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超強い剣士が老人に化けて武闘大会に出ていたら、相手は気づく? 気づかない? ざまぁ編2

「悪いなっ! 魔法使いのじじいだろうが、手加減なしで全力で行くぜ!」


 勇ましく雄叫びを上げながら、対戦相手が疾駆する。

 たしかに杖しか持っていないミダスは、到底剣士には見えない。

 そうするのがもっとも正しいかのように思えた。


『さあ、試合が開始しました! まず先手を取りに行ったのは対戦相手の剣士です! 巨大な両手剣でもって、老体を真っ二つにせんと襲いかかります! 今更ですが、絵面的に大丈夫なんでしょうか!?』


 クレアが突っ込むと、コメントが一気に流れる。


 :見た目が最悪や

 :避けるそぶりも見せないけど足腰悪い老人プレイなん?

 :真っ二つになっても元に戻るのはわかるけど、それはそれとしてそんなところは見たくないよな


 大上段に振りかぶられた大剣が、ミダスめがけて振り下ろされる。

 足腰の悪い老人なら、避けられないと思ったのだろう。


 殺すつもりの一撃。

 いくら場内の攻撃がなかったことになる夢魔法の中と言えど、老人相手の容赦ない攻撃に会場からブーイングがあがる。


 そのブーイングをものもともせず、対戦相手は思い切り剣を振り下ろしにかかった。

 だが。


 ミダスがいつのまにか杖を斜めにかかげていて、痛烈なはずの剣撃が軽々と受け流される。

 ドシンと音を立てて、大剣が地面に叩きつけられると、バランスを崩した対戦相手の足元に杖の一閃が加えられ、見事にすっこんろんだ。

 うつ伏せに倒れる対戦相手の頭の上へ、ミダスは杖を乗せた。


『おーっと! 老体を木っ端微塵にしそうな一撃を受け流し、追撃とばかりに杖で足払いをしたご老人! 対戦相手はあっという間に杖置きになってしまいましたね』


 :つえー

 :早すぎて見えなかった

 :よく考えたら一歩も動いてなくね?

 

「くそがっ……! どきやがれっ……!」


 頭を押さえつけられた対戦相手は、悪態をつきながらなんとか立ちあがろうともがくも、叶わない。


 審判が勝負ありを言い渡しそうなタイミングで、ミダスは杖をどかした。


「ほっほっほっ。威勢が良かった割に大したことないのう。ほれ、もう一踏ん張りしてみい」


 上からの圧力を解いたミダスは、杖でつんつんと対戦相手の頭をつつく。

 その様子に、コメントが嫌な感じで沸いた。

 

 :あれ、トドメ刺さないんだ

 :舐めプ?

 :これで負けたら恥ずかしいぞ


 しかし、そこはクレア。

 軌道修正と言わんばかりに、言葉で盛り上げる。


『どうやらご老人は相手の全力を引き出した上で、真っ向から叩き潰すつもりのようです! 初見殺しの絡め手で勝利しても、満足できないということなのでしょう!』


 :たしかにあれで終わってたらあっけないもんな

 :なるほど、そういう見方もあるのか

 :そう考えると正々堂々とも言えるな


 クレアの掛け声の甲斐あって、空気が悪くなることは避けられた。


 だが、対戦相手はそうではない。

 明らかに舐められていると分かってか、少し興奮気味に啖呵を切った。


「ふんっ! この俺にチャンスを与えたこと、後悔すんなよ!」

 

 ミダスに煽られて勢いよく立ち上がった対戦相手は、大剣を横薙ぎに振り払った。


「縦がダメなら横からだ!」


 腰あたりを目掛けて振り払われた一撃。

 このまま吹き飛ばされるかと思いきや、まるで剣が止まってるとでも言わんばかりに、ミダスは杖の先を大剣の腹に乗せ、勢いをつけて剣の上に乗った。


「ぐっ……おもっ……」


 見た目は老人といえど、一人分の体重が乗っかれば剣は振り切れない。剣がずしんと地面に沈み込み、それ以上動かなくなる。

 当たり前のはずなのだが、ミダスは急に激昂した。


「お、重いとはなにごとじゃ! 失礼じゃぞ!」


 ミダスの反応がおかしかったのか、コメントが沸く。


 :怒るところそこ?

 :そりゃ人が乗ったら重いだろ

 :実は元の体がデブだったりして


「いや重いだろ! 普通に!」


 ミダスの異常な反応に、対戦相手は間髪入れずツッコミをいれる。

 しかし、それが命取りだった。


「う、うるさいぞ! 遊びはやめじゃ! これでもくらえい!」


 斜めに地面へ垂れていた剣の上に乗っているミダスは、勢いよく杖を突き出し、更に片足で杖の柄を蹴り付けた。

 蹴りの勢いを乗せて放たれる杖の一撃。

 鋭い槍のごとき刺突は、対戦相手の顎を打ち抜き、そのままノックアウトした。


 気絶したのか、立ち上がってこない対戦相手。

 審判がやってきて様子を確認すると、勝敗を告げる宣言がされた。


「勝者! ジン・ゴロー!」


 途端、わーっと沸く会場。

 それに合わせて、画面の中のクレアも捲し立てる。


『勝敗がついたと思いきや、わざと隙を作って一撃を誘ったご老人。あわやピンチかと思われましたが、軽やかにかわし、剣の上に乗りました! そして、重いと言われてブチ切れて、そのまま一撃ノックアウト! 中の人は体重を気にしているのでしょうか!?』


 :強いのにギャップがあってかわいい

 :ジン・ゴローってよく考えたらそのままの偽名な

 :老人の動きじゃないんだが?


『そうですね。老人らしからぬ素早い身のこなしでした。次の対戦相手が見ていれば、警戒されることでしょう。もしかすると、もう老人でないことがバレるかもしれませんね! 次の対戦を期待しながら、他の試合も実況していきます!』


 :まだ誰かは分かんないよな

 :達人ならこれくらいの動きしそうだから、意外とバレないかもね

 :他の実況もしてくれるの助かる

 

 その後も感想戦などでコメントが流れていく。


 ひとまず、危なげなく一回戦突破だ。


 不正もなかったし、俺が出る幕はまだないようだ。


 次の対戦までしばらく時間があくので、一度シローネたちと合流してもいいかもな。

 

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