プロローグ~漂流~
記念すべき初投稿です。週一回の頻度で連載していこうと思います。
広大な空間を不思議な物体が進んでいた。全長40メートル程の大きさで黒光りする胴体から銀色の管が無数に生えている。何も知らない人が見れば工場を載せた潜水艦の様だと言うだろう。事実、その物体は船であった。ただし、その船がいる場所は海でもなければ宇宙空間でもない。そこは時空の狭間。虹色の輝きを放つ光子の波が渦を巻き、黄金色の強風が吹き荒ぶ四次元空間なのだ。人類が到達するなど夢にも思わぬような場所を高速で移動する「船」。その船内で言い争う二人の人間の姿があった。
「特殊空間位置測定システム反応なし。タービン回転数、毎秒一万三千に加速。これ以上は危険だ!!」鋭い目付きをした若い女が奇妙な機会を操作しながら声をあげると「おいおい嘘だろ。ふざけるな。こんな所で故障したら誰も助けに来てくれないぜ。食料だって残り少ないんだ。しっかりやってくれよ。」後ろの若い男が返事を返す。
大小様々な歯車やメーターの並ぶ操縦室で二人の男女は今まで経験したことのない対応に追われていた。異常気象によって故障した船は操縦者の意に返さず、凄まじいエンジンの唸りをあげ爆走する。「しっかりやってるよ!だけど私でも無理なことはある…。え?!何この数字!!今まで見たことない!!」女が一つのメーターを見ていった。男もそれを見て「こいつは今までにない数値だ!きっと新発見の場所に違いない。」船は真下に発生した巨大な黒い渦に吸い込まれて行く。
「降りますよ。準備は良いですか?」女が男に確認すると「あぁ。準備万端だ。」と返す男。新しい冒険が始まろうとしていた。
皆さん初めまして。作者の清水です。この作品は私の処女作となります。まだ未熟な所もありますがよろしくお願いします。もしよろしければ感想などお聞かせください。