


「わかりました。ちゃんと説明するので冷静に聞いてください」


コホン、と咳払いをしてから自称死神の女の子が説明を始めた。


「まずは結論から。私は正真正銘の死神です」


「Ha?」


「いちいちコメントを挟まないでください斬殺しますよ」


すいません・・・


「えーと、それでですね。私たちの役目はただひとつ、召喚した人の願いを聞き、その人が死んだ後に魂を貰う契約をしてもらいます」


「何で魂を?」


「輪廻の輪に入れるためです。人間は死後、普通は天国又は地獄に魂が逝くのですがそんなに大量に逝かれては現世の人間の数が減ってしまいます。勿論新たな魂も造られますが、それには時間と労力がかかるそうなのです。そこで私達が死んだ人間の魂を輪廻の輪に入れ、再び現世で生きてもらうのです」


「そうすることで現世とあの世の人数調整が出来ると」


「まぁそんなところです」


成る程ね。

要するに死神とは人数調整係なのだ。


「さて、本題に入りますか」


改まって話してくる死神。


「貴方の願いは何ですか?」


「ない」


「・・・え?」


死神ちゃんが唖然としている。

どうやら俺の言葉に思考回路がついていけなかったらしい。


「タイム、そして巻き戻し」


リプレイを要求する死神ちゃん。

相当パニックになってますね。


再び改まって質問をする死神ちゃん。


「貴方の願いはなんですか?」


「ない」


「ホワイッ!?」


英語でツッコまれた。

どうやら死神は英語もペラペラらしい。

益々人間にしか思えねぇ・・・


そんな考え事をしている間、死神ちゃんは「あり得ねぇ・・・」みたいな顔でこちらを見ていた。


「じゃあ何で私を喚んだんですかっ!」


「興味本意で」


「殺す」


この娘が言うと冗談に聞こえないのは何でだろう?

あ、死神だからか。

何か鎌を持ってユラユラと近づいてくるんですけど・・・


「ちょっ、ストップ!まさかマジで殺す訳じゃないよね?」


「本気で殺しますよ?あと5秒いないに決めないと」


「それは不可能すぎないか?」


横暴だ!


「いきますよー

いーち、2345!」


「早い!」


鎌を振る死神ちゃん。

このままだと確実に死ぬ。


ね、願いを言わなければ!

駄目だ!もう鎌がそこまで来ている!

・・・!

ならこれでどうだ!


「俺を!・・・・・・にしてくれ!」


ズバッ


胴体が思い切り切られた。

スプラッター映画級に。


血が大量に出ていくのが見える。

我ながらすごい量だなぁ・・・


床に倒れる。


「ふぅ、死んじゃいましたか。まぁこんだけ血をながせ・・・ば・・・」


傷が急速に癒えていく。

まるでなかったかのように。

ふむ、一瞬死んだかと思ったがまさかホントにうまくいくとは・・・


「あれ?何で?」


むくりと起き上がる。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!

化け物!ゾンビ!吸血鬼!」


「驚きすぎだろ!・・・まぁそうだけど」


「へ?」


死神ちゃんがワケわからねぇと言う顔をしている。


「だから、俺の願い事だよ。吸血鬼にしてくれって言う」


そう、あの場で何かしら願いを言っても鎌は止まることは無かっただろう。

ならば自らを不死にしよう、と考えたのだ。

作戦は見事成功したようだ。


傷はみるみる癒えていく。


「そんな・・・!あり得ない」


「なっちまったもんはしょうがないでしょ。てかいきなり殺そうとするあんたも十分有り得ねぇよ」


「で、これからどうするのよ」


「華麗にスルーすな」


都合の悪いことは徹底的にシラを切るつもりか・・・


「事故とはいえ、貴方は人外の輩に成ってしまったんだし」


「完璧にお前のせいだろ!この鬼!ペッタンコ!」


「吸血鬼ってちょっとくらい斬っても平気ですかね?」


土下座。


「まぁあれだ、なんとかなるさ」


地面を見ながら言う。

実際そう思っている。

人生、意外となんとかなるもんだ。


「・・・まぁ、貴方がそう言うのであれば良いでしょう。私はもう帰りますね」


「君結局何しに来たんだい?」


「契約ですよ!貴方のせいでメチャクチャな事になりましたけど結局無事終わったんで帰るんです!」


でわ、と言って帰る死神ちゃん。

魔方陣が淡い光を放っている。


・・・なんか一言かけるか。

こんなやつでも楽しかったし。

死神と言うのならそういうことにしておこう。

その方が、夢があっていいじゃないか。


本当に幻覚であったとしても、逢いに来てくれたのだからお礼は言おう。

そう思い、魔方陣に足を入れたそのとき、


パキン


と何かが割れる音がした。


下を見ると魔方陣が光を失っていた。

前を見ると死神ちゃんがショッキングな顔をしている。


「あ、貴方、今魔方陣に触りましたか?」


「?ああ、足が触れたが・・・」


「殺す」


「何で!?ちょっ、」


ズバッ


斬られました。


「そのせいで魔方陣が壊れたんですよ!体重オーバーです!どうしてくれるんですか!」


魔方陣がエレベーターよりも体重制限がキツいというどーでもいい事実を知りました。


てか、血が・・・


「・・・とってくださいね」


「は?」


ゆっくりと起き上がると膨れっ面の死神ちゃんがこちらを見て何やら言った。

聞こえなかったけど。


「今なんていったの?」


キッと睨まれて今度は大声で言われた。


「貴方のせいで帰れなくなったんですよ!責任!取ってくださいね!」


「はぁ!?」


こうして今晩、俺は吸血鬼となった。


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