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作者あとがき

 前作をお読み頂いた方は、またお会いできて光栄です。

 本作を初めてお読み頂いた方は、初めまして。 

 作者の日吉舞です。

 この度は、「SAMPLE」の続編に当る「機甲生体捜査官 弄ぶ、誰か」をお読み頂き、本当にどうもありがとうございました。本作品を公表するに当たりスペースを拝借している「小説家になろう」で数多の作品がひしめく中、本作に目を留めて頂いたことに感謝するばかりです。この場を借りて、お礼を申し上げます。

 そして連載中、感想やWeb拍手、ツイッターなどで励ましを下さった方々には、重ねてお礼を申し上げたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

 さて。本作は構想数ヶ月、執筆所要期間1年半以上と、気がつけば全体のテキスト分量も前作を超えたものになってしまっておりました。内容が果たして前作を超えられたかどうかは別として、物語としてきちんと完結させられたので、自分としては充実感に満たされております。前作に当たる「SAMPLE」を書き上げるまでは設定やあらすじどまりだったので、成長したなと勝手に感じている次第です。

 本作を書こうと思ったきっかけは、実に簡単です。

 前作「SAMPLE」をこのまま終わらせるのが惜しかったのと、子どもの頃から大好きだったFBIもののネタで何か書けないか、という煩悩を合体させたかったから!

 ……いや、でもしかし、単に好きだからという理由だけで面白いものが書けるわけでもなく。それに前作では嫌と言うほどリアル志向のストーリー構成にしていたから、次でそんなにはっちゃけるわけにもいかないよなぁ、ということで、やっぱり最初は色々と資料を集める作業から開始しました。

 で、FBIを母体にするのはいいとして、そもそも軍事目的で作られたサイボーグが警察関連の機関、しかもアメリカに行くことになった経緯を細かく考えて、その後は何とどうして戦うのかとか、細かいことを決めて行かにゃなあ、とか色々と。

 特に大変だったのが、FBIが実際にどういう捜査活動をやっているのかを調べること。テレビドラマや映画なんかではもうFBIという組織はお馴染みなんですが、情報を漁るうちに、現実ではそんなに派手なことをしてるわけじゃない、というのがわかってきました。

 話の冒頭では地方の駐在事務所でビシバシ教育される未来の姿を書きましたが、実際はああいう感じのようで。やっていることは警察とあんまり変わらないなぁ、というのが本当のところ。よくある連続猟奇殺人事件や超常現象の捜査なんてのは、実像から結構遠いところにあることがよくわかったり。FBIが担当する星の数ほどもあるの事件の一部、ということなんですよね。

 ただ、日本では考えられないようなショッキングな事件が起きるのも、またアメリカという国が抱える現実です。今回FBIの犯罪科学研究所や元FBI長官の自伝、はたまた元FBI捜査官の旦那様がいらっしゃる女性ライターの本から犯罪心理学の本まで、色々と読み漁りました。ので、やけにその辺の事情に関しては詳しくなった筈と自負しております。

 しかし今回の話においての反省は、折角だからそういう知識を活かそうとしてちと「リアル」に走り過ぎてしまい、やたら小難しい話になってしまったなあということです。一部のトリックは専門知識がないと理解できない人もいただろうし、読者の方々を置いてけぼりにした感は否めないかと思います。すいません。

 そして本人の癖なのか、中盤頃から鬱展開の連続。一部読者の方からは、鬱展開を抜けたら読み直そうというお言葉まで頂いてしまったくらいで。いや、明るい話は嫌いじゃないんですが、どうもそればっかりというのはやはり苦手です。戦闘中に軽い掛け合いをしたりとか、そういうのは好きなんですけどね。

 ちなみにこの作品、本当はミステリーとして書いたのです。しかし、「小説家になろう」ではミステリーというジャンル自体が存在しないため、近いと思われるところに登録したハズが……確か、関連サイトで「推理してない」とか言われてた気もします。あはは。だから最近はジャンルをSFに移してみたり。

 今回は複数のコンセプトを話に持たせていて、当初から是非要素として盛り込みたいと思っていたのが、犯罪被害者の心の傷のことです。特に、男性の性犯罪被害者のこと。

 劇中の杉田先生は救出後かなり手厚く扱われていることになってますが、現代社会、特に日本社会においては、「男なんだから傷つくわけがない」「男なんだから泣くな」「そもそも、男が性犯罪の被害に遭うわけがない」という「男らしさ」の偏見の壁が厚く立ちはだかり、泣きたくても泣けない、誰にも(親や奥さんにさえ)相談できない、勇気を出して訴えても周囲から孤立し、酷い場合は風の噂を聞きつけた心無い者たちから精神的、肉体的暴行を繰り返し受けるということが往々にしてあるのです。

 その事実を知ったとき、私も息苦しさを感じるくらいショックでした。

 私は思います。

 傷ついた痛みに、男も女も関係ないと。

 男か女かという区別以前に、皆心を持つ人間なのだと。

 だから男女の区別なく、心理ケアはもっと平等にあるべきだと(あ、ちなみに私自身では男女の「区別」と「差別」は別物だと考えているクチです)。

 この手の作品だと、被害者のその後が描かれているものは少ないと思います。でも精神に深刻な傷を負った被害者がすぐに立ち直れるわけがないし、心を持つ生き物なんだから、誰だって傷つくんだということを、多くの人に知ってもらいたい。

 そんな思いから、もう一歩踏み込んだ辺りまで描写するに至った次第です。エピローグでの杉田先生と未来は一応、支え合って生きていくことを決意する姿で終われたので希望はあるかなと。それに周囲からの理解もあるし、何とか乗り越えていけるんじゃないかと思います。そういう意味では、彼らは仲間にすごく恵まれていると言えますよね。

 そして、今回から登場した新キャラクター群。一度にちょっと数を出しすぎてしまい、一部は本編に覚え書き程度でしか登場させられなかったのが反省点です。アメリカ人である彼らは私の中でとっくにキャラが立ってるので、次回以降はみんなが活躍できるストーリーを考えたいなあ。

 えと、ここで新キャラクターの中で一番活躍のしどころがあった、ジャクソンについてちょっとだけ。

 典型的なアメリカ人キャラの彼。28歳の図体も態度もでかい陽気な黒人で、アメリカ陸軍特殊部隊デルタ・フォースの出身と言う経歴の持ち主です。最初から保安目的で作られたサイボーグなので、未来とは改造のしかたが若干違います。未来を隠密機動と破壊工作が主任務の忍者と位置づけるのなら、ジャクソンは自らの体を張って市民を守ることがメインのヒーロー(今はまだ表に出てこないけど)といったところでしょうか。

 まさに子どもの頃からの夢を自分の力で実現させたアメリカンヒーローなのですが、実は犯罪被害者の家族という過去も背負っています。だから未来の辛い気持ちもわかってやれる、頼もしい相棒なわけで。ただ、本当はもうちょっと表に出して活躍させるつもりだったのに、いつの間にか未来を陰から支える兄貴キャラになってしまい。

 まあそれでも、今まで登場させてきた男性キャラとはタイプがまた違うし、未来との凸凹コンビは書いていて楽しかったです。私は一定の条件下において男女の友情は成立すると思ってる(これはまたものすごく微妙なバランスを取らないとあり得ませんが)ので、これから先の話では二人のアクションを中心に据えていきたいですね。

 で、これ以降のシリーズについては、次回とその次くらいまではこういうのが書きたいなあ、という腹案は持っていたり。今回ミステリー要素が強かったから、次回は謎少な目の純粋なアクションものとして楽しめる作品にしたいと思っています。

 プラス、今回は新しいキャラが出ては来たけど目立たせてなかったし、日本残留組については殆ど出番がなかったので、彼らも活躍させるつもり。未来と杉田先生が中心だった今作とは別の色をまた出したいので、男たちの熱(苦し)いドラマ展開を書きたいなと。デルタ・フォース時代のジャクソンやフォース・リーコン時代のリューたちの過去を絡ませてみたいとか、杉田、生沢、エマたち医療チーム面々の動きなんかも入れてみたいとか、CVCが日本政府からの協力要請を受けて来日する話を書いてみたいとか、やりたいことはたくさんです。

 まあ、例によりまして、一定量を書き溜めするまで時間がかかるので、また数ヶ月間連載はお休みすることになるかとは思いますが……けれど、自分の中ではまだまだ終わらせるつもりはありませんので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。

 「小説家になろう」さんで新作を公開するのは早くて秋以降、遅ければ来年の年が明けてからになるかも知れません。かなり長く充電期間を取ることになるかと思いますが、この数年で長編作品を連続して完結させることができたので、密かな自信をつけていたりもします。

 ですので、次回作もまずはきちんと話を考えて、完結させることを第一の目標に据えようかと思います。

 あ、それまでは全く何も書かないというわけではありません。

 ここだけの話、実は「仮面ライダーW」の二次創作で、渡米直前の未来を登場させるという暴挙に出ております。Wが好き過ぎて暴走している作者の自己満足作品なのですが、こちらでは本編であまり書けなかった便利屋所長としての彼女の姿がメインです。こちらも同じく「小説家になろう」様にて同一作者名で公開しておりますので、からかい半分でも覗いてみて下されば嬉しいです。

 少し話が逸れてしまいましたが、これから暫しの休息に入ります。再び皆様と一次創作作品の作者としてオンラインでお会いする時には、きっとこのシリーズの新作を引っさげてくるつもりです。

 その時まで、皆様もどうかお元気で。

 また、いつか!

                                 2011年6月某日 日吉 舞

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