Kの世界
寂れたビルの影から男が顔を覗かせる。
辺りを見まわし、やがて待ち人を発見する。
男が足早に近づくと待ち人の方も男に気づいたようだ。
通行人はいたが、彼ら二人に興味を向ける者はない。
「顔は同じなんですね」
男が言い。
「おれたちの個性の方が強いのだろう」
待ち人が答える。
「ここが彼の世界なのにですか」
「そんなものまで創造していたらエネルギーがいくらあっても足りないだろう」
「それで個人から発散する生命エネルギーを利用する」
「生命と言うよりは情報エネルギーだろうな。それに個人だったら、おれはもっと良い容姿を選んだ」
「一之瀬さんに、そんなコンプレックスがあったとは知りませんでしたよ」
辺りを見まわし、やがて待ち人を発見する。
男が足早に近づくと待ち人の方も男に気づいたようだ。
通行人はいたが、彼ら二人に興味を向ける者はない。
「顔は同じなんですね」
男が言い。
「おれたちの個性の方が強いのだろう」
待ち人が答える。
「ここが彼の世界なのにですか」
「そんなものまで創造していたらエネルギーがいくらあっても足りないだろう」
「それで個人から発散する生命エネルギーを利用する」
「生命と言うよりは情報エネルギーだろうな。それに個人だったら、おれはもっと良い容姿を選んだ」
「一之瀬さんに、そんなコンプレックスがあったとは知りませんでしたよ」