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超強い剣士が老人に化けて武闘大会に出ていたら、相手は気づく? 気づかない? ざまぁ編3

「クレアとミダスの方は順調にやってるみたいだ。皆はどう? なにか動きはあった?」


 別行動をしていたパーティーメンバーの、シローネ、ダグラス、ロイドの三人と合流できたので、さっそく進捗を問うた。

 まず報告してきたのはシローネ。


「そうですね。私はスタッフとして紛れていますが、参加者の何人かが待機室からいなくなっていました」

「参加者は待機室から出られないんじゃなかったか?」

「スタッフを伴えば行けるんです。待機室で様子を見ていたのですが、外出した参加者はしばらく帰ってきませんでした」

「ただ外の空気を吸いに行ったとかではなく?」


 そう問い返すと、観客のフリをしていたロイドから、否定の言葉が入った。


「いや、どうかな。僕は迷ったフリをして連絡路を歩いていたけど、明らかに目的意識を持って移動しているような参加者とスタッフを見かけたよ」


 初対面の時は言葉遣いが若干堅苦しかったロイドも、今ではすっかり打ち解けている。が、今はそれよりも気になることがあった。


「……話の腰を折りたくはないんだが、その大量の食べ物はなんだ?」

「あぁ、これかい? 露店を探して迷ってる食いしん坊のフリをするのに丁度いいから買ったんだ」


 なんてロイドは言うけれど、普段からよく食べるのは知ってるんだぞ。


「……それなら一個か二個あれば十分だろう。本音は?」

「……どれもおいしそうだったのさ」


 やっぱりそんなことだろうと思った。

 あきれてため息をついてると、ダグラスがいさめてきた。


「まぁいいじゃねぇか。やることはやってるんだから、少しくらい楽しんでも。実際、ロイドのおかげで確証を持てることがあったしな」

「なにがあったんだ?」


 ダグラスは、事前にクレアからかけて貰った隠蔽魔法で会場内の偵察を行っている。

 今も姿は見えないままなので、声だけ聞こえているという不思議な状態だ。

 

「実は、人気のない場所で強化魔法をかけられているやつらを見かけてな。恐らく、ロイドが見たやつらだろう。その目的とやらが強化魔法をさずかる為なら、怪しい動きも説明がつく。魔法を含めたドーピング検査は、参加登録時に行われているしな。それが終わった後ならやりたい放題ってわけだ」

「……スタッフが協力しているってことは、運営も絡んでいるってことだよな。どうしてそんなことを?」

「賭けがあるからじゃねぇか? オッズ高いところに勝たれると、配当がバカにならねぇ。それなら、あらかじめ息を吹き込んでおいたやつにストッパーになってもらう方が、報酬を払ったとしても安くなるからな」


 なるほど。

 あくまでビジネスだから、運営がなるべく損をしない作りになっているのか。

 

「……なんというか、どこまでも腐った大会だな」

「まぁ、相手に強化魔法がかかってていても、勝つやつは勝つからな。それでオッズ高いやつが勝つことも往々にしてあるだろう。が、今までの記録を見るに、優勝だけは譲らない感じだな」

「勇者の力や人気を誇示するための大会だろうし。となると、上に行けば行くほど工作が酷くなるのか……?」


 疑問を呈すと、賛同するようにダグラスが肯定した。


「だろうな。最後は恐らく"勇者サマ"との戦いになるだろうが、いくら剣聖と言えど、厳しい戦いになるかもしれねぇ。最悪の場合は、こっちも手段を選んでいられないかもしれんぞ」


 それはそうなんだが……。そこまでして勝たせようとするやつらが、こちらの不正を許すだろうか?

 こっちだけ検査が入って処罰とか普通にあり得そうなんだけど。

 運営ぐるみの不正の対処法に悩んでいると、シローネが一つ提案をしてきた。

 

「こちらまで不正をすると、後で不利になりかねません。どちらかと言うと、相手の不正をやめさせるか、止める方が現実的かもしれませんね」


 なるほど。勇者となると相当強化魔法を盛ってきそうだが、当初の予定よりも俺が頑張れば、確かに不正は防げそうだ。

 

「そうだな。そっちの方向で行こう。それなら俺がなんとかできるし」

「決まりだな。ダンナに負担をかけちまうが、できるって言うなら、やってくれる男なのは分かっている。頼りにしてるぜ」


 ダグラスの期待が重い。パーティーに入ってからダンナと呼んでなにかと尊重してくれているのは分かるのだが、ちょっと過大評価されている気もする。

 ……まぁ、幻滅されないように気張るしかないな。


「勇者の不正はこっちで対処する。三人は引き続き、監視を頼む。俺はいつでも出れるように、クレアの配信を見ておく」


 そう告げると、ロイドに少し白い目で見られた。

 

「とは言うものの、実は楽しんで配信を見ている節がないかい?」

「なんのことかな」


 まぁ、実際見ていて楽しいからな。今のところ、俺の出番はないし。俺だけ得しているように見えるのかもしれん。

 特に否定せずにいると、シローネがぼそっと呟いた。


「……一番楽しんでるのはロイドさんだと思いますけどね」


 その呟きを、耳が良いダグラスはしっかり拾う。


「ちげぇねぇや」


 ぽりぽりと頬をかいたロイドを締めに、その場は解散となった。


 そろそろ、ミダスの二回戦が始まる。

 見た目のせいか、ミダスはかなりオッズが高い。

 一回戦を見た者の中にはミダスに賭ける物好きもいるかもしれないが、それでもまだ相手の方が人気だ。

 今後イレギュラーになりえるミダスを、ここで潰しにかかってくるのはあり得る。

 先ほど話題に上がった強化魔法のかけられた相手が出てくることも考慮した方がいいだろう。

 

 とは言え、かけられた強化魔法がどんなものか分からないし、試合中に外部から干渉するのもリスクがある。

 まずは強化魔法の形態から見分けるべきだろう。

 

 ひとまず、ここはミダスの地力にかけるしかないな。

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