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ビッグデータからディスクロージャへ――スーパーシティ法に物申す

初出:令和2年6月7日


 スーパーシティ法案(国家戦略特区法改定案)が5月22日、参院地方創生・消費者問題特別委員会で可決されました。

 このスーパーシティー法案は、人工知能(AI)やビッグデータなど最先端技術を用いた事業を特例的規制緩和で国家戦略特区導入する、という主旨です。

 AIによる自動車の自動運転。ITを利用した遠隔医療や遠隔教育。キャッシュレスによる支払い......。スーパーシティはこうした未来都市の様相を呈しています。

 いかがでしょう。ここでクイズです。


Q:スーパーシティ法をどう思いますか?

A:賛成

B:反対



1.ビッグデータよりディスクロージャ


 ビッグデータという語があります。もともとの意味は通常のコンピュータで扱えないほどの膨大なデータの意味ですが、ネットでは一般に、GAFA(グーグル、アップル、フェースブック、アマゾン)など大手IT企業が保有するとされる、世界中の消費者の詳細な個人情報を指します。

 スーパーシティ法案ではこのビッグデータを行政が把握し、それを利用するという側面が懸念されます。

 行政がわれわれの個人情報をすべて把握し、われわれを家畜のように管理する......。こう考えると少し恐ろしい話です。それにあまり民主主義的ではない発想です。

 むしろ政府の機密情報の一部または全部にわれわれ、一般庶民が自由にアクセスできる、という方がはるかに民主的です。つまり情報公開ディスクロージャです。

 ビッグデータより、ディスクロージャの推進を。情報の扱いに関して、スーパーシティ法とは真逆の方向性が民主主義と言えるのです。



2. 自動走行よりローカル自動車メーカー


 スーパーシティ法の目玉は表向きは自動車の自動走行です。人間が運転しなくても、自動車を自動運転すれば交通事故は起こらない、ということのようです。

 実は交通事故は70年代と比較すると劇的に減っています。自動車を自動運転にする必要性は、交通事故対策だとしたら、あまり意味はないように思えるのです。


 むしろ自動運転は、消費者に自動車の需要を喚起するための新技術で、これにより大手自動車メーカーが一番利益を得ることになります。

 従来型自動車では消費者はもう自動車は購入してくれないので、ガラケーからスマホに変わったように、画期的な新しい自動車を開発して需要を喚起したい。これが大手自動車メーカーの目論見でしょう。


 ところが私がこのエッセーで何度も申し上げているように、世界の大手自動車業界は他の業界に先駆けてグローバリスムを推進しました。そしてこれが結果的に社会の経済格差を生み、多くの一般庶民を貧しくしました。

 今度はその真逆の方向を目指しましょう。つまり自動車業界からウルトラローカリズムを推進すべきです。

 

 EV車のベンチャー企業がいくつか起業しています。

 これからは世界市場や全国市場のシェアを狙う大企業でなく、都道府県、あるいは市町村単位で、ローカルの小さい自動車メーカーが数多く共存する社会が望ましいと思います。あなたの街の自転車屋さんのように、あなたの街の自動車メーカーが生まれたら......。一方、大手自動車メーカーの工場はファンドリーとして、これらのローカルメーカーの下請けでEV車をOEM生産します。

 これらのEV車はF1のように車高が低く、最高時速は60~80キロ程度。高速道路の走行には向きませんが、近所のスーパーへの買い物専用です。

 また一人乗りか二人乗りが原則。二人乗りの場合、ボブスレーのように縦一列、つまり運転席の後ろにもう一人の席があります。つまりデートには向かない車かもしれません。

 これは現行のEV車の技術から、こうした形状でないと無理だと考えただけで、スピードが出る車が技術的に開発されれば車高は高くても、運転席の横に助手席があっても構いません。

 EV車なので排気ガスは出ず、環境問題も改善されます。



3. メリットのないスーパーシティ法


 この他、スーパーシティ法ではIT技術を駆使した遠隔教育や遠隔医療を謳っていますが、これらの技術は、大都市でなく、学校や病院に通うのが困難な地域に必要な技術でしょう。過疎地に適用すべきです。


 電気エネルギーの自給を謳っていますが、電気だけでなく、上下水道や食料、さらには生活必需物資全般の自給を、一つのエリア内で地産地消できるようにすべきです。

 これは経済特区とは真逆の考え方です。


 行政のワンスオンリーを謳ってますが、それを言うなら無意味な規制をできるだけなくすこと、役所の届出書の書式をもっと簡潔にすることが重要でしょう。


 行政は仮装通貨を普及させるためか、キャッシュレスの推進を奨励しています。これについて私の意見は長くなるので、別の機会で書こうと思いますが、キャッシュレスよりは、そのエリア内でのみ使える地域振興券の方が望ましいと思います。


 以上、スーパーシティ法について、書きたい放題書きました。みなさんの意見はどうでしょうか?


(つづく)


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