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安息なき夜 -12-

 未来はCVCの備品ラベルが貼られたカメラの電源を入れ、死体の写真を様々な角度から撮り始めた。

 検死官が来るまでは死体に手を触れられないため、主に傷ついている箇所と倒れているそのままの様子、上を向いた手のひらを中心に撮影していく。まだ真っ暗に近い林の中で強烈なフラッシュが稲光のように白く光り、その瞬間にあるものを切り取って電子媒体に記憶させていった。

 未来が片側からの撮影を終え、死体の反対側に回り込もうとブルーシートを折り返すと、その下に隠れていた地面に小さな肌色の塊があるのがわかった。

 慌てて死体の周りを回り、彼の足元近くにあったその物体を確認する。

 それが何なのか、ある程度の予想はしていた未来であったが、それでも心臓の嫌な鼓動を抑えることはできなかった。

 アメリカの幼い女の子たちが良き遊び相手としている、金髪の白人少女をかたどったジューン人形。それは今回の現場でもまた、無惨な姿で転がされていた。

 服は着せられておらず、上半身と下半身のパーツが外され、右脚も股関節の部分から壊されている。そのすらりとしたビニール製の右脚は、仰向けの胸に踵落としをするかのように重ねられていた。頭は無傷だが胴体からは外れており、長いブロンドの髪を振り乱してもなお、その顔は無邪気な微笑みを振りまき続けている。

 未来は短く息を吸ってからゆっくり吐き出して呼吸を落ち着けると、まず壊れた人形の場所がわかる全体写真を撮った。続けて死体と同じく、様々な角度からの撮影を繰り返していく。

 彼女は画像確認の後にカメラをバッグにしまうと、入れ替わりに証拠保管用のビニール袋と茶色い紙袋数枚を取り出した。慎重にジューン人形の各パーツをつまみ上げ、別々の袋に入れて口のチャックを閉じていく。更にそれを紙袋にしまってから、事件のコードネームや日付などを手早くボールペンで書き込んだ。

 全てが、これまでの事件と一緒だった。

 未来が死体発見直後の現場に直接来たのは初めてだったが、その様子はクワンティコで見た報告書の内容とまるで同じだと言っても良かった。

 ハイウェイ脇の雑木林に壊れた人形とともに打ち捨てられた、人間の壊れた死体。

 人種、年齢、性別は関係なく、恐らく犯人の殺人衝動を叶えるためにのみ、被害者は命を奪われている。一連の事件は酔っぱらって喧嘩をした挙げ句、あるいは感情のもつれから起こされた殺人ではない。明らかに、異常者による快楽殺人だった。

 今まで殺された6人の被害者たちには、まだ青春の入口にも立っていない子どもや、働き盛りの男性もいた。彼らの無念を思うと、やり切れなさに肩がずんと重くなる。サイボーグの自分とジャクソンが、捜査官の中でも特別製の身体を持つ自分たちが捜査に加わりながらも、次の殺人を防ぐことができなかったのだ。

 例えそれが他人から責められることではないとしても、未来にとってはこれが初めて担当した連続殺人事件だ。恐らく、この気持ちは一生忘れることができないだろう。

 悔しさと悲しみで引きつった顔を少しでも緩めようと、彼女は意識して目元から力を抜き、替わりに周囲の音を探った。

 強化された聴覚に流れてくるのは警察関係者たちの囁きや無線の応答、落ち葉が積もった地面を踏みしめるブーツの音、鑑識のスタッフが矢継ぎ早に切るカメラのシャッター音など、様々だ。感度を上げると細かい雪が枯れ木に当たる硬い音や、冷たい風が梢の間を駆ける甲高い音も混ざってくる。まだ早朝のせいか、ハイウェイを通ろうとして行く手を遮られる車のブレーキ音や、悪態をつくドライバーの声は聞こえてこない。

 そこへ、背後から大股で近寄ってくる足音があった。調子からして、ニコラス刑事だろう。

「そろそろ検死官が到着するが、どうだ?」

 その声を合図にしてしゃがみ込んでいた未来が立ち上がり、ニコラスの方を振り返った。

「死体の写真は撮りましたけど、触ってはいません。例のものだけは回収させてもらいました。見えるところにあって良かったですよ。ここにあったんですが、鑑識の方が後で微物を回収して頂けると助かります」

 アメリカにおける通常の殺人事件では、検死官の検分が終了するまで何人も死体に手を触れることが許されない。ただしこれには例外が存在し、司法省の命令があった場合はこの限りではなかった。ティアーズ事件では人形の情報を外部に漏らせないため、このケースに該当することになるが、捜査官は死体の扱いに精通しているわけではない。

 死体を動かすことによって微細な証拠が失われる可能性があることから、未来はなるべく死体に触りたくないと考える方だった。人形が死体の下敷きになっていなかったことは、幸運と言えるだろう。

「そこは念入りにやるように言っておくよ」

 彼女が指し示した場所を確認して、ニコラスは頷いた。

「じゃあ、検死官が来る前にシートを戻したいので。手伝って頂けますか?」

 もう一度頷き、若い刑事は未来の作業に手を貸した。避けてあったブルーシートが二人がかりで今一度死体の上に被せられ、悲惨な状態が他の者の目から隠される。激しくなってきた雪がその間にも鮮やかなブルーに白いまだら模様をつけ始め、彼らはどちらからともなく寒さに身震いした。

「やはり、例の事件と同じ犯人なんだろうか?」

「断言はできませんが、極めて似た状況だと言っていいと思います。こいつのことは、情報が伏せられてますしね。他の誰かが模倣することはできませんから」

 コートの襟を立てながら近寄ってきたニコラスへ、未来が肩に掛けた黒いナイロンのバッグを軽く押さえて見せる。

 ティアーズ事件の現場に残される人形のことは最重要機密で、検死局にもその情報を知られるわけにはいかなかった。だから、検死官よりもFBI捜査官の誰かが先に現場へ来る必要があったのだ。

 今のところ、マスコミへの情報流出は辛うじて防げている。しかし、気になるのは警察にこのことを知る者がいないかどうかだ。

 さり気ない口調で訊ねながら、未来はニコラスの顔を見上げた。

「郡警察の方で、これを見た人はどれぐらいいますか?」 

「俺と、一緒に来た警官の一人だけだな。俺たちでブルーシートを被せて、すぐFBIに連絡したんだ。そいつにもこのことを口外しないようきつく言ってあるし、奴は一緒に仕事をするようになって長い。彼から情報が漏れることはないと思ってくれていいよ」

「それなら、心配はなさそうですね。ありがとうございます」

 呟くように言って、未来は辺りをもう一度見回した。

 郡警察の鑑識スタッフや自分たちがいる場所は、林に入ってすぐのところで開けた印象がある。しかし、ここまでは背の高い枯れ草がびっしりと覆っており、ハイウェイからは見通せない筈だった。

「この辺りは、普段殆ど人が立ち入らない場所のように見えますけど」

 ベージュのコートに白いヴェールを下ろそうとしている雪を手ではたきながら、彼女は警官たちが出入りする雑木林の入口に目をやった。

「どうして第一発見者は、死体を発見できたんでしょうね?」

「車のライトが当たったときに草の一部が倒れているのが見えて、中に入りやすかったそうだ。犯人と同じ場所からここへ入り込んだんだな」

 ニコラスも、追加の大型ライトを運んできている警官を見つめながら答えた。

「あそこに、重機のものらしいタイヤ痕がついていた。その後を辿ると、また同じ場所へ戻っていっているのがわかる。ロボットを使って、死体をここに置いたんだろう」

 彼が指差した先は、警官隊や自分たちが分け入ってきたのとはまた違った場所だ。未来が瞳の暗視フィルターの感度を更に上げて、ズームも絞る。

 すると黒い土がところどころ露出している地面に、普通乗用車のタイヤ跡とは異なる深さ数センチほどの溝が何本も穿たれているのが判別できた。幅が4インチ(約10センチ)以上あるタイヤが最低4つはついていると見える大型機械のものであることは、一目見ればわかる。轍の跡はニコラスが示した方からほぼまっすぐに死体の方へ伸び、そこからまた同じ場所へと折り返していた。

「タイヤ痕の写真はもう撮ってあるから、報告書に添付して送ろう。それから、どういうルートを取ったかも詳細な図が必要だな」

「タイヤ痕の型は取れましたか?」

「ああ。ここの土はさほど乾燥していなかったから、石膏を流しても全然崩れなかったんだ。しっかりしたのが取れてるよ。犯人の足跡らしいものは見つかってないけど」

 この辺りでは、ここ一週間は雨も雪も降っていない。粘り気があって硬めの土は、人間より遙かに重量があるロボットの痕跡しか刻んでくれなかったのだ。が、手に入る証拠は何でも重要になる可能性がある。

「お願いします。この事件では、今まであまり証拠らしい証拠が出てきてませんし」

 未来がまたニコラスの顔を見上げると、彼は疲れた表情で黙ったまま頷いた。

 ティアーズではこれまでの被害者全員が身元を特定できているが、今回のように捜索願も出ていない人物で、顔の損傷が酷いケースは初めてだった。

 そう言った意味では、犯行のパターンに微妙な変化が出てきているのかも知れない。

 この男性が一体誰なのかが、重要な要素だと言えるだろう。

 彼がどこに住んでいて、どんな職業に就いていて、どうやって犯人と接触したのか。これまでの被害者と何が違っているのか。

 そして、何故殺されなければならなかったのか。

 特殊捜査チームを始めとして、各チームが全力で解き明かさねばならないのだ。

「何か、被害者の身元がわかりそうなものはあったのか?」

 そこへ、思考を見透かしたようなニコラスの質問が降ってくる。未来は考えるのを中断して、首を横に振った。

「いいえ。札入れなんかは、持ってないように見えました。ジーンズの前ポケットなんかはまだ見ていないのでわかりませんけど、そっちは検死官が来てからでいいかと思いまして」

 死体そのものや死亡時の所持品を検分するのは、あくまで検死官の仕事である。死体を現場で確認し、モルグで調べ上げ、所持品と報告書を警察に送る役目を負っているのが彼らだ。

 アメリカではそれぞれの調査機関に独自の捜査権があり、検死局もその一つだった。彼らは自分たちが持つ死体に関する権限について、他の者に侵されることを非常に嫌っている。知識がない者が死体を不用意に動かしてしまい、証拠が失われてしまうことに神経質なのだ。

 従って、撃たれている被害者の身体にまだ弾丸が留まっているかどうかや、どんな銃が使われたかなどはここではわからない。

「そういえば、薬夾や弾丸は見つかってるんですか?」

 弾丸のことに考えが及んだ未来が自然な疑問を口にしたが、答えに期待はしていなかった。これまで、どの現場でも薬夾は見つかっていないのだ。

「いや、両方とも死体の側にはなかった。死体をどけたら、その下も調べるけど」

 ニコラスの返答も、やはり想定通りである。犯人が複数の銃を所持しているのでない限り、9ミリ口径の弾丸が被害者の体内で見つかるだろう。

 今、枯れ葉の上に倒れている身元不明の黒人男性の身体は、凍てつくような風に晒されているせいで急速に冷えつつある。恐らく死後硬直も始まっているだろうが、筋肉が完全にこわばって扱い辛くなる前に、モルグへ運び込んでしまいたい。口に出さずとも、ニコラスと未来が考えていることは同じである。

 未来がコートの左袖をまくり、細い手首に不釣り合いなダイバーズウオッチの文字盤に目をやったところで、聞き慣れた足音が近づいてくるのがわかった。

 彼女が聴覚の感度を上げると、ジーンズとジャケットの裏地が擦れる高い音や、いくつもの雪が革の上を滑っていく硬質な響きが大きくなってくるのも感じられる。

「悪い、遅くなっちまったな」

 身の丈は2メートルに届こうかという黒人の大男が未来の姿を認め、ハイウェイに抜ける茂みから歩み寄ってきていた。

 未来の次に到着したFBI捜査官、ジャクソンが音の発生源であった。

 初対面であるジャクソンとニコラスが手短に自己紹介をした後、ニコラスは鑑識スタッフの様子を見るために林の奥へと行ってしまった。

 遅刻常習犯のジャクソンにしては、現場到着が早いと未来には思えた。

「誰かと一緒に来たの?」

「ああ。ウォーリーが今、第一発見者と話をしてるところだ」

 寒そうに背を縮めている大男に未来はぶっきらぼうに訊いたが、あんな死体を発見した気の毒なトラック運転手のことは気になった。

「大丈夫かな。まともに話せない状態だって聞いたけど」

 犯罪の生々しい現実など遠い世界の出来事だと思っていた頃の自分なら、間違いなく一生立ち直れないだろう。悲惨で極色彩にまみれ、性善説など決して信じまいと考えさせる事実にようやく向き合えるようになった未来でさえ、そう思うくらいだったのだ。

 ただ、冷静に考えれば死体は決して恐ろしいものではない。

 生きている人間をただのモノに変えてしまう存在がいるという根源的な恐怖に、人は怯え、恐れおののくのである。

「死体はあれか?」

 ジャクソンはジーンズのポケットに両手を突っ込み、まだ確認していないブルーシートの膨らみを見つめている。被害者が自分と同じ若い黒人男性だと知っているだけに、気になるのだろう。

 未来は頷いて、ジャクソンが来た方を見やった。

「そろそろ検死官も来るみたいだから、もう近くに寄らない方がいいと思うよ」

 彼の気持ちを察した未来が控え目に言うと、ジャクソンは黙って頷いた。

 同僚の元軍人サイボーグ捜査官は死体を覆うブルーシートを険しい顔で眺めた後に、辺りに鋭く視線を巡らせている。まるで犯人がまだその辺りに潜んでいないかどうか、威嚇しているかのようだ。しかしもしそうだとしても、ジャクソンに攻撃を仕掛るだけの度胸と図太さがある犯人がいるとは到底思えない。

 今のジャクソンは普段身に纏っている無駄な陽気さの代わりに、警戒心と緊張感をみなぎらせている。だが、周囲に嫌が応でも物々しさを感じさせる一方で態度自体は落ち着いており、今にも誰かに飛びかかっていきそうな不安定さは微塵もない。

 罪を憎む心は魂の底に強く宿しながらも、誤った判断を誘発する怒りや焦りとの棲み分けをごく自然にやってのける。彼もまた、犯罪捜査のプロフェッショナルなのだ。

 ジャクソンはひとしきり辺りを確認し終わると、先に現場入りしてしかるべきことをやっていたであろう未来に訊いた。

「写真は撮ったのか?」

「確認するんなら、どうぞ」

 未来が肩に担いでいたナイロンのバッグからカメラを取り出して、ジャクソンに渡した。

 本当は二人とも、カメラの電子記録媒体から直接電子データが読み取れるスロットが後頭部に仕込まれている。しかしそこにメモリを差し入れて画像を確認するのは、流石に人前では憚られた。

 ジャクソンは受け取ったカメラの電源を入れ、小さな液晶を見つめている。浅黒くごつい手が画像を送るスイッチを押す度に、表情の厳しさは増していった。

 途中でふとその指が動きを止めたのは、画像が壊れた人形のものに変わったためであろう。

「例のモノも、もう回収したんだな?」

「ここに入ってるよ。私が直接、クワンティコまで届けるようにするから」

 未来が答えてバッグを軽く叩いても、ジャクソンの目はカメラの画面に釘付けになったままだ。

 彼が全ての画像を見るまで、10分はかかっただろうか。その間は寒さも忘れていたらしく、きつく巻いたごく短い髪や茶色の分厚い革ジャケットが雪に濡れたほどだった。

「毎度のことだが、ひでえな」

 低く呟いたジャクソンから、無惨な死体の様子を収めたカメラが未来へと手渡される。

「被害者の身元はわかってるのか?」

「今のところは、手がかりが何もないんだよ。車も近くにないし、捜索願が出されてるわけでもないみたいだし。まだ服のポケットなんかは調べてないから、所持品に関しては何とも言えないけどね。わかるのは、若い黒人の男性だってことぐらいだよ」

「顔があの状態だと、誰なんだか外見じゃ判別できねえな。まったく」

 吐き捨てて、ジャクソンは再びブルーシートの方を向いた。雪は降り続いており、乾いた枯れ葉とシートの上に次々と舞い降りては白い化粧を施そうとしている。まだ雪が降る時期としては若干早いため、積もる速度はさほどでもないようだった。

「服はそこそこにきれいだから、ホームレスじゃないと思う。かと言って、いいものを着てるってわけでもないみたいだけど」

 被害者が着ていた服があまりくたびれたものではなかったことを思い出した未来がつけ加える。

「つまりは俺たちと似た、そこら中にいる若い奴だってことか。結婚指輪もしてないし、独身で一人暮らしの奴だな」

「そう。少なくとも、家族や恋人と一緒に暮らしてる人ではないってことだよね。突然いなくなっても、誰も騒がないんだから」

 捜査官二人の見解は一致していたが、そこから言いたいのは被害者の身元を突き止めるのは難しいのではないか、という懸念もまた同じであった。行方不明者が年間何十万人と出るアメリカでは、身元不明の死体と捜索願が出されていない失踪者が結びつけられることは滅多にない。

 ジャクソンが先ほど見たばかりの被害者の画像を思い出しつつ、眉根に皺を寄せる。

「死んでからまだそう時間が経ってるようには見えなかったけど、詳しくは調べてからじゃないとわからねえな。今はもう冬だから、腐敗もゆっくりになるだろうし」

「後は検死局から証拠品と報告書をを回してもらって、身体的な特徴を見る方が早いかもね。DNAを調べて、前科者のリストも当たってみてもいいかも」

 未来が提案したDNAの照合は被害者が過去に犯罪を犯していて、且つ、起訴されていた場合に限って有効な方法だ。望みは薄いが、やらないよりはましだと言える。

 DNA分析は各検死局に付属する研究所でも可能ではあるが、やはり最新鋭の機器が揃っているクワンティコで実施する方が早く結果が出る。解剖時に死体から各種サンプルを採り、ジャクソンが届けるのが一番手っ取り早いだろう。

「それにしても、検死官の到着が遅いね」

 未来が腕を組んで苛立ちを口に出したとき、金属がぶつかる音がハイウェイの方から上がった。それはジャクソンの耳にも届いたらしく、2人が同時に振り返る。彼らの視線の先に、警官に誘導された救急隊と、私服姿の男性2人が一緒に茂みから出てくる姿があった。

 死体を載せるステンレス製のストレッチャーが車輪を軋ませ、救急隊に引っ張られてくる。頑丈な死体袋も携えた彼らを待機させ、私服姿の男性たちが未来たちに近寄ってきた。

「やあ、二人とも随分早いじゃないか。流石に元軍関係者は鼻が利くな」

「この地区の担当の割には随分ごゆっくりですね、ランチェスター捜査官」

 いかにも、と言う印象の作り笑いを浮かべるジェイコブ・ランチェスター捜査官に向かって、未来は嫌味を遠慮せずにぶつけた。


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