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まっくら

作者: 猫乃つづり

目が覚める


ここには自分一人しかいない。


そして、寝る人が一人いて、自分が寝てる。


他に寝てる人と言えば、隣の隣人、

上の隣人、左の隣人、つまり、アパートになっていて、

私の場合は学生つまり、一階に住んでいることは自明である。


何せ、明日も勉強だ、

そして、休日には生きるためのバイトが待っている。


しかし、寝付けず眠れない、

何かに縛られているような気がする。


時計の音の針が

主人公のように舞台の上で

孤独に独り言でもたててるようだ。


眠らせてくれ、

私は眠っていないために

絶望的な期待ではあるが、

彼を物ではなく人として見立てたら、

どのような返答をしてくるかは

好奇心の働くような気もしないではないが、

私も対抗心からボソボソと影に潜む部屋虫の如く

貧者ながらの抵抗をする。


耳の中からは

それに呼応するかのようにカサカサと鳴った気がする。


眠れない……


もう一度、カサカサと今度はもう一つの情報媒体が耳に伝わる。


幽霊ではない怖さに恐怖しつつあるために


光を求めて、スイッチの方へ駆け寄る。


電気をつけた、

安心のための光からの

安堵で目を瞑る


そして、目を開けると


そこには何もいない……


ほっとする私、

しかし、よく注意深く見ると。

主に暗いうっすらとした影にはアイツがいたのだ。


名前も読んではいけないアイツが、

さながら魔法学校の悪役である。

不可解極まりない、率直に言うとこれは、

きっと、演劇であると思いたいのだ。


されども、彼と私の間に悲劇の終幕の音楽がなければ、

拍手もない。

最も、ここが現実足りうるのは、観客の拍手の裏の発展もないことが証明している。


私はうんざりし、絶望に立ち尽くしながらも、

己しかいない訳なので、

孤独の理想郷を保つためには

という戦う意義を己の頭の中で、

大義名分として示すために、

殺すことにした。


このとこから、私の対策というものの欠陥が見受けられた。

人の壁は文化的壁で防げるというのに、

他の壁というものは超自然的世界において不変の心理なのだなと思いつつ、奴を殺す。

人間に対しての此は、犯罪であるのに

動物にたいしての、此は、犯罪ではなく正義なのか?

そんな疑問を抱きつつ、

明日の曜日の朝一番にため息混じりの早起きをしなくてはならなくなった。


私は幽霊も確かに怖いが、夏と言えば、

そういう最も、現実的な言葉では言いたくない

迷惑な来訪者に辟易せねばならない。

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