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女神殺しの銃槍士  作者: カブメント
3話 ポンコツハザード
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3-1_明日の為に強くなる

 ギルドは熟練冒険者が入れ替わりで出ていったので、すこし静かになっていた。

 パーティメンバーは入口近くで待っていて、目を閉じたままのハルを心配する。だが、彼は目を覚まし、ただ寝ていただけだと知って安堵した。


 流石の俺も少しばかり疲れたので、近くにあった椅子に腰を下ろす。

 預かった荷物を思い出したので、コンテナを呼び出して返していく。カヤは詰め込んだ服やら鉤爪ロープなんかを取り出し、自分の袋に放り込む。

 ミリィは変な置物を見つけ、我が子のように抱き上げた。そいつの視線を俺に向けてくるので、妙に落ち着かない。


 一度気が抜けると、ひどく消耗していることを実感。回復するため、ネリンドリンクと肉を食べると、めちゃくちゃになった内臓が蠢き、再生を早めようとした。


 一息つけたところで、少しでも多くの情報を提供するために受付へ向かう。


「――って感じだ。戦闘用ゴーレムの破壊って報酬が出たりする?」


「はい。撃破数と貢献度合いはスキルボードに記録されていますので、基本報酬とは別に支払われます。ステータス関係は破損しているようですが、それ以外の機能はちゃんと動作しているようなので、ギルドポイントを加算しておきました」


 ミラナが俺の赤いスキルボードにある項目の一つを指差したので、それに触れるとページが切り替わる。


「転生者の皆さんには、ギルドポイントのことを『いつでも換金できるプリペイドカードのようなもの』と説明しています。そう言うと分かりやすいみたいですね。ポイントとして使用するほうが何かとオトクなので、必要になったときだけ換金することをオススメします」


 魔法もハイテクも利用方法はあまり変わらない。こちらの世界も、意外と快適にやっていけるかもしれないと思った。


 一緒にゴーレムを倒したハルは、手の甲の青いスキルボードを見せながら、少し興奮気味で言う。


「すごいね! これなら無くさないし、お買い物も便利だし。しかもこんなにいっぱいのポイント!」


「だからって使いすぎるなよ? 金なんて一瞬でなくなる。俺も何度かやらかしたしな」


 加算されたポイントは三百三十万とちょっと。日本円と比べると、ややこちらのほうが価値が高いと思われる。


 しかし、それは日常生活をする場合の話で、グレードの低いものでも1万近い回復ポーションやらのことを考えると、あまり高い報酬とは思えなかった。


 電話のように使える魔法の宝石を埋め込んだペンダントなんて、安いものでも一個百万以上はする。

しかも、その程度のクラスのものは、精々トランシーバー程度の性能しかない。それに、セットで作った石にしか声を送れなかったり、一方通行だったりする。


 良い報酬を出しているようで、結局は循環してギルドへ戻ってくるようになっているのだろう。

 だが、回復薬いらずのこの体だと、クエスト時のコストが大幅に減る。道具は図鑑に登録すれば壊れないし、金稼ぎという面では俺の能力は優れていた。


 それでも、俺の強さに疑問を持ち始める。初めて戦ったのにもかかわらず、凄まじい戦闘力を見せた彼のことを思うと、なおさらだ。

 ハルという少年はゲームキャラのようにすくすく成長し、俺の戦闘能力を超えるのは一週間もかからないかもしれない。


 だから、俺はそれに負けないよう鍛錬することにした。


 その日の晩からゴブリンの集落を攻略するクエストを受け、狙撃の訓練を行う。夜明けまで狙撃が続き、二百は狩った。

 奴らは狙撃されても隠れるということはせず、ただひたすらに敵を探してくるので、倒すのは容易。

 通常弾と亜音速弾の特性を頭に叩き込み、スポッターいらずで数百メートル先の胸部を狙える程度には進歩した。


 しかし、個人で学べる技術は限られている。なので俺は、他の転生者が集うというコミュニティに顔を出す。


 コミュニティはザンヘルの片隅にある小洒落た洋館を本部に持ち、各地の酒場や食堂を利用して、転生者同士が物資や人材のやり取りを行っている。

 転生者の国籍は多種多様なのだが、異世界へ転生するという願望が強い日本人が大半を占めているようだ。


 そこでは人材派遣が特に盛んで、女神の力や元々の特技を商材として扱っている。

 こちらの世界の人間にまでそれを提供していくと、ギルドと仕事の取り合いになりかねないので、転生者しか利用できないようにはなっていた。


 俺はその中から見つけた、ロシア人のコマンドサンボやシステマなどの経験者と接触する。女神に言語中枢を弄くられたので、言葉の問題はなかった。


 カルロから軽く教わったルチャリブレを活かしつつも、軍隊式の格闘術の特性を学び、死なない身体を使った無茶で野性的な格闘スタイルを確立していく。

 彼は銃を使う転生者に喜び、射撃全般もついでに指導してくれた。特に、アサルトライフルの運用は奥深いものだと気付かされる。


 それらの実践的な戦闘術は、ガネシが繰り出す技に類似していて、ヤツの恐ろしさを改めて感じた。


 そして、恋しさを感じる地球の食材なんかの入手ルートも確立。農業や料理で儲けようとしている転生者も多いので、そういったものも取引されていた。


 他に接触できたのは、俺と同じように一つの武器を無限に生産できるようにした人物だ。

 彼が生み出す武器はデザートイーグルの派生型で、シルバーの軽量スライドが特徴のL6モデルだ。これは図鑑に登録されていない。

 軽くなった代わりに増えた反動を、マズルブレーキやグリップのフィンガーチャンネルで抑制している。


 無限に生み出せるからと安く売ってくれたので、もちろんそれを登録した。ただし、登録したものは消えてしまうので、売り捌くようなことはできない。今後はこれを使っていくことになるだろう。


 そんな個性的な能力を持つ彼らと飲み交わしていると、変な噂話を聞くことがある。

 特に気になったのは、「金さえ出せば、MPを消耗しない気弾の撃ち方を教えてくれる仙人のようなおっさん」の話し。


 少しでも技を増やしたいので、わざわざ遠くにある山の山頂を訪れる。

 しかし、高い金を払わせておいて真っ赤な嘘だったので、そいつは崖から落とした。


 帰りに道に迷ったので、ついでにサバイバル生活を初めてみる。道具のある快適なものだったが、食料は全て現地調達。

 狙撃も板についていて、大型獣を狩り、毎日がご馳走だった。


 森林地帯で妙に神々しい鹿の怪物を食ったときは、少し多めにMPが増えた気がする。

 後から聞いた話だが、それはこの地域に伝わるありがたい伝説の獣だったという。次の日に大嵐が来たのは、俺のせいじゃないと信じたい。


 くろすけの扱い方もその生活で大きく上達した。習得したそれはとても強力なのだが、あまり人前では見せられない技に仕上がっている。


 数え切れないほどのモンスターを狩った頃にギルドへ戻ると、二千万近くのポイントが加算された。結構強力なモンスターを倒したこともあるが、戦闘用ゴーレムと比べると一体の報酬が低い。それだけ、ゴーレムは脅威だということなんだろう。

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