「果実」と少女①
「先輩…彼女にさせてもらっても…良いですか?」
遡ること数刻前、体育で出払っていた後の靴箱に入ってた1枚の便箋。中の紙に書いてあったのは
「放課後、お時間頂けますか」
その一言と「1年6組 谷山 楓」というこの手紙を書いたのであろう少女の名前だった。自分は所謂「帰宅部」である為、別段用事があるわけでもなかったので放課後に彼女のもとに立ち寄ることにした。
(だが…特進科のお嬢様がこんな下々の人間に一体全体なんの用だ?) 自分の通ってる高校は所謂進学校で1,2組が普通科、3,4組が英数科、5,6組が特進科となっており地元でも屈指の国公立大学合格者を輩出している。自分は英数科に属しているが雲の上の存在とも呼べる人間からの呼び出しだ、きっと只事では無いだろう。クラスメイトからは
「あ…お前、今までありがとうな 悪くないやつだったよ」
などととても笑えたようなものでない冗談を返された。
放課後になったので彼女の教室へと赴いた。赴いた時は居なかったがしばらくすると
「櫻井先輩ですか?」
と声をかけられた。その少女こそ「谷山 楓」だった。彼女のことは初めて見たがどこか寂しげが合った所謂「美人」と呼ばれている部類だ。然しながらよくテレビとかで取り上げられるようなきらびやかな「美人」ではなく、図書館で独り、本を読んでいるのがとても映えるようなそんな「美人」と表現できた。
「せ…先輩、来ていただいてありがとうございます。今日はおはなしがあって…」
手近な椅子に座ることを促される、自分は
「で、早速なんだけどさ…なんで僕を呼び出したのかな?」
ここに呼び出されたときから気になっていたことを聞いた。すると彼女は
「そ…その理由はほかでもないです、私は…先輩が…櫻井先輩のことが好きです!」
「な…なので…!」
『先輩…彼女にさせてもらっても…いいですか?」
今回はこの小説を読んでいただきありがとうございました。恋愛小説を書くのも小説を書くのも初めてでなかなか至らぬ点がありますが今後ともご愛読いただければ幸いです。