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「この人、痴漢です」
今日は、梅雨も明け晴れ晴れとした夏空が広がっている。
だが、朝の満員電車の中は、冬も夏も関係ない。いつでも人が、ぎゅうぎゅう詰めで、駅員が必死に押さえ込んでいるのはよく見る光景だ。
そして、そんな満員電車に乗っていると一年に数回は、ちょっとした事件を目撃する。それは"痴漢"だ。冤罪も、もちろんあるだろうが、満員電車を利用して女性の身体に触ろうとする輩がいるのも確かだ。
ただ、今日はいつもと違いその痴漢の濡れ衣を着せられたのが、"僕"だと言うことである。