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追放された元貴族令嬢は隠し子を幸せにするために平穏な村で仲良く子育てしています 〜追放した貴族たちは仲悪く破滅していきます〜  作者: よどら文鳥


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8 騎士の目的

 平民は厳しい環境下にある。貴族は当然として、王宮に直属している騎士団や宮廷魔術師に対しての嘘や誤魔化しは処刑に繋がる。

 嘘をつかない範囲でクルウスを守ることだけを考えて回答している。


「念のため、なにか証明できることはあるか?」

「そう言われましても……」


 本人ですと名乗って、ああそうですかと納得してくれるパターンの方が珍しい。

 こういうときに、遺伝子鑑定技術を活用するのが一番の説得に繋がる。

 本来大人ならば誰でも持っていて当然なのだが、私は所持していない。

 クルウスの父親が誰なのかわかってしまうからだ。


「遺伝子鑑定証明書はないのか?」

「はい……」

「そうか」


 あれ。持っていないことを責めてこないのはなぜだろう。

 ともかくなにか証明できることを示さなければだ。


「お父様や義母様、そして義兄様の名前を名乗り、伯爵家の構造や住所、見た目などをお伝えする……ではダメでしょうか。もしくは一度だけしか行ったことがありませんが、王都王宮を覚えている範囲で喋る……などでは」

「ほう」

「それが私ミミナとしての証明にはなりません。ですが、この村の住人ながら王宮や伯爵家のことを知っている者はおそらくはいないかと」

「それで構わない。喋ってくれ」

「かしこまりました。では――」


 私は知っている情報を細かく説明した。

 騎士はふむふむとうなずき、表情も穏やかになっていく。

 どうやらミミナとしての証明は成功したようだ。


「先ほどまでの大変なご無礼な発言、お許しください」


 騎士は丁寧に頭を下げて謝ってきた。

 疑うのは当然のことだろうし、そもそも今の私は貴族でもなんでもない。


「どうか顔をあげてください。ちょっと怖かったですが、無礼だなんて思っていませんよ」

「そう言っていただけるとありがたいです」

「どのようなご用事でしょうか?」


 私もようやく安心できる状況になってきたため、ひとまず警戒は解いた。

 だが、まだクルウスに関係することではないかとソワソワしている。

 この騎士が強引に連れ去るようなことはしないとは思うが、ひとまず言われるまではクルウスのことは黙秘しておく。


「実は……今回はグルガ=レイバグ伯爵様からの命でこちらへまいりました」

「グルガ……伯爵? 義兄様が伯爵になられたのですか?」

「はい、三年ほど前になります。ブザン=レイバグ様が、令息のグルガ様に伯爵の座をお譲りしました」


 追放前、義兄様は婚約相手がいるようなことを聞いたことがあった。

 つまり無事に結婚して跡取りになったというわけか。

 ということはあの膨大な書類や作業は、今は義兄様もしくは代理の人がやっているということになる。


「用件を率直に申し上げますと、追放は取り消したうえ、レイバグ伯爵家に戻ってきてほしいとのことです」

「え……それは無理です」

「ですよね」


 あれ、騎士なのに反応があっさりとしている。私が拒否したにも関わらずだ。


 私はこの村での生活をとても気に入っている。

 みんな家族だと思っているくらい全員好きだし、ずっとここで生活すると決めているのだ。


 幸いなことに貴族や王族が、平民を不同意のもとで貴族にさせることはできない。もちろん無闇に貴族認定することもできない

 私はすでに平民だし、たとえ元家族からの命令であってもこれに関しては『ノー』と言える権利が平民にもあるのだ。

 そうでなければ貴族の中でも悪い連中が、犯罪者を貴族に仕立て上げてやりたい放題という図ができてしまう。

 この法律があって助かった……。


「どうして今になって義兄様が私を連れ戻そうとしているのかご存知ですか?」

「はい。私は騎士と言っても今はレイバグ伯爵家に専属で警備として配属しております。ですから概ねのことはお話を聞いています」

「そうでしたか」


 話をしている感じだと、騎士の彼は嘘をついているようには見えない。

 この村に来るまでは散々な経験があったからこそ、そのあたりの警戒はしっかりとしているつもりだ。

 それに仮に偽りの騎士だったとしたら、そもそも回りくどいことはしないで家の中をきょろきょろと確認してから襲ってくるはず。

 だが彼は最初からずっと私のことをしっかりと見ていた。

 大丈夫だと思う。


 ひとまず家の中へ入ってもらい、採れたての果実ジュースと水を用意した。

 騎士は喉が乾いていたようで、水はゴクゴクと勢いよく飲む。

 そしてそのあとで果実ジュースをゆっくりと味わいながら飲んでいた。


「ありがとうございます。水もジュースもとてもおいしいですね!」

「ふふっ。村に流れる川はとても綺麗ですし、果実もとっても新鮮ですからね」

「ミミナ様がうらやましい限りですね」


 場が和んだところで先ほどの話の続きを聞いた。


「警備騎士として配属される以前のことは聞いただけの話になりますが……」


 と、前提したうえでゆっくりと口を開いた。

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