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追放された元貴族令嬢は隠し子を幸せにするために平穏な村で仲良く子育てしています 〜追放した貴族たちは仲悪く破滅していきます〜  作者: よどら文鳥


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6【Side】ミミナがやっていたこと

 ミミナを追放してから約半年。

 ブザン=レイバグはこのところの書類関係の仕事が高く評価されていたため多少のことは目を瞑って貰えていたが、その状況が変化してきていたのである。


 ブザンが息子のグルガ=レイバグを呼び出した。


「グルガよ……。おまえの嫁は手抜きをしているのか? 私が任せている書類に不備が多い」

「そんなバカな……! お言葉ではありますが、あいつとは完璧な政略婚。それもレイバグ家……いえ。ここだけの話、俺が効率的に自由を得られるかで決めました。従って仕事面においては申し分なく使える女なわけで……」


 グルガは自分は悪くないのだと、正当化しようと必死になって長々と語っていた。

 言い訳をだらだらと発言されることに対して、ブザンもまた責任をなすりつけようとしている。


「私は王宮大臣から直々に注意され、大恥をかいてしまったのだぞ。かつてミミナにできていたような程度の仕事しか任せていないというのに」

「平民風情の邪魔者よりも使えないと!?」

「そうはいっていない。まあ初めのうちは失敗もつきもの。以後気をつけて注意してくれればよい」


 グルガは苛立ちを隠せないでいた。

 主に使える女だと思い権力を利用して無理やり結婚まで進めた。

 ところがグルガに服従はしているものの、仕事に限らず期待どおりの成果が伴っていない。どれもこれもミミナに命じてた結果よりもうまくいっていないためである。

 自分たちが恨んでいるミミナよりも成果が劣ることに、激しいストレスを感じていた。


「追放前に一攫千金になるチャンスすら叶わなかったゴミに負けるわけにはいきません!」

「そう焦ることもない。まだ彼女はここでの生活に馴染めていないのだろう」

「そうかもしれませんが……」

「辛いかもしれないが、最初は女の望むようにしてあげてみたらどうだ? 少しでも好意が得られれば効率よく動ける女になるかもしれない」


 グルガにその発想はなかった。

 なるほどと納得し、今度こそ使える女になってもらおうと張り切っていた。


 ♢


 数ヶ月後。

 グルガは再び注意を受けた。

 痺れを切らしたグルガは、妻のミンティラ=レイバグを呼び出す。


「お久しぶりですグルガ様」

「挨拶などいらん。俺は怒っているんだぞ?」

「な……なにかしてしまったのでしょうか?」


 ミンティラは恐れながらも向き合って話を聞こうとした。

 グルガは壁をドンと殴り、威嚇させる。


「ミンティラに与えている書類の仕事だ! 不備が多いと指摘を受けているのだぞ!」

「大変申し訳ございません……」


 ミンティラは我慢しながらも深々と頭を下げて謝罪した。

 しかし、謝罪だけでは許せなかったグルガは、さらに問い詰めようとする。


「平民でも簡単にできるような仕事もできないとは、わざとなのだろう!? 俺のことが嫌いだからそうしているのだろ!?」

「滅相もございません!」


 ミンティラの目が真剣そのものだった。

 ミンティラのことを道具としてしか扱っていないグルガといえど、ミンティラが嘘をついているようには思えなかったのである。


「俺と結婚する前までのミンティラは、王宮の大臣からもお褒めの言葉をいただけたほど学問に優れていただろう? 書類作業との相性が合わないのか?」

「ひとつだけよろしいでしょうか……?」

「言ってみろ」


 ミンティラが申し訳なさそうにしながらも、心境を正直に打ち明けるのだった。


「私は今までお父様である子爵のアシスタントをしておりました」

「それは知っている。当時は素晴らしいと思っていたよ。だからここでもその実力を発揮してのらいたい」

「いえ……やっていることはほとんど同じでして……」


 グルガと婚約が決まってからは、それまで以上に学問だけでなく領地関連の知識も学習していた。

 そうしなければ酷い目にあうことが想定できていたからである。


「なにが言いたい?」

「ブザン伯爵様に対して、大臣の評価が厳しすぎるのでは?」

「他人のせいにするのか。あの大臣はバカなほど平等に評価しようとする。しかも父上の領地管理に関してはほかのところと比べてもあまりにも易しい。なぜならば、今まではろくに学力もない平民が作業をしても評価されてしまうほどだったからだよ」


 ミンティラは話を聞いて、まずいのではないかと思っていた。

 半年以上嫁いでいるため、レイバグ伯爵家の人間が大きな勘違いや傲慢であるかを知っている。

 平民の中にだって優れた知識を持っている者だっている。

 さらに、レイバグ伯爵の評価が嫁ぐ前までは高かった。仮にもミンティラの前に仕事をさせられていた者が実は実力者だとしたら。

 そう考えると、ミンティラ自身がどんなに頑張ろうとも、そう簡単に同等の評価をもらえるとは思えなかった。


「ひとつお伺いしてもよろしいでしょうか……?」

「早く仕事に戻ってもらいたいのだが……まあ聞こう」

「前任の方の作業された資料は残っていますでしょうか……? もしもあれば是非拝見できればと」

「なぜだ? 平民風情の資料など無駄だろ」


 ミンティラは普段嘘をつくことはない。

 だが会話がまともに通用する相手ではないし、事実を確認するためにもやむを得なかった。


「おっしゃるとおり、平民の情報では自分自身に泥を塗るようなこと……。しかし、ミスを繰り返してしまうのは前任者のやり方が原因なのではないかと思います。そこで、原因を突き止められれば今後のミスも少なくなるのではと」


 かなり曖昧な説明ではあったが、グルガ相手ではこれで十分だった。

 ミミナのことをようやく愚弄するようになったのである。

 グルガは自分自身がの指導した賜物だと思っていた。

 グルガの機嫌が少しだけよくなったため、ミンティラの願いも聞き入れたのである。


「まあいいだろう。父上にも仕事向上のためだと伝えて許可をもらっておく」

「ありがとうございます!」


 ミンティラはミミナが処理した書類を拝見することに成功した。


「す……素晴らしいわ……!!」


 王宮大臣に何度も褒められてきたミンティラですら驚いていた。一切の記載ミスがなく、的確な提案や対処法なども丁寧に書かれていたのである。

 レイバグ伯爵家は、伯爵自身がやっているという程で書類の提出をしている。

 悪運なことに、ミミナとミンティラの字の書き方が似ているため、大臣も変化に気がつかなかった。

 それもグルガの策略である。


 しかしミミナが仕事で評価されていることは、ブザンもグルガも当然のことだと思っていた。

 なぜならば時間をかけられたからである。

 朝から夜までのほとんどが書類作業という状況であればそれだけのものは仕上げられて当然だと思っていた。

 ミンティラの実力があれば、短時間でもミミナと同程度の仕事はできると思っていたのである。


「このままではグルガたちに殺されてしまうかもしれないわ……。なんとかしなければ」


 ミンティラはレイバグ一族にバレないようにコッソリと動きだしたのである。

 なお、ミミナの書類に関しては参考資料として大事に熟読していた。

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