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追放された元貴族令嬢は隠し子を幸せにするために平穏な村で仲良く子育てしています 〜追放した貴族たちは仲悪く破滅していきます〜  作者: よどら文鳥


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17 クルウスに父親を教える

「クルウスを助けることができたのだからお役御免。そして魔法適性もなくなったおかげで一番大事なものが手に入ろうとしている」

「そこまでして……」

「あたりまえのことだけれど、四年前から覚悟はしていたよ。どのようなことがあろうともミミナと一緒にいたかったから。今はクルウスもだ」


 公爵としての立場を捨てて……というよりも勝手にお飾り公爵にされたというべきか。

 そして回復魔法もなくなってまでして村へ戻ってきてくれた。


 デュール様が直接言わなくとも目的はなんなのかはわかる。

 嬉しすぎて何度もデュール様の胸に顔を近づけた。


「クルウスには話しても?」

「むしろそうしたい。クルウスが認めてくれるかはわからないが、私も父親として向き合いたいし、そう見てもらえたら嬉しい」

「村長さんや村民の方にはどうしましょうか」


 こっちがむしろ悩むところである。

 今まで私は自分が貴族のムスメだったことを隠して生活していた。

 だがらこそ村の人たちとも打ち解けて対等に楽しく暮らすことができたのである。

 しかし、デュール様はすでに公爵としてここへ来たことがあったし、何人かには彼が公爵だと知られている。

 私たちと一緒に住んでいたら、知っている人からすれば『え?』ってなるだろうし、どうすればいいものか。


 そう悩んでいたが、デュール様はあっさりとしていた。


「クルウスのためにも話すべきかと私は思っているよ」

「大丈夫でしょうか」

「ああ。クルウスの回復魔法は今は使えないのだろう?」

「そうですね」

「国が求めているのはあくまで『回復魔法』であってクルウスではないはずだ。私もすでに公爵としての権力はないに等しい。となれば仮に国に知られたとしても強引に連れていくようなことはないだろう」


 クルウスが無事にここで生活できるのであればそれでいい。

 それにクルウスもデュール様と一緒に過ごしていくのに隠し事があると辛いかもしれない。

 話すことによって村の人たちには驚かれてしまい、今後ほんの少し距離ができてしまうかもしれないが……。


 そう思っていた。


「グルガ=レイバグ伯爵も相当苦しんでいるようだ。さらに、とある容疑もかけられている……」

「容疑!? なにかされたのですか?」

「詳しくは私も知らないが、そのようだね」


 おそらく前にきた騎士団長のことだろう。

 名前を出さないところから察して、知らないふりをしておく。


 話を聞く限り、レイバグ家の人たちが私たちを連れ戻すようなことはもうないと思っていいだろう。

 この村から出ていかなければならないような事態が全てなくなったと思えただけでもありがたい。


 あとはクルウスがデュール様が父親であることを受け入れられるかどうか。

 まだ三歳だしそのような判断はできないと思うが、せめてデュール様に馴染んでくれますように……。


 ♢


 デュール様を紹介がてら、真実を話すことにした。

 ところが、村の人たちは特に驚くこともなくいつもどおりである。


「あらあおめでとう! 立派な旦那さんがいてよかったじゃないの」

「ほら、やっぱり思っていたとおりだったろ。ミミナさんは貴族っぽいところあったし、あの仕事量をこなせる知力はそういうことだったか」

「これでクルウスちゃんも父親が一緒になるし、寂しくなくなるわね」


 デュール様が公爵だったということについてはまあまあ驚かれていた。

 言葉遣いや態度を気にする人もいた。

 しかし、デュール様が『気にしなくていい』『対等にしてほしい』と言ったらあっさりと受け入れてくれる人がほとんどである。

 私もその流れで実は伯爵のところの令嬢で追放されてここで暮らし始めたことをカミングアウトしたが、特になにも変わることはなさそうだ。

 むしろ実は知っていたと言っている人のほうが多かったことに驚かされた。


「ミミナさんはミミナさんだからなあ。今さらって感じだな」

「そうそう。それに貴族だからって傲慢な態度とるような人じゃないってことも知っているし」

「そうと決まれば今日は村人全員集めてお祭りをするか! ミミナとクルウスのところにパパが帰ってきた記念ってことで!」

「お、それは良い! さっそく準備を始めましょう!」


 村人たちはいつもあたたかい。

 夜は釣れたての焼き魚、採取したての山菜料理とスープを囲いながら祝福してくれた。

 回復魔法が使えなくなったクルウスではあるが、村人たちは変わらずに接してくれる。

 さらにデュール様とも隠すことなく一緒に暮らせるようになったのだから至れり尽くせりだ。


「ぱぱー」

「なんだい?」

「だっこー」

「はいよ。よいしょっと」

「わーい」


 ちょっと重くなったクルウスを、デュール様がひょいっと持ち上げる。

 待ってましたというようにクルウスが喜んでいた。


 これからは三人でのんびりとした生活を満喫していこう。

今回はここで一旦完結です。

シクベ企画に参加できて、今回はキッチリと途中で更新止まらずに完結まで書けてよかったです。

参加させてもらい、そして読んでくださりありがとうございました。


なお、いずれ他サイトでも連載すると思いますが、その際にもしかしたらこの続きを加筆する可能性があります。

そうなった場合はこちらでも連載再開という形でまたお付き合い頂けたら幸いです。

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