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ティックトックをめぐる米国の思惑とNHKの日本版GAFA再編論

初出:令和2年7月31日


 米国政府は、中国企業バイトダンスが運営する動画アプリ「ティックトック」に対し、安全保障の観点から警戒感を高めています。「ティックトック」は米国で今年1~3月期のダウンロード数が最多の人気アプリですが、ポンペオ国務長官は「ティックトック」により、「情報が中国共産党に渡る」と発言。

 すでに中国通信機器最大手ファーウェイなど5社が安全保障上の理由で米国市場から排除されていますが、今後、バイトダンスの「ティックトック」も同様の措置がとられそうです。


 ところでフェースブックやグーグルなど、いわゆるGAFAと呼ばれる米国大手IT企業も、これまで世界中の消費者から詳細な個人情報を収集し、ビッグデータを形成していることが問題視されました。特にフェースブックではCIAが背後で関与し、個人情報が当局に筒抜けになっているとのこと。

 米国大手IT企業が世界に向けてやってきたことを、今度は中国のIT企業が同じことをやろうとしています。そこで米国は安全保障上の問題としたのではないかと思われます。

 しかし実情はもっと単純に、世界の覇権国家が米国から中国へ移ろうとしているのを阻止するため、米国が最後の悪あがきをしているのでは、とも考えられます。


 さて、ここでクイズです。

Q:「ティックトック」に対するポンペオ長官の発言をどう思いますか?

A:妥当だと思う。中国共産党はわれわれの個人情報を盗むべきでない。

B:妥当だと思う。どうせわれわれの個人情報を盗まれるなら、中国共産党より米国CIAの方がましだから。

C:妥当ではない。どこの国の政府もわれわれの個人情報を盗むべきではない。


 さて、いかがでしょう。

 それにせよ、中国にはGAFAに対抗できる大手IT企業があるのに、日本にはありません。

 かつてバブル時代、日本の大手総合電機メーカーは自動車メーカーとともに世界市場を席捲し、日本経済は米国のメディアからソ連以上の脅威とされた時代がありました。金額ベースだけでなく、日本企業の技術力の高さにも世界から瞠目されていました。この時代、中国は経済的にも技術的にも日本にくらべ、かなり後進国だったと思います。

 GAFAがわれわれから情報を盗んでビッグデータを作ることが悪い以前に、日本にそれに対抗できる組織がないこと自体が問題なのです。



1.市町村立情報局を提言


 最近、ユーチューブで黒川あつひこ氏の「オリーブの木チャンネル」をよく見ています。

 この中でよく黒川氏が日本版GAFAを立ち上げるべき、と主張しています。私はこの意見に半分賛成、半分反対です。

 黒川氏はおそらく公共機関であるにせよ、民間企業であるにせよ、全国規模の日本版GAFAを想定していると思われますが、私はできれば基礎自治体である市町村が情報局を運営し、GAFAがやっているいくつかのサービスを市町村立情報局が担うのが望ましいと思います。

 全国規模の日本版GAFAを作れば、日本政府がわれわれの個人情報を盗みます。政府が個人情報を盗んではいけないという法律を作っても、あまり意味はないでしょう。情報収集能力を持っている、ということ自体が問題なのです。

 一方、市町村立情報局を作ったら、今度は市町村がわれわれの個人情報を盗む可能性が高まります。ただし、市町村の行政をできるだけ直接民主制に近いやり方にすれば、われわれはある程度まで自立を保てるのではないかと思うのです。

 市町村の直接民主制とは、具体的には市議会議員を選挙でなく当番制にしたり、重要な案件を市長や市議会でなく、市町村民投票で決める、といった方式で実現できます。また市長には供託金なしで市民なら誰でも立候補できることも重要でしょう。

 日本の国政を直接民主制にすればいいだけではないか。こうしたツッコミも入りそうですが、100人のグループと20人のグループと3人のグループを考えてみてください。あなたがグループの構成員だった場合、より人数の少ないグループの方が自分個人の意見が通りやすいでしょう。

 1億人もいる国の中で私たち個々人は、よほどのエリートを除き、埋没してしまいます。より少ない集団の方が私たち個々人の主張をより強くアッピールできるのです。



2.グーグルマップは行政がやるべき仕事


 さて、私が提言する市町村立情報局ですが、まずビルを作り、地下に多数のサーバーを設置してデーターセンターにします。このためにビルを新たに建設する予算がないなら、市役所の地階を利用するという手もあります。

 市内の道路をネットで表示するグーグルマップなどは、どう考えても民間企業でなく、行政がやるべき仕事でしょう。

 この他、グーグルがやっている検索エンジンやGメールなども情報局が担当します。市町村民限定で一人当たり、10個弱程度のIDを取得でき、その他、市町村内の法人もIDが取得できます。

 ユーチューブに相当する動画サイトも市町村で運営します。ただし視聴はだれでもできるが投稿は市町村民のみ、または市町村民優先が望ましいでしょう。


 検索エンジンでは市町村内の地元企業をできるだけサイト上位に表示し、市町村内の全産業の地産地消を促します。

 同様に情報局のショッピングサイトでも地元企業の商品を市町村民が消費し、地産地消を促進します。

 また市民が優先して利用できるSNSがあってもいいかもしれません。

 GAFAのうち、アップルがやっている仕事だけは情報局の管轄ではありません。ここからは今回の話からやや脱線しますが、スマホ、PCなどハードウェア製造業は、できれば全国規模の大企業でなく、市町村内の個人商店規模のメーカーが担当するのが望ましいでしょう。

 いずれにせよ、一つの市町村内で生活必需物資の自給率を高め、全国規模の大企業でなく、ローカル企業であらゆる生活必需物資の生産ができるようにしておくことが重要です。

 


3.NHKを日本版GAFAに再編

 

 さて、予算的に市町村立でそのような情報局を運営するのは現実的に無理というツッコミが入りそうですが、最初に都道府県立の情報局を作り、その後で市町村立の情報局に移行していく、という方法もあります。

 そもそも税の集金のやり方を変えるべきでしょう。たとえば税金のすべて、または大半をまず市町村が収集し、市町村が税の一部を国に治めるという方式はどうでしょう。中央集権的に国がまずすべての税を取り上げるのでなく、全国市町村連邦として国があり、国は外交、防衛のみ行い、その他の全行政は市町村が行うのなら、税金の多くは市町村に残ります。


 ところで現実的に市町村立情報局を作るにはNHKを再編するという方法があります。

 NHKの受信料徴収制度に多くの国民が疑問を持ち始めていますが、こうした国民的不満を解消するためにも、ここでNHKのヒト・モノ・カネを市町村立情報局に移行してしまうのです。

 テレビはそもそも時代遅れのメディア。動画ならユーチューブのような配信が主流の時代です。

 ただし市町村立のテレビ放送サービスを配信サービス以外に情報局の一部に作るのも一つの手です。元NHKの強みが出せるからです。


                       (つづく)

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