第一話~遭遇~
遅くなってすみません。投稿します。小説を書くのって結構、時間がかかるものですね。
ここは大野県の外れにある出五市。周囲を山に囲まれた日本の変哲もない田舎町である。
そこに一人の少年が住んでいた。
斉藤 正孝14歳。出五第一中学校に通う男子学生だ。今、彼は自宅の窓から外の景色を眺めていた。青く澄んだ空が広がり、その下には緑の山々が連なっている。
「旅してみたいな~。」正孝は一人、呟いた。正孝の友人と呼べる存在は少ない。それは彼が何時でも何処でも空想に耽っているからだ。その空想とは以下のような物だ。
今、俺はジャングルにいる。隣には金髪の美少女、その周りを槍で武装した原住民達が取り囲んでいる。一瞬でも気を抜けば命を落としかねない修羅場。俺は足下にあった小石を蹴り上げた。大きく飛んだ小石は原住民の顔に直撃し険しい顔が歪む。俺は隙を見て少女の手を取り走り出した。上手く原住民の包囲網を抜けた俺達は密林を疾走する。後ろを見ると追っ手が迫って来ている。すると前方に今にも崩れ落ちそうな吊り橋を見つけた。俺は少女と、橋を渡る決断をする。途中で落ちそうになりながらも二人とも無事に橋を渡り終えた。俺は所持していた鉈でロープを切断した。原住民達は崩れた橋と一緒に奈落の底へ落ちていく。
しばらく進むと開けた場所に出た。そこには古代遺跡があって中に入ると金銀財宝が盛り沢山。俺と少女は喜びを分かち合い結ばれるのであった。めでたしめでたし・・・と、こんな感じである。
机の上には夏休みの宿題と世界中の秘境や魔境を紹介する書籍が置かれている。彼は誰も体験した事が無いような旅をしたいと思っていた。しかし、それが実現不可能な夢であるという事も感じていた。まず世界中の秘境という秘境は探検しつくされている。それに、そんな旅をするには莫大な時間と費用が必要になる。
「異世界にでも転生したいなぁ。でも異世界の厳しい環境で生き残れるかどうか…やっぱり無理だろうな。」本棚にあった主人公が異世界に転生して活躍する小説を見て又も一人、呟く。
この世界は広いけど退屈である。そんな事を思い彼は再び外を眺める。その時であった。
「なんだ、あれは?」
空の一部が歪んだかと思うと黒い渦のような物が現れた。一瞬、目の錯覚かと思ったが違うようだ。
すると黒い渦から何かが飛び出してきた。かなり大きな物体である。
黒く細長い胴体の中央で何かが高速で回転している。それはキラキラと光りながら自宅裏にある山の方へ降りていった。
「裏山の方に落ちたぞ。UFOだろうか!?」
正孝は慌てて準備をして、怪物体が降りたであろう場所に向かった。裏山は小学生時代に昆虫採集などでよく遊んだ所なので道には慣れている。あまり大きな山ではないので20分くらいで着くはずだ。急ぎながら細い山道を登る少年の姿は活気に溢れている。
「確か山を登り、下ると谷間に小さな湖があったっけ…多分そこに落ちたんだ。」
予想した通り、それは湖にあった。岸に打ち上げられたそれは全長40メートルはある黒い光沢を持った金属で出来ており一番近い形をした地球の乗り物を挙げるなら潜水艦である。
しかし、胴体や左右非対称の上部建造建造物から伸びる銀色のパイプのような物や胴体中央に付いている水車のような装置から、それが全く別の存在である事が分かる。
「こんな乗り物は見たことない。やっぱり地球外生命体の宇宙船なのか⁈」
正孝は全身汗だくで、手足を無数の蚊に刺されていたが疲れも痒さも忘れていた。
「これが乗り物だとすると何処かに出入口があって中には何かがいるはずだ。」
そう考え物体の周りを調べてみるが出入り出来そうな所は見当たらない。
「上の方にあるのか?だとすると、これを登るしかなさそうだ。」
何本も生えているパイプをよじ登れば上に上がる事が出来るだろう。しかし高さが8メートルくらいはあるので失敗すればただでは済まない。しかしここまで来て躊躇するのは惜しい。正孝はしばらく考えた後、やはり登る事に決めた。好奇心の勝利である。
(ジャングルジムと同じだよな…。)
そう自分に言い聞かせパイプに足をかけようとした時であった。
_ガコン!!
黒い胴体の一部が突然、盛り上がったかと思うと長方形のハッチ状に開いた。
「うわあ!!」
驚いて後ろに飛びのいた。すると開いたばかりの入口からひょっこりと何かが顔を出した。
「;kemifaeno,hamarasa.,shudo1,fonera...」
全く聞き覚えのない言葉を話しかけてくる。そして僕の方に近づいてくるそれは帽子を被り、背広を着た西洋人風の若い男であった。
続きは明日、投稿しようと思います。少年の前に現れた怪物体は何なのか。そして謎の男の正体とは。次回をお楽しみに‼