有名商人に、ホンモノとニセモノを交えて鑑定を頼んだら、見抜ける? 見抜けない? ざまぁ編1
映像よし。マイクよし。仕掛け人の様子は……うん、大丈夫みたいですね。
賢者様に、シローネ。ガランのおじさんも、準備万端です。
作戦決行日の今日は、オークションの翌日。
王城という大口のお客を囲い込んだゴルディンは、羽振りがよくなったのか、オークションでも様々な品物を落としていました。
かなり買い込んだようで、彼の店先には、オークションで手に入れた様々な品が展示されています。
見せびらかすように頑丈なケースにいれられたそれらは、とても庶民が買える値段ではありません。
そもそも売約済みの札がついている物もあるので、誇示するためだけに陳列しているのでしょう。
きっと、新しい伝手に流す品物も含まれているはず。
正直、転売と変わりないのではないかと思いますが、賢者様曰く、彼がいた世界の『セリ』という概念に近いようです。
商人が集い、一番高い値段を提示した人が品物を手に入れる。
手に入れたモノは、その者の自由。基本的には商人が購入し、様々な経路を辿り、店頭に並ぶようです。
沢山の商人が一同に集うことでいたずらな価格の低下を防ぐとともに、販路を持った者が買うことで、より遠くの地域へ届けることができるのだとか。
オークションには貴族様も混じっているので、一概に世に出回る訳ではありませんが、単に間に挟まって儲けるだけ、というわけでもないようです。
そして、ゴルディンは、商売の元手となる品物を沢山競り落としました。なので、いくら賢者様の素材のおかげでボロ儲けしたといえど、一時的に懐寂しい状態になっているはずです。
少し節約したいという思考が働く時に、作戦を仕掛けようというのが賢者様の案でした。
ちなみにオークションにはマチルダも来ていたようで、偽物のヴェノムチェイサーの目を出品し、あえなくお縄となっていましたが、まぁそれは今回の件とはそれほど関係ないので、いいでしょう。重要事項ではありますが、彼女は直接関わってきません。
本命は、ゴルディンの方です。
少しケチくさくなっているであろう時期を見計らった、今回の作戦。
シローネの進退がかかっているので、必ず成功させなければなりません。
本人もそれを分かっているのか、気合の入りようが見て取れます。
あとは、天の流れに任せて実行するのみ。
うまくいくことを願いながら、配信開始ボタンを押します。
「皆さんこんにちは。クレール・ロマリアのクレアです。告知していたおかげか、既に結構な人に集まっていただいていますね。ありがとうございます。ところで、以前マチルダに仕掛けたドッキリ企画、覚えていますか?」
:マチルダが全世界に恥を晒したあの企画ね
:人の本性がわかるやつな
:あれでファンになりました
まずは、視聴者さんと前回の振り返りから。
賢者様曰く、前置きをすることで期待感が高まるとのことでした。
それに則って、前回の内容を掘り下げます。
「『石にされたはずの仲間そっくりの石像を持ってこられたら、その仲間たちは気づく? 気づかない?』、楽しんでいただけたようでなによりです。ダグラスだけが気がついて、企画をする要因となったマチルダは、全く気づかずにボロを出した、という内容でした。クレール・ロマリアのメンバーが、普段何を考えているか、よく伝わったと思います」
:シローネのクレア愛が伝わってきて、妄想がはかどった
:冷静沈着なダグラスさんがかっこよかったっす
:ドッキリを仕掛けるクレアちゃんが意外に悪女だなって思いました
「皆さん、思い思いに楽しんでいただけたようで、なによりです。さて、どうしてこのような話に触れたかといいますと……」
タメをつくると、期待を膨らませたコメントが流れて行きました。
:もしかして、またなにかやるの?
:まさか……
:告知があったからなにやるか楽しみ
「お察しの通り、観察ドッキリの第二弾を行います! 題して、『有名商人に、ホンモノとニセモノを交えて鑑定を頼んだら、見抜ける? 見抜けない?』です」
:今度は外部の人を巻き込むんだ
:前より身近な話だからちょっと楽しみ
:人に迷惑をかけるのはよくないよ
この時点では、賛否が半々といったところ。
ターゲットにした理由を伝えていないので、それも仕方ないのでしょう。
シローネの事情を伝えた方がいいのでは、と賢者様に提案しましたが、あくまで娯楽配信の体でいくとのことでした。
曰く、あとから事実が判明した方が、援護射撃を得られやすく、また、事前に開示してゴルディンに作戦を悟られないようにする、という理由があるようです。
ですので、しばらくは懐疑的な空気を耐えなければなりません。
まずは、ゴルディンの化けの皮を剥がす必要があります。
その為の弾はいくつか用意してきました。
その第一弾となるガランのおじさんが、店に入っていきます。
隠蔽魔法をほどこした私たち三人も、その後についていきました。




